吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 05月 25日

上場企業の半数が配当増、前期・総額は最高の5兆円弱

2007年3月期に前の期より配当を増やす企業は816社とほぼ2社に1社の割合。配当金の総額は前の期から19%増えて4兆9817億円と過去最高となった。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070525AT2D2301S24052007.html


【読みほぐし】増配は何のため?
増配は株主価値に無関連である、というのはMMの配当無関連命題が教えてくれるところ。それでは増配の本質的な意味はどこにあるのでしょうか。

コーポレートファイナンスのテキストには、①シグナリング効果、②顧客効果と書かれています。

①のシグナリング効果とは、増配が、経営者の将来の強気の見通しを意味する、との期待から株価が動くというもの。

②の顧客効果とは、株主は配当政策が気に入ってその会社の株を買っている、だから増配を好む個人株主が多い、つまりキャピタルゲインより安定的な配当の方を好むある程度年配の株主個人株主が多いなら増配により株価が上昇することがあり得る、というもの。

また、増配そのものより、借入により増配(又は自己株取得)を行い、資本構成を変更し、資本コストの引き下げを図ることにより企業価値を増加させることも多くの日本企業にとっては重要でしょう。

したがってやみくもに増配に走るのではなく、その本質的な理由をつきつめて考え、それをきちんと有報なりに開示することが大切だと思います。

by yasukiyoshi | 2007-05-25 14:51 | 配当政策


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