吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 06月 29日

ブルドック、買収防衛策を容認・東京地裁

鹿子木康裁判長は「買収防衛策を決議した株主総会の判断が明らかに合理性を欠くとは認められず、著しく不公正ではない」として、スティールの申し立てを却下した。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070629AT3Y2800528062007.html

(CFOならこう読む)
健全な資本主義社会において、
M&Aにおいて速やかに経営権が移動することは必須です。
したがって既存の経営者が自己の保身のために防衛することは
法的にも容認されるべきではありません。
ブルドックの買収防衛策が認められるなら、
多くの企業は株式の持合を復活し、
安定株主作りに勤しむことになるでしょう。

そうなれば日本の企業はまた一昔前の社会資本主義という状態に逆戻り、
外資の導入も進まず孤立することになるでしょう。
そのような問題意識から東京地裁の仮処分決定を検討してみました。

仮処分決定の骨子は次の通りです。

①今回の買収防衛策は買収者に適正な対価が交付され、株主平等原則に違反しない。
②買収防衛策の必要性判断は原則、株主総会に委ねられるべきだ。
③特別決議を経ても、防衛策の相当性は既存株主に与える不利益などから総合的に判断すべきだ。

ポイントとなるのは③です。

東京地裁は、

「株主総会による対抗手段であっても、
特定の買収者による経営支配権の取得を妨げるという目的に必要な範囲を超えて、
当該買収者又はその他の株主の利益を損なうことは許されないのであって、
株主総会が当該対抗手段を採るに至った経緯、
当該対抗手段が既存株主に与える不利益の有無及び程度、
当該対抗手段が当該買収に及ぼす阻害効果等を総合的に考慮して判断すべきである」

とした上で、

「本件においては、債権者関係者は、
現経営陣との買収に関する協議を経ることなく買付期間を約40日とする公開買付を開始して
おり、かつ、債権者関係者は、債権者の経営方針や投資方針等を明らかにしなかったので
あり、このような提案は現経営陣に代替案を提出する時間的余裕を与えないまま、
株主に公開買付に応ずるか否かの判断を迫るものであるといわねばならない」

としています。

つまり、株主に判断のための時間が与えられていない現状において買収防衛策の発動は
容認されると言っており、この点は妥当であると思います。
つまり、株主総会の特別決議を経たから買収防衛策の発動が認められると言っている
わけではないのです。

それではスティールはどう対抗すべきでしょう?

私の考えは“一旦TOBを取り下げ、企業価値向上策をきちんと説明し、
十分時間をとった上で再度TOBをかける”というものです。
そのとき株価が現状のまま維持するなら、スティールへの新株予約権の取得の対価
396円(当初のTOB価格の4分の1)に妥当性がなくなり、これを会社側は引き上げざる
を得なくなるでしょう。
会社としてはこれだけのキャッシュアウトを正当化することと買収防衛策を発動せず、
TOBを受けることとを測りにかけて、結局TOBを受けることを選択することになると思います。

いずれにしてもTOBは失敗に終わる可能性が高いと思いますが、
買収防衛策を発動してTOBを阻止するか、
TOBに応ずる株主がいなくてTOBが失敗に終わるかはそのプロセスにおいて大きく
異なります。
防衛策発動の悪しき実績を作らないためにもスティールにはもうひと踏ん張りしてもらい
たいところです。

by yasukiyoshi | 2007-06-29 09:09 | 買収防衛策


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