吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 07月 10日

東京高裁、スティールの抗告を棄却・「決定は予想外」

ブルドックは「高裁決定は株主の判断を正当と認めた妥当なもの」とのコメントを発表。スティール側は「決定は予想外で、対応は全くの白紙」としている。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070710NTE2INK0909072007.html

(CFOならこう読む)
スティールのようなファンドは、投資の内部収益率(IRR)を稼ぐのが目的です。
IRRは売買差益を得る時間が短ければ短いほど上昇するので、
短期的な利鞘を獲得することを目指します。
高裁は
「短中期的に対象会社の株式を対象会社自身や第三者に転売することで売却益を獲得」
すること自体を問題視していますが、
このことが即企業価値を破壊するわけではありません。

買収者には2つのタイプがあります。
1つは経営権を握り経営に関与し将来キャッシュフローを改善することにより
企業価値を上昇させるストラテジックバイヤー。
もう1つは、非効率な資産の売却、余剰資金の株主還元、
資本構成の変更等を通じて企業価値を創造するファイナンシャルバイヤー。
スティールは間違いなく後者です。

高裁の決定は、ファイナンシャルバイヤー=濫用的買収者であると判断しており、
この点は全く不合理です。
企業価値をアカデミックに探求していく学問がコーポレートファイナンスですが、
ファイナンシャルバイヤーの手法はコーポレートファイナンスに鑑み正当なもので、
例えばユシロ化学やソトーのように使い道のない現金を
多額に抱えそれが株価に反映されていないなら、
増配を要求することにより株価は上昇するのです。
そういう投資行動の結果短期的に利鞘を稼ぐことは
効率的な企業経営に資するもので批判されるものではないのです。

そういう意味で今回の高裁の決定は、資本主義の常識に反するものであり、
世界から批判を浴びることは間違いないものと思います。
いずれにしてもスティールは23億円のキャッシュをもって、
再度TOBを仕掛けてくるでしょう。
そのときブルドックとしてはどのようにこれに対抗するのか注目されます。

by yasukiyoshi | 2007-07-10 08:36 | M&A


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