2007年 08月 15日

総会決議重視に危うさも――ブルドック買収防衛策 影響は?

ライブドアに対抗したニッポン放送事件の担当裁判長を務めた鬼頭季郎前東京高裁部総括判事と、ブルドックの防衛策を設計した岩倉正和弁護士とに対談してもらった。
http://www.nikkei.co.jp/ks/topnews/20070814f1a8e003_14.html

(CFOならこう読む)

ブルドックの買収防衛策である新株予約権の無償割当を会計・税務上どう処理すべきかという点について
鬼頭氏は次のように答えています。

「第一に株主総会の特別決議に基づくスティール以外の
株主を対象にした第三者割当増資
という見方がある。
割当価格が1円なので不公正な価格による発行であるとの非難を回避するため、
スティール側には金銭的な補償をしたという考え方だ。

第二に新株予約権の無償割当は配当の一種であり、
スティール側に現金で配当し、その他の株主には新株で配当した
という見方がある。
この場合、一部の剰余金を資本勘定に組み入れる会計処理をすべきかもしれない。

第三に新株予約権の無償割当を株式分割の一形態ととらえる見方がある。
ただ、株式分割は株主の持株比率に影響を及ぼさないものだから、
特定株主から分割株を強制的に買い取るのと同様の効果を生じさせる
今回の手法が会社法上認められるか疑問がある。」

これに対し岩倉氏は次のように返しています。
「会社法はその法的性質をつめないまま制度を導入しており、
国税当局や公認会計士に問い合わせても明確な回答は得られなかった。
法的性質が明らかになれば、
導入時にどういった点をクリアする必要があるのかが明確になるだろう。」

これに対する私の見方は次の通りです。
一旦全株主に新株予約権を付与するのだから第三者割当増資には当たらない。
これが配当か株式分割かについては、現行会社法上株式配当という考え方はないこととの
整合性をとるために株式分割ととらえることが適当であろうと思います。
実際ブルドックも配当ではなく分割株の買取・消却という考え方に従い会計処理を行っています。
そうすると上で鬼頭氏が「今回の手法が会社法上認められるか疑問がある」
との発言は気になるところです。

ところで分割株の買取・消却ならどう考えても資本取引であるのに、
企業会計基準適用指針第17号は、
「自己新株予約権を消却した場合、
消却した自己新株予約権の帳簿価額とこれに対応する新株予約権の帳簿価額との差額を、
自己新株予約権消却損等の適切な科目をもって当期の損益として処理する」
としており、ブルドックはこれに従ったものと思われますが、
この会計基準は明らかにおかしいですよね。

by yasukiyoshi | 2007-08-15 08:38 | 買収防衛策


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