2007年 09月 07日

新日鉄、株主配分を拡大 安定株主確保狙う

新日本製鉄が株主配分を拡大している。
6日、2007年9月中間期の配当を前年同期比1円増の5円にすると発表し、
2008年3月期通期での増配も示唆した。
業績好調で積み上がる利益を配当や自社株買いで株主に配分することで、
安定株主を増やす狙い。
世界的な再編が進む中、敵対的買収に備える意味もある。

2007年9月7日(金)日本経済新聞朝刊17面

(CFOならこう読む)

買収につぐ買収で昨年1月に誕生した
世界最大の製鉄会社アルセロール・ミタルによる買収防衛を狙いとした
資本政策を新日鉄は次々と打ち出しています。
記事にはこの点次のように書かれています。
「新日鉄の資本政策を読み解くには、買収防衛をキーワードにするとわかりやすい。
増配や自社株買いで株主に利益を配分し、個人など安定株主を増やす。
自社株買いには、市場で流通する株式を減らし、
敵対的な買収のリスクを抑制する効果も期待できる」


一体これは誰のための買収防衛なんでしょうか?
新日鉄の技術力、開発力がアルセロール・ミタル傘下に入ることでより生かされるなら、
そちらの方が企業価値創造という点では望ましいにきまっています。
買収にとって首がとぶ経営陣と支配構造に組み込まれている従業員は
何をしてもこれを阻止したいのでしょう。

しかし経営とは企業価値創造のコンテストであり、
現経営体制によりもより大きな企業価値を創造できる経営者が現れれば、
速やかに経営権を移動させるべきなのです。
資本主義ではコンテストの結果が株価に反映されるようになっています。
現経営陣が実現できていない企業価値の一部を株式の買取価格にプレミアムとして上乗せすることにより
経営権の移行がスムーズに進むような仕組みになっているのです。
これを入り口でふさぐべく安易に事業会社及び金融機関を中心として安定株主作りに励むのは明らかに間違っています。
このような目的で行われる第三者割当増資(普通株式への転換条項がついた社債も含む)も許されるべきではありません。

一般株主はもっと怒るべきです。
株式の希薄化をもたらすエクイティ・ファイナンスには断固として反対すべきです。
ROEを下げる要因となるような株式持合いについても
その経済合理性について徹底的に説明を求めるべきです。
一般株主がもっと声をあげるようになれば
日本の市場型資本主義はより成熟したものになるはずです。

と、ここまで書いて気がつきました。
これはデモクラシーの議論と全く同じなんですね。

by yasukiyoshi | 2007-09-07 09:09 | 買収防衛策


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