2007年 09月 08日

モック、10株を1株に併合・新株予約権で59億円調達

東京証券取引所は7日、株式併合などが「流通市場に混乱をもたらす可能性がある行為」とし、注意喚起のため投資家に公表した。
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20070908AT2E0701607092007.html

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10株を1株に併合した上で、理論株価の8分の1~10分の1という大幅にディスカウントした金額を行使価額とした新株予約権をファンドに発行します。

新株予約権が全て行使された場合、ファンドの持株比率は96.8%になります。株式併合により既存株主の80%の株式が端株となり、これを大幅に希薄化されることが予想される株価を基準に会社が買い取るというスキームです。

会社発表のプレスリリース
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/07090705.pdf
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/07090706.pdf


つまり既存株主から株式を10分の1程度の価格で買い集め、これを消却した上で100%に近い株式(新株予約権ですが)をファンドに割当てるという、既存株主から見れば強奪に近いものです。

もちろん株主総会で反対票を投じる機会はあるのですが、会社法における少数株主の保護は極めて不完全ですので、結局はプレスリリースの通り事が運ばれるのでしょう。

何故こんなスキームが可能になるかと言うと、10株を1株に株式併合しても発行可能株式数の枠が減らないためです。現在の発行済株数が13万4263株、発行可能株数が30万株。

発行済株式数の4倍まで発行可能株数を拡げることが可能なので、9月26日の株主総会で発行可能枠を53万7000株に引き上げ。同時に株式併合を決めるので、発行株数は1万3426株に減るので、53万7000株―1万3426株=51万3574株(既発行株数の約50倍)
の株式を新規に発行することが可能となるのです。

会社法が既発行株数の4倍までしか発行可能枠を認めていないのは、新株発行により既存の株主が被る持分比率の低下の限界を画するためです。したがって株式併合により発行可能枠もそれに比例する形で自動的に減少すべきなのですが、現行会社法ではそうはなっていません。この点は、会社法の重大な欠陥です。

そしてこういった法の欠陥をついて既存株主の財産権を強奪するようなファイナンススキームは決して容認されるべきではありません。東証には公表措置のみならず、株主保護のための毅然とした対応を望みます。

こんなことが許される国の株式市場には、恐くてとても一般投資家は近づけません。

by yasukiyoshi | 2007-09-08 09:55 | 資金調達


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