吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 09月 12日

トップに聞く企業戦略 高島屋 鈴木弘治社長 統合よりコスト構造改革

三越と伊勢丹が持株会社方式での経営統合を決めるなど百貨店の再編機運が高まるなか、
売上高首位の座を譲り渡した高島屋。
規模拡大の利点をテコに攻勢を強めるライバル各社にどう対抗するのか。
鈴木弘冶社長に聞いた。

2007年9月12日日経新聞朝刊17面

(CFOならこう読む)

皆さんは百貨店の再編をどのように見ていますか。
M&Aの動機づけとして最も重要なのはシナジー創出ですが、
百貨店の統合からどのようなシナジーが獲得できるのか今ひとつよくわかりません。
バイイング・パワーの増大といった仕入面でのメリットが強調されることが多いのですが、
これが実際にどの程度利益に貢献するか経営陣が口にすることはまずありません。

百貨店の企業再編を企業財務的に説明すると、
結局のところ固定費を賄うだけの売上が現状獲得できていないので、
損益分岐構造を変えなければ企業存続が危ぶまれるため、
統合により一定の売上規模を確保した上でリストラにより間接費を大幅に削減し、
何とか目先の利益を確保しようというだけのものか、
三越のように買収防衛策として統合をきめるくらいのものだと私は思っています。
そこには顧客の視点を踏まえた長期的な経営戦略といったものは存在しません。

そんな中で再編の動きが取り残されたかのように見える高島屋の社長がどう考えているか、
興味深く記事を読みました。

「二つの百貨店ブランドを展開するといっても統合の過程で三越の伊勢丹化か、
あるいはその逆の現象が起こるだろう。
そうなると個々のブランドを支えていた個性や強みが薄れるリスクは否定できない」

「統合競争をする気はないし、単なる規模を追う統合はナンセンスだ。
統合で店舗数がいくら増えても、
地方の小規模店の寄せ集めでは仕入れ条件の改善にはつながらない」

「経営統合で売上高がどれだけ増えるかという議論ばかり目立つが、感心しない。
重要なのは自前の資金でどこまで改装などの投資を賄えるか。
自前で必要な資金を調達できない会社が統合を選ぶ、
つまり改装が再編を呼ぶケースも出てくる。
その意味では稼ぎ出すキャッシュフローの多寡が勝ち残りを決めるカギとなる」


まさしく正論ですね。
M&Aを考える全ての企業が、
そのM&Aの効果を鈴木社長の視点から冷静に考えてみると良いでしょう。
多くのM&Aは単に売上規模が増えるだけの、
言い換えると経営者の自己満足のためのM&Aであることに気づくはずです。

by yasukiyoshi | 2007-09-12 08:59 | M&A


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