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2007年 09月 27日

フリージア株対価のTOB実施へ

フリージア・マクロスは自己株式を対価にした株式公開買付(TOB)を技研興業に対して実施する方針だ。自己株対価のTOBは国内企業で初めてという。
(日本経済新聞2007年9月27日朝刊)

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自己株を対価とした株式取得をエクスチェンジ・オファーといいます。

金商法は公開買付の対価として自社株式を用いることを認めています。米国その他海外では、現金と自社株の両方を対価としたTOBが主流です。ところが日本でこれが行われていないのは、次のような法的問題点が指摘されているからです。
①税法上の問題
税法上売り手に売却損益が計上される。実際には売り手は現金を手にしておらず株式の銘柄が変わっただけなのに、課税されてしまい、納税原資が手当できない。

②会社法上の問題
(1)現物出資
買い手は買収対象会社株式を受入資産とする増資を行うことになり、これ自体現物出資とみなされる。

(2) 有利発行
買い手がプレミアムを支払って買収対象株式を取得した場合、新株を特に有利な価格で発行したとみなされる可能性があり、株主総会の特別決議を要する。
フリージアのエクスチェンジ・オファーはこれをどう解決するのでしょうか。
順番に検討してみましょう。

①税法上の問題
今回の買い付け予定株数は発行済株式総数の8.37%と小さなものであり、売り手は特定されているものと思われます。売り手の株式簿価が高いため売却損が計上されるか、または税務上の繰越欠損金を抱えている場合、税法上の障害はありません。

おそらく予定されている売り手はどちらかの状態であるのでしょう。他の株主は税法上の問題からTOBに応募してこないと考えられるので、予定株数以上の買い付けを行いたくない場合にはエクスチェンジ・オファーは逆に都合が良いのかもしれません。

②会社法上の問題
(1)現物出資
検査役の検査の有る無しが問題です。この点現行会社法は、受入資産が時価のある有価証券である場合検査役検査は不要としているので問題なくなりました。

(2)有利発行
技研興業株1株に対しフリージア株4株を割当てる予定となっています。26日終値ベースで、フリージア株が28円、技研興業株が130円ですので、上の割当比率ではディスカウントになっています。新聞記事によると「技研興業の株主に対してプレミアムを払う必要があるため、割当比率はTOB期間中に変更する可能性もある」とのことで、プレミアムの支払が示唆されています。

有利発行であるかどうかは、時価の90%を下回るかどうかで判断されるので、10%程度のプレミアムなら有利発行とはみなされません。26日の株価により割当比率を計算すると、130円×1.1÷28円=5.1株となるので、技研興業株1株に対しフリージア株5.1株以下の割当であれば有利発行にはなりません(130円÷5.1株=25.5円>28円×90%)。

TOB期間中、価格の引き下げができないのでとりあえず1:4という水準でスタートし、有利発行にならないぎりぎりのところで最終的な割当比率を決定するものと推測されます。こういう形であればエクスチェンジ・オファーをTOB対価として利用できる企業は多いのではないでしょうか?

by yasukiyoshi | 2007-09-27 08:53 | M&A


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