吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 10月 19日

東芝、ソニーの「セル」製造設備買収・半導体事業の中核に

東芝は18日、ソニーのゲーム機「プレイステーション3」に搭載する最先端半導体「セル」の製造設備を来年3月末までにソニーから買収すると正式発表した。ソニーのセル生産事業を引き継ぐことで、東芝のシステムLSI(大規模集積回路)の売上高は現状より2割強増え約6700億円となる見通しだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20071019AT1D1808B18102007.html

【CFOならこう読む】
記事によると「東芝の半導体事業全体の売上高はソニー向けセルの供給分を加えることで年1兆5千億円に達し、半導体世界3位のテキサス・インスツルメンツ(売上高約1兆6千億円)に近づく」とのことです。

今回の取引は、東芝、ソニーともにコアビジネスに集中するためのもので、両社にとってメリットがあるものと評価できます。スキームの詳細は現時点で公表されていませんが、東芝本体が現金1,300億円で生産設備を買い取り(事業譲受)、それを新設する生産管理会社(持株比率:東芝60%、ソニー20%、ソニー・コンピュータ・エンタテインメント20%)に賃貸することになるようです。

会社分割というような株式を対価とするスキームによらないのは、ソニーにとってこの取引が半導体事業というコアではない事業に関わるリスクを遮断することにあるので、これを株式保有という形で保持したくなかったということと、今後エレクトロニクス事業等コアビジネスに集中投資するための原資となるキャッシュが必要であるためだと推測されます。

現金で生産設備を売却し、その上でPS3向けの生産を共同で行うために設立された新会社に設備を賃貸するという方式は、工場のアウトソーシングを検討しているすべての会社にとって参考になるものだと思います。

余談ですが、昨日お話しした「のれん」は事業譲渡の場合にも発生します。したがって東芝本体はこの取引によりのれん償却のタックスメリットを享受することになります。

【リンク】
高性能半導体の生産力強化を目的とした新たな協業体制の構築に向け新合弁会社の設立で基本合意
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2007_10/pr_j1801.htm


by yasukiyoshi | 2007-10-19 08:21 | M&A


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