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2007年 10月 24日

新株予約権を利用した買収―ウォルマート・西友のケース

米ウォルマート、西友を完全子会社へ・1000億円投じTOB
世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズは22日、50%超を出資する東証1部上場の大手スーパー、西友を完全子会社にするためTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D220B8%2022102007&g=S1&d=20071022

【CFOならこう読む】
2002年3月に西友とウォルマートは包括業務提携し、その内容は次の通りでした。
業務提携
①日本国内における成長戦略モデルの構築に向けた相互協力(商品調達、IT戦略、販売手法、新店舗の共同開発)

②ウォルマートによる西友の営業力アップと収益構造改革への協力

資本提携
①第三者割当増資
 2002年5月に60億円出資

②新株予約権割当
 新家具予約権の内容
 発行価格:無償
 行使価格:270円(2回、3回は2003年1月1日より、年率5%ずつ上方に修正)
 (1) 第1回
  行使期限:2002年12月27日
  株数:192,800,000株
  この段階でウォルマートの出資比率33.4%、筆頭株主となる。
 (2) 第2回
  行使期限:2005年12月末日
  株数:232,100,000株
  この段階でウォルマートの出資比率50.1%、西友はウォルマートの子会社となる。
 (3) 第3回
  行使期限:2007年12月末日
  株数:471,400,000株
  この段階でウォルマートの出資比率66.7%となる。


ウォルマートは日本市場という経験のない市場に参入するに際し、初期投資額を最小限に抑え、かつ追加投資と子会社化する権利を温存するために段階的に新株予約権を行使する手法を選択しました。

これは当時いつでも撤退することができるようしたものと解釈されていましたが、今考えると投資額を最小限に抑えるために新株予約権でリスクヘッジした上で、この買収をやりとげるというコミットメントを示したものだったのかもしれません。

実際第1回の新株予約権は行使されたものの、第2回の新株予約権は行使されていません。しかしウォルマートは西友に対し出資を継続し、現時点で50.9%の持株比率を保持しています。22日に行われた記者会見でもウォルマート副社長ブレット・ビックスは“コミットメント”という言葉を効果的に使っているのが印象的でした。

ウォルマートが採用した新株予約権を活用したM&Aは、未知の市場でM&Aを考えている全ての企業が選択肢のひとつとして検討すべきものになると私は思っています。

【リンク】
Yahoo!ファイナンス:株式会社西友
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=8268.t&d=c&k=c3&a=v&p=m130,m260,s&t=5y&l=off&z=m&q=c&h=on


by yasukiyoshi | 2007-10-24 09:11 | M&A


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