2007年 10月 27日

事後の買収防衛策:買収の是非を判断するのは経営者ではなく株主である

敵対的買収者出現後の防衛策、導入ルール検討・経産省研究会
経済産業省の企業価値研究会(座長、神田秀樹東大大学院教授)は26日、敵対的買収者が現れた後に企業が買収防衛策を導入・発動する際のルールづくりに着手した。買収者に手を引かせるため金銭を補償しなくて済むようにするほか、事後の防衛策導入に株主の3分の2の同意(特別決議)は不要とする方向で調整する。来春までに報告書をまとめる方針だ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071027AT3S2602J26102007.html

【CFOならこう読む】
事後の防衛策導入に株主総会特別決議を不要とする方向で調整するとのことです。

昨日の企業価値研究会会合では、「特別決議が可能な態勢を目指した株式持ち合いの動きが復活する」との懸念が示され、特別決議は不要との意見が大勢を占めたということです。

しかしこれは程度の問題で、事後的に株主総会の決議(かりに普通決議であったとしても)によりあらゆる買収者を排除できるのであれば、結局経営者は過半数の安定株主作りのために株式持ち合いに走るでしょう。

M&Aの最も重要な効用は、株主価値(企業価値)を創造しない経営者の交替を促すところにあります。だからこそ経営者は規律づけされ、私的に会社の資産を浪費するといったことが厳しく戒められるのです。

今企業価値研究会が考えるべきことは、株主総会の決議が特別決議か普通決議かなどといった皮相的なことではなく、企業価値を創造する買収であれば経営者がどんなに反対しようが株主の意思で実現できる仕組みを作ることだと思います。それには株主総会が長期的に株主価値を創造するか否かにより買収の是非を判断できるように機能させることが絶対に必要不可欠なのです。

第三者割当増資という名のもと実質的に経営者が支配している取締役会の決議により、株主をいかようにも選択できるのなら、いくら株主総会の決議を諮ったところでそれが株主価値の創造、ひいては公共の利益につながる保証は全くないのです。

企業価値研究会などという仰々しい名前をつけているのですから、ぜひともそこにメスを入れてもらいたいと切にお願いする次第です。

【リンク】
企業価値報告書2005年5月27日「公正な企業社会に向けた提案」(PDF)
http://www.meti.go.jp/press/20050527005/3-houkokusho-honntai-set.pdf


by yasukiyoshi | 2007-10-27 09:28 | 買収防衛策


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