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2007年 11月 01日

株式交換比率の決め方―シティ・日興のケース

日興1株に1700円相当のシティ株 交換契約を締結
米シティグループと日興コーディアルグループは31日、日興をシティの完全子会社にする株式交換契約を締結した。来年1月29日に日興株1株当たり1月15日-17日の(シティ株の)加重平均単価で1700円相当のシティ株と交換する。
(2007年11月1日日本経済新聞朝刊7面)

【CFOならこう読む】
株式交換の日程は次の通りです。
株主総会基準日: 2007 年 10 月 28 日
株式交換決議取締役会: 2007 年 10 月 31 日
株式交換契約締結: 2007 年 10 月 31 日
株式交換承認総会: 2007 年 12 月 19 日
株式交換効力発生日: 2007 年 1 月 29 日

ですから株主総会では株式交換比率が決まっていないことになりますね。

効力発生日直前の買い手株式の市場価格に基づき割当比率を決めるという今回の方式は、大株主が株式交換により上場会社を完全子会社化する場合に、今後必ず参考にされる事例となりそうです。

また売り手・買い手が明確な場合に(ほとんどの場合がそうだと思いますが)、買い手が売り手の株主価値をはっきりと示し、株式交換比率の決定は買い手の株式の価値は直近の市場価値によるという方法は、非常に透明性が高く問題が少ないと思います。またシナジーの分配という点でも、プレミアムが明らかになるのでわかりやすいといえます。

一部会社法学者の「合併によるシナジーは、合併後の存続会社の株式の価値に反映するから、消滅会社の株主が、合併前の評価において自己が有していた株式と等しい経済価値の存続会社の株式を取得するのであれば、シナジーも含め公正な分配を受けたと言いえる」(江頭憲治郎 株式会社法 有斐閣)という意見に私は与しがたいと考えていましたが、今回の事例はプレミアムを売り手に与える形で交換比率を決めているという意味で今後の法的な解釈に影響を与えるかもしれません。

もっとも今回のディールはサブプライム問題の影響を受けてシティ株式の市場価格が低下しているという局面で行われており、比率の決定は極力先送りしたいというシティの本音が透けて見えるような気もしますが…。

【リンク】
株式交換契約締結、余剰金の配当及び決算期の変更に関するお知らせ(PDF)
http://www.nikko.jp/ICSFiles/afieldfile/2007/10/31/1_071031_1.pdf


by yasukiyoshi | 2007-11-01 09:41 | M&A


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