2007年 11月 02日

外国企業の買収―GCAのケース

GCA、新持ち株会社08年3月に上場・米投資銀と統合を発表
M&A(合併・買収)助言のGCAホールディングスは1日、米投資銀行のサヴィアン(カリフォルニア州)と経営統合すると正式発表した。東証マザーズに上場しているGCAは来年2月26日に上場廃止となり、新設する持ち株会社「GCAサヴィアングループ」が3月3日に同市場に上場する予定だ。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2E01002%2001112007&g=S1&d=20071101

【CFOならこう読む】
GCAホールディングスの渡辺社長は、昨日の記者会見で、今回採用した手法を「日本企業が米国の未上場企業を買収する際に最善の方法」と説明しました。これがどのようなスキームであるかは、新聞報道だけ見ていても良くわからないと思いますので、今日は少しこれを解説してみたいと思います。

買収は次の3つのステップにより行われます。
① 日本国内に米サヴィアンを間接的に保有する持株会社サヴィアン(株)を設立する
② GCAホールディングスと日本法人であるサヴィアン(株)が共同株式移転により持株会社GCAサヴィアングループを設立する
③ 持株会社GCAサヴィアングループが日本法人であるサヴィアン(株)を吸収合併する

この結果持株会社GCAサヴィアングループの下に日本法人であるGCAホールディングスと米サヴィアンがぶら下がる形になります。

①のサヴィアン(株)は次の方法により設立します。
(1)買収対象であるサヴィアンLLCの持分権全てを現物出資してサヴィアン,INC.を設立する
この段階でサヴィアンLLCの株主はサヴィアン,INC.の株主となり、サヴィアンLLCはサヴィアン,INC.の100%子会社となります。

(2)次にサヴィアン,INC.株式全てを現物出資して日本法人サヴィアン(株)を設立します。
これによりもとのサヴィアンLLCの株主は、日本法人サヴィアン(株)の株主となります。そしてサヴィアン,INC.はサヴィアン(株)の100%子会社となります。

上記 (2)の段階でサヴィアン株主に課税が生じる可能性がありますが、この点について現在米国内国歳入庁に確認中であり、万が一課税が生じることになった場合には、スキーム自体中止することもあるとのことです。つまりこのスキームが最後まで実行できた場合、米国での課税がなかったと考えてよいことになります。

日本国内で行われる株式移転は、共同事業をおこなうための適格要件を満足すると考えられることから課税は生じません。また会計上は持分プーリングで行けるため、簿価によりサヴィアンの資産・負債が引き継がれます。つまりのれんが生じないので、のれん償却費の負担がありません。

企業結合会計基準は、持分プーリングでいける要件として次の3つを要求しています。
① 企業結合に際して支払われた対価のすべてが、議決権のある株式であること
② 結合後企業に対して各結合当時企業の株主が総体として有することになった議決権比率が等しいこと(50対50から上下概ね5%の範囲内にあること)
③ 議決権比率以外の支配関係を示す一定の事実が存在しないこと

本件では、持株会社GCAサヴィアングループの株式総数は336,219株。うちGCAホールディングス株主に割当てられる株式数は184,920株、サヴィアンLLC株主に割当てられる株式数は151,299株、ほぼぴったり55%:45%になります。

正直えげつない感じは免れませんね。

【リンク】
「サヴァイアンとの経営統合」GCAホールディングス株式会社(PDF)
http://ir.eol.co.jp/EIR/2126?task=download&download_category=tanshin&id=500511&a=b.pdf

「共同株式移転による経営統合に関するお知らせ」GCAホールディングス株式会社(PDF)
http://ir.eol.co.jp/EIR/2126?task=download&download_category=tanshin&id=500508&a=b.pdf


by yasukiyoshi | 2007-11-02 09:36 | M&A


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