吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

cfonews.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2007年 11月 07日

株式交換比率の決め方―シティ・日興のケース

シティグループ幹部、「問題の修復には来年半ばまでかかる」
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米シティグループ(NYSE:C)のチャールズ・プリンス氏が会長兼最高経営責任者(CEO)を辞任した翌日の5日、シティ幹部は、信用市場の混乱による諸問題を解決するには来年半ばまでかかるとの見通しを示した。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBVY1761.html

東証のシティ株、300円安の4250円
東京証券取引所に5日に上場した米シティグループの株価が下落した。6日の終値は前日終値比300円安の4250円(約37ドル)。5日のニューヨーク株式市場で前週末比4.9%安の35.90ドルと安値を付けた流れを東京市場でも引き継いだ。東京の売買高は極端に少なく単純な比較はできないが、ニューヨークの水準は上回っている。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C0602Z%2006112007&g=E3&d=20071106

【CFOならこう読む】
シティ株のニューヨーク市場における6日終値は35.080ドルと交換の下限である
37ドルを下回っています。この状況を受けて日興株主が損をするかの報道がありますが(日本経済新聞11月6日夕刊1面)、これは間違っていると私は思います。

交換は上限58ドルと下限37ドルの間で行われるわけですが、このレンジは、シティのファンダメンタルズに基づき評価されたものであるはずなので、中長期で株式保有しようと考えている株主にとっては、株式割当時点の株価がどうであろうとあまり問題にならないはずです。

というより、1月15日-17日の間ずっと37ドルを下回って株価が推移されれば、想定される最大数のシティ株式が付与されるのですから、それは日興株主にとって望ましいと言えます。また即時現金化を考えている株主でリスクをヘッジしたい株主は、株式買取請求権を行使して公正価格(おそらく1700円)で会社に買い取ってもらえば良いのです。

つまり損得で言うと現状で得をするのは日興株主、損をするのはシティ株主であると言えるのです。

【リンク】
Citigroup Inc:Boomberg.com
http://www.bloomberg.com/apps/quote?ticker=C:US


by yasukiyoshi | 2007-11-07 08:49 | M&A


<< 買収防衛策としての転換社債型新...      株式交換比率の決め方―日本製紙... >>