2007年 11月 10日

ジャスダック新市場NEO―技術系ベンチャー向け???

ジャスダックが開設した技術系ベンチャー向けの新市場、NEO(ネオ)の取引が13日に始まる。企業が持つ技術の信頼性を外部の人材を活用しながら見極めて上場の可否を決めるのが特徴。技術に「お墨付き」を与えて投資家に安心感を与える狙いだ。ただ、業績失速などが相次いだことで新興市場に対する投資家の視線は厳しい。質の高い上場を続けるための運営能力が問われる。
(日経金融新聞2007年11月8日1面)

【CFOならこう読む】
私は常日頃ジャスダックを相続税対策銘柄市場と揶揄しています。

実際ジャスダック市場には安定成長型企業が多く、業種別内訳を見ても最も多いのが卸売りで14%、次いで小売り13%となっています。そこで流動性の高い高成長銘柄を呼び込むための新たな受け皿として新市場の創設が必要と判断されたのです。

NEOは自らを、成長可能性のある新技術を有する企業を支援する市場であると説明しています。NEOの最大の売りは「技術評価」にあります。すでにこのイメージは一般に認知されるところになっています。しかし、実は技術評価を経ずにNEOに上場することもできるのです。企業が技術を既に製品化し、収益を上げている場合は技術評価が不要なのです。実際NEO上場第1号ユビキタス、第2号ウェブマネーともに黒字企業で技術評価を受けていないのです。

これは“広告に偽りあり”ってことになるんじゃないでしょうか。また技術評価といったって「技術が実際に存在し虚偽がないか判断する」「実用化までにどのような課題があるかを調べる」といった程度のもので、いかに画期的な技術であるかといった積極的な評価をするわけではないのです。技術があっても売上や利益に結びつかない会社を我々は山ほど知っています。この程度の“技術評価”ならマザーズでもヘラクレスでも既にやっていると思うのですが…。

もう一つのNEOの特徴であるマイルストーン開示もその実効性に首をかしげざるを得ません。マイルストーン開示についてジャスダックは次のように説明しています。
「『NEO』の上場会社は、四半期ごとにマイルストーン開示を行うこととしています。マイルストーン開示には、『NEO』の上場会社の3年以上の期間に係る事業計画の内容及びその前提条件、マイルストーン開示を行う時点における事業計画の進捗状況並びに今後の達成の見通し及びその前提条件等について記載することとしています。なお、当該事業計画は、1年毎に見直しを行い、各事業年度において、常に3年以上の事業計画が開示されていることが求められます。」

市場のテストを受けていない新製品の開発をしている会社のマイルストーンにどの程度の意味があるのでしょうか?結局1年毎にできない理由を聞かされるだけのことになるのではないでしょうか?というよりまともな企業なら極めて不確実性の高いマイルストーンを様式に従って開示することなんぞ拒否するのではないでしょうか?

そんなわけで私はNEOの将来性には極めて懐疑的です。

【リンク】
「NEOについて」ジャスダック証券取引所
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_neo1.jsp
マイルストーン開示に係るガイドラン
http://www.jasdaq.co.jp/data/milestoneguideline.pdf
「[NEO誕生]“元祖ベンチャー市場”の意地見せるJASDAQの挑戦」CNET 2007年11月08日
http://v.japan.cnet.com/column/sp/story/0,3800078138,20360545,00.htm


by yasukiyoshi | 2007-11-10 10:24 | IPO


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