吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 11月 13日

買収防衛策としての転換社債型新株予約権付社債の発行―オートバックスセブンのケース その3

オートバックスセブンは12日、大株主の英運用会社による新株予約権付社債(転換社債=CB)発行差し止めの仮処分申請が東京地方裁判所で同日却下されたと発表した。
(日本経済新聞 2007年11月13日 17面)

【CFOならこう読む】
「買収防衛策未導入の企業経営者のみなさ~ん、とってもお手軽な買収防衛策を裁判所が認めてくれましたよ~。大量のCBを友好的なファンドに発行しておけば良いのです。資金使途は適当で構いません。そうですねぇ~、『事業ポートフォリオ再構築のためのM&Aに使用する予定』とでも言っておけば良いでしょう。」

今日の日経新聞1面の“試される司法”の中で、「市場への理解が足りないような司法判断の軌道修正のため、行政が早く指針を出すべきだ」との声があがり始めているとの指摘があります。一方「法的根拠に基づかない事前規制がはびこった時代への回帰にすぎず、全くナンセンス」との意見も同じ記事の中で紹介されています。

「司法は市場への理解が足りない」点については、オートバックスセブンを見ても明らかでしょう。じゃあ行政に頼れるかというとそんなことは全くないのです。

12日に行われた北畑経済産業省事務次官の記者会見の中で、スティールがサッポロに対し経営計画を示したことについて、「(株式を)25%以上買った実績がない。それでは経営に参画できない」、「株式を安く買って高く売るという実績しかない。今回言っていることを額面通り受け取っていいかは株主が冷静に判断するべきだ」と強調したそうです。この人から本気で外国資本を日本に導入しようという気持ちは見えてきません。
北畑経産次官、スティールの経営手腕を疑問視
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S1201H%2012112007&g=E3&d=20071112

そんな中で今年9月に公表された「公開会社法要綱案」に私は期待します。本要綱案は、神田秀樹東京大学教授と上村達男早稲田大学教授を中心に作成されたもので、次の3点を特色としています。
1.金融商品取引法と公開会社法の統合
2.証券市場の要求を担える企業統治
3.企業集団は公開会社法の基本的要素

要綱案2.08 証券の発行価格に次のような規定があります。

① 公開会社は、正当な理由がある場合を除き、市場価格又はそれに準ずる価格で公募により新株を発行しなければならない
② ①によらない場合には、正当な理由を示して株主総会特別決議により市場価格ないし市場価格に準ずる価格を下回る価格での新株発行が認められる。

「市場機能を発揮させるための法制度」が必要であるとの神田、上村両教授の“思い”を私は支持します。

【リンク】
2007年11月12日「新株予約権付社債発行差止仮処分命令の申立て却下に関するお知らせ」株式会社オートバックスセブン
http://www.autobacs.co.jp/seven/release/news.php?id=947&PHPSESSID=6c9f374efabb027d75a6b346d1c15063

「公開会社法要綱案」(第11 案)の概要について 日本取締役協会・金融資本市場委員会
http://www.jacd.jp/report/071017_03report.pdf

公開草案「公開会社法要綱案 第11 案」の意見募集について
http://www.jacd.jp/report/071017_01report.pdf

「公開会社法要綱案とは何か」2007年10月17日金融資本市場委員会・日本取締役協会
http://www.jacd.jp/report/071017_02report.pdf


by yasukiyoshi | 2007-11-13 09:06 | M&A


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