吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

cfonews.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2007年 11月 17日

TOBとインサイダー取引規制―オリックス・アスキーのケース

オリックス、アスキーソリューションズ向け増資引き受け中止
オリックスは16日、大証ヘラクレス上場の情報システム会社、アスキーソリューションズが同日払い込みで実施を予定していた第三者割当増資の引き受けを取りやめたと発表した。アスキーソリューションズの決算内容に疑義があると判断したため。現在実施中のアスキーソリューションズ株へのTOB(株式公開買い付け)は継続する。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D1607G%2016112007&g=S1&d=20071116

【CFOならこう読む】
公開買付者であるオリックスはデューデリジェンスの中で未公表の重要事実を知ったものと思われますが、このままTOBを完了した場合インサイダー取引規制違反とならないのでしょうか?

金商法166条は、会社関係者または情報受領者が上場会社等に係る業務等に関する重要事実を知った場合、それが公表された後でなければ、当該上場会社等にかかる株券等の売買が禁止されると規定しています。

インサイダー取引規制は市場取引だけでなく市場外取引も対象となるので、TOBもインサイダー取引規制の対象になります。ただし金商法166条6項8号は次のようにインサイダー取引規制の適用除外を定めています。
上場会社に係る第1項に規定する業務等に関する重要事実を知る前に締結された当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等に関する契約の履行又は上場会社等に係る同項に規定する業務等に関する重要事実前に決定された当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等の計画の実行として売買等をする場合その他これに準ずる特別の事情に基づく売買等であることが明らかな売買等をする場合(内閣府令で定める場合に限る
これを受けて取引規制府令6条1項8号で、「業務等に関する重要事実を知る前に法第27条の3第2項の規定に基づく公開買付開始公告を行った法第27条の2第1項に規定する公開買付け等の計画に基づき買付け等を行う場合」を定めています。

つまり重要事実を知る前にTOBを開始している場合には、その買付け等はインサイダー取引規制の違反とはなりません(逆に言うとTOB開始前に重要事実を知っていてそれを公表せずに株券等を買い付けることはインサイダー取引規制違反になります)。

ただしTOB開始後に知った重要事実については訂正公開買付届出書を提出しなければなりません(金商法27条の8第2項)。重要事実の開示がないまま株主が応募するかしないかの判断をしなければならないということでは株主が不利益を被る恐れがあるからです。

したがってオリックスは訂正届出書を提出しなければならないと思いますが、それを受けてアスキーソリューションズ自身が重要事実の公表を行うか否か注目されます。

【リンク】
平成19年11月1日「当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」株式会社アスキーソリューションズ
http://www.asciisolutions.com/ir/pdf/20071101ir2.pdf

平成19年11月16日「第三者割当増資の結果に関するお知らせ」株式会社アスキーソリューションズ
http://www.asciisolutions.com/ir/pdf/20071116_1ir.pdf


by yasukiyoshi | 2007-11-17 08:58 | TOB


<< 金庫株は消却すべきか?―キヤノ...      自社株買いによるEVAの改善―... >>