吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

cfonews.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2007年 11月 28日

純粋持株会社へ移行―イオンのケース

イオン、持ち株会社移行・08年度、上場30社など傘下に
イオンは27日、2008年度中に持ち株会社に移行する方針を固めた。中核事業である総合スーパーを別会社として分離する一方、グループ全体の戦略策定を持ち株会社が担う。内外約30の上場会社を含めて、約150のグループ会社が傘下に入る形態は珍しい。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2F2700V%2027112007&g=S1&d=20071127

【CFOならこう読む】
スキームの詳細は不明ですが、現在事業持株会社であるイオンから「ジャスコ」を中心としたGMS事業を新設会社分割により分割し、不動産事業は吸収分割によりグループ各社に分割し、現イオンはグループ全体の経理・財務を担当する純粋持株会社へ移行することが予想されます。

セブン&アイは純粋持株会社で、傘下の企業のほとんどが100%子会社としてその下にぶら下がる形をとっているのに対し、イオンは事業持株会社の形式をとり、傘下の企業は必ずしも100%子会社ではなく、それぞれの企業の独自性を維持しながらグループとして緩やかに提携していくという方針で運営されてきました。

そういう意味で本来イオングループはジャスコが支配するグループではないので、ジャスコも他のグループ企業と同様に純粋持株会社の下にぶら下がるのが望ましいと考え今回の組織再編に至ったのでしょう。
しかし必ずしも持株比率にはこだわらず、純粋持株会社の下でゆるやかに傘下のグループ会社が提携するというイオン流のグループ経営には、グループ全体をスピード感豊かに一つの方向性を持って経営するという意味で大きな弱点を抱えており、この弱点は純粋持株会社へ移行しても簡単には解消されないと思います。

最近イオンが15%の持分を保有するCFS(HAC等のドラックストアを展開)がアインファーマシーズ(調剤薬局を運営)と経営統合することをイオンの承諾なく決定し、イオンはこれに正式に反対の意向を表明するという事件がイオン流の経営の難しさを象徴していると私は思います。

【リンク】

2007年11月27日「会社分割による持株会社の設立構想について」イオン株式会社
http://www.aeon.info/ICSFiles/afieldfile/2007/11/27/071127R_2.pdf

平成19年11月6日「株式移転計画書の作成及び最終契約書締結のお知らせ」株式会社CFSコーポレーション/株式会社アインファーマシーズ
http://www.cfs-corp.jp/corp/ir/pdf/briefnote/c_44.pdf


by yasukiyoshi | 2007-11-28 09:21 | 純粋持株会社


<< のれんの償却期間延長―ゼンショ...      キャッシュリッチ企業による普通... >>