2008年 01月 07日

企業買収における条件付取得対価の会計処理ーアステラスのアジェンシス買収のケース

アステラス製薬は米バイオベンチャーのアジェンシス(カリフォルニア州)を先月買収したのに伴い、2008年3月期以降の6期で合計580億円超ののれん償却を強いられそうだ。単年度の償却負担は最大158億円程度まで膨らむ見通し。ただ中期経営計画で掲げた11年3月期の連結営業利益2800億円(今期見通し比9%増)は変えない見通しだ。
(日経金融新聞2008年1月7日4面)

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買収金額は3億8700万ドル(1ドル109円換算で約422億円)。アジェンシスは純資産をほとんど持たないため、このほぼすべてがのれんに計上され、2008年1月から2012年12月までの5年間で償却される予定です。さらにアステラスはアジェンシスの新薬研究の進展に伴い、成功報酬として対価(上限1億5千万ドル=約164億円)を支払う契約になっています。

この成功報酬部分の会計処理は、企業結合に係る会計基準三2.(2)⑤条件付取得対価の会計処理に従い、「条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に認識するとともに、のれん又は負ののれんを追加的に認識」することになります。ここで「追加的に認識するのれん又は負ののれんは、企業結合日時点で認識されたもの仮定して計算し、追加認識する事業年度以前に対応する償却額及び減損損失額は損益として処理する」(企業結合に係る会計基準 注11)点に注意が必要です。

したがって成功報酬が2009年3月期に発生した場合は、2009年3月期に164億円÷60ヶ月×15ヶ月(2008年1月~2009年3月)=41億円がのれん償却費として追加計上され、また成功報酬が2010年3月期に発生した場合は、2010年3月期に164億円÷60ヶ月×27ヶ月(2008年1月~2010年3月)=73.8億円がのれん償却費として追加計上されます。

業績見通しや中期経営計画にはこの不確定要因を織り込む必要があります。アステラスは一昨年、2011年3月期に連結営業利益2800億円を目指す中期経営計画を発表済みですが、利益の上積みによりのれん償却費の影響は吸収できるとして、計画の変更は行わない予定でいるようです。

【リンク】
(11/27)アステラス、米バイオ医薬VBを買収 NIKKEI NET
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/ma.aspx?site=MARKET&genre=y2&id=AS1D2708E%2027112007

2007年11月27日「米国バイオベンチャーAgensys,INC.買収に関するお知らせ」アステラス製薬株式会社
http://www.astellas.com/jp/company/news/2007/pdf/071127.pdf


by yasukiyoshi | 2008-01-07 08:28 | M&A


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