2008年 01月 09日

IPOに向けた資本政策ー種類株式の利用

東証、無議決権株4月にも上場制度・資金調達多様に
東京証券取引所は、株式を公開していない企業が議決権のない株(無議決権株)だけを上場できる制度を設ける方針だ。早ければ4月からの実施をめざす。創業間もない新興企業などが経営の枠組みを維持したまま成長に必要な資金を調達する手段を増やす。無議決権株は一般的に普通株より配当が高い種類株の一種。上場により一般投資家の選択肢も増えることになる。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080109AT2C0801608012008.html

【CFOならこう読む】
私は新興市場に新規上場する会社の資本政策策定のお手伝いを数多く行っています。資本主義体制化の企業は所有と経営の分離が大前提ですが、資本市場から資金調達しない非公開企業はその限りではありません。同族会社が厳しい規律のもと好業績をあげ続ける事例は数限りなくあります。上場企業の場合は、多数の一般投資家にリスクが分散され、大きなシェアを持たない多数の一般投資家の民意により経営の大枠が決定されるのが基本です。一方新興市場に新規上場する会社の場合、組織的な経営など行われておらず、もっぱらオーナー経営者の実力で上場にこぎつけることができているケースがほとんどでしょう。こういう会社も資本市場には必要です。大きく成長した暁に、結果として所有と経営が分離して行けば良いのです。それまではオーナー経営者が安定した経営権を持って経営に当たることが一般投資家にとっても望ましいと言えます。

ところで新規上場企業の資本政策は、オーナー会社型かVC(ベンチャーキャピタル)型かによって大きく異なります。オーナー会社の場合、過半数の持分を持ったまま上場することが比較的容易です。ところがVC型の場合、上場までに何度かエクイティファイナンスを実行しており、経営者のシェアは過半数ぎりぎりという場合も少なくありません。この場合上場時の公募により経営者のシェアは過半数を下回ることになります。ところが先ほどもお話しした通り、オーナー会社型であろうがVC型であろうが、少なくとも新興市場にいる間は、経営者に安定した経営権を付与しておいた方が一般投資家にとっても望ましい場合が少なくないのです。したがって非公開企業が無議決権株式を上場できるという方向性は正しいと思います。しかしこれが買収防衛策その他誰かの利権を守るために使われることは許されません。東証にはこの点に十分留意した上で制度整備及び運用を行ってもらいたいものです。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-01-09 10:40 | 種類株式


<< 委任状争奪戦ーイオン・CFSの...      ガバナンスフォーオーナーズ >>