2008年 01月 12日

M&A会計欧米統一基準の概要ーその2

M&A会計、欧米が統一・来年7月、子会社株売却で新基準
【ロンドン=田村篤士】欧米の会計基準を作る専門家組織は10日、企業のM&A(合併・買収)を巡る欧米の会計基準を2009年7月に統一することを決めた。企業買収の実態を比較するモノサシが国際的に統一され、国境を超えた買収やグループ再編が加速する。日本の会計基準も修正を迫られるのは確実。連結決算で子会社株の一部売却を利益として認めない方針を打ち出しており、子会社上場など日本企業の財務戦略に影響しそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M10015%2010012008&g=MH&d=2
0080110

【CFOならこう読む】
昨日に続きM&A会計統一基準についてお話しします(今日説明する項目は2005年6月の公開草案通り決定しています。公開草案については「企業結合会計の知識」(関根愛子著 日本経済新聞社)を参考にしています。

①デューデリ等のM&A関連コストの取扱い
取得に要した支出額は米国もIFRSも取得原価に含めていたのが、今回の統一基準ではすべて費用として処理することになりました。

②仕掛研究開発費の資産計上
研究開発費は米国も日本同様発生時に費用処理されます。しかし研究開発型企業を買収する場合、取得の目的が被取得企業の研究開発にあり、その取得価値のほとんどが被取得企業の研究開発の価値である場合でもそれを分離して費用処理するということはされず、のれんに含めて資産計上されていました。
1月7日にアステラスによるアジェンシス買収のお話しをしましたが、あの事例でも研究開発費の価値がのれんに化けていました(http://cfonews.exblog.jp/7056416/)。
統一基準ではこの研究開発費をのれんとは分離して把握し無形資産として計上し、減損テストの対象となります。研究開発プロジェクト完了時に取得企業は個別に耐用年数を決定し償却を開始します。

③リストラコストの取扱い
米国では(日本も)リストラコストに関し合併時に損失が確定していなくても、一定条件を満たせばM&Aでない場合には計上されないリストラコストを、M&Aの場合には引当計上できますが、リストラコストをあらかじめ計上してその後の業績を良く見せるといった弊害を防ぐため、統一基準ではM&Aだけ特別な扱いをすることはしないということになりました。
リストラコストを見込んで取得価額を決定している場合にこれが引当計上されずに会計処理すると、のれんがその分小さく計上されることになります。

④偶発債務の取扱い

米国では(日本でも)発生の可能性の高い偶発債務は引当計上されますが、発生の可能性が低い場合には引当計上されません。
統一基準では偶発債務を発生の可能性の高さで区分するのではなく、公正価値で認識することとされています。これはM&Aの場合、偶発債務を考慮して取得価額を決定する場合があるのでこれを会計処理にも反映させようという趣旨だと思います。

【リンク】
BUSINESS COMBINATIONS PHASE II
http://www.iasb.org/NR/rdonlyres/FB09D3C0-D7CA-478C-881C-704495F8A6CC/0/Business_Combinations_JN2008.pdf

企業結合会計の知識 (日経文庫)
関根 愛子

4532110947
日本経済新聞社 2006-02
売り上げランキング : 166258
おすすめ平均 star

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


by yasukiyoshi | 2008-01-12 17:45 | M&A


<< 株式交換比率の決め方―シティ・...      M&A会計欧米統一基準の概要 >>