2008年 01月 18日

完全子会社化ーイー・トレードのケース

SBIイー・トレード証券の株価が下落している。17日の終値は前日比9600円安の76500円。株式交換方式でSBIホールディングスの完全子会社化となることを発表した15日終値(96100円)から20%下落した。交換比率がイー・トレードの直近の株価に比べて不利であったうえに、SBIホールディングスの株価も下がったためだ。
イー・トレードは15日、同社株1株に対してSBI株3.55株を割当てる株式交換で、SBIの完全子会社となることを発表した。交換比率は第三者機関の助言をもとに決めたが、この比率をもとに計算すると、15日時点でイー・トレードの理論株価は88,000円と、実際の株価を大きく下回った。イー・トレードは完全子会社化に伴い上場廃止になる。
大手証券アナリストは完全子会社化について「少数株主にとって、再び不利な結果となった」と指摘する。2000年にイー・トレードの持株会社は旧ナスダック・ジャパンに上場したが、2003年にSBIと合併し、上場廃止になった。
イー・トレードにとって、今回はいわば2度目の上場廃止。そのタイミングは「いずれも株価が低い。少数株主にとっては損失になる」と同じアナリストは指摘。株価が低迷するなかでの上場廃止の決定に疑問を投げかけている。

(2008年1月18日日経金融新聞3面)

【CFOならこう読む】
プレスリリースによると、交換比率はE&YとKPMGが算定しており、評価手法としては市場株価法を採用したとのことです。このこと自体は今の日本の実務では極めて一般的で、また算定された比率が1対3.55であるというのも特段おかしな感じはしません。私が問題だと思うのは少数株主保護についてどのような配慮をしたかが、プレスリリースの中で全く触れられていない点です。

「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する報告書」(平成19年8月2日 企業価値研究会)によると「親会社が上場子会社を完全子会社化する場合等、支配会社と従属会社の関係にある会社間で組織再編が行われるような場合については、構造上の利益相反問題が存するという点ではMBOと同様」とされており、MBOと同様の利益相反による問題への配慮が必要と述べられています。つまり、
①株主の適切な判断機会の確保
②意思決定過程における恣意性の排除
③価格の適正性を担保する客観的状況の確保
が必要であるわけですが、第三者機関からの算定書を取得した以外どのような配慮がなされたか全く不明です。

さらに言うと、株式交換の効力発生日が8月1日とかなり先のことで、今比率を固定されてしまうことで少数株主は相当のリスクを背負うことになります。イー・トレードの17日終値は、15日終値に比しが20%下落しましたが、この下げ幅はSBIホールディングスが10弱しか下落していないのと比較すると、このようなリスクを少数株主が嫌ったものと見ることができます。シティG・日興のケースのように評価額を明示した上で、その対価となる親会社株式は効力発生日直近の株価によることを市場ルールにより強制してしまうのが良いと私は思います。

【リンク】
平成20年1月15日「SBIホールディングス株式会社による株式交換を通じたSBIイー・トレード証券株式会社の完全子会社化に関する基本合意について」SBIホールディングス株式会社
http://www.sbigroup.co.jp/news/2008/0115_a.html


by yasukiyoshi | 2008-01-18 13:01 | M&A


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