2008年 01月 24日

本日の日経の経済教室

「失われた10年」乗り越えた日本企業 『ハイブリッド』型顕著に
失われた10年を経て、日本企業の姿は多様化した。資金調達や株主構成は資本市場に立脚しながらも、取締役会改革や雇用面では長期関係を重視したハイブリッド型が支配的なタイプとして浮上した。一方で数多く残る伝統的企業は統治構造改革や事業再構築が先送りされている。
(宮島英昭 2008年1月24日日本経済新聞27面)

【CFOならこう読む】
本日の経済教室、とても面白いです。
東証1部、2部の事業会社723社を、クラスター分析により企業統治と内部組織の特徴と分布を調べた分析結果が書かれています。
タイプとしては次のように分類されます。

①米国型…0社
市場志向的な金融・所有構造(直接金融と機関投資家の優位)と内部組織(外部取締役採用、強い業績連動報酬、流動的な雇用)の結合

②ハイブリッド型173社(24%、従業員ベース67%)

市場志向的な金融・所有構造と長期関係を重視する関係志向的な内部組織(内部者中心の取締役会や終身雇用)が結合。ただしコアとなる従業員を絞り込む一方、成果主義的賃金やストックオプションの導入、情報公開や自社の実態に即した取締役改革を進めている。

③新興企業…173社(21%、従業員ベース10%)
関係志向的な金融・市場志向的な雇用システムが結合。銀行借入に依存して機関投資家の保有比率が低い一方、有期雇用や成果主義的賃金ストックオプションを積極利用する

④伝統的日本企業…398社(55%、従業員ベース23%)
関係志向的な金融・所有構造と内部組織が結合。資本市場への依存が小さく、機関投資家の保有比率も小さく、機関投資家の保有比率も低いこの企業群は、内部統治組織や雇用システム改革に消極的で、収益力も相対的に低い。

このような分析を見ると、一律に日本企業を論じるのは間違いであることがわかります。まさに今問題なのは④に位置付けられる企業群なのです。論文はこのように締めくくられています。
「この企業群に含まれる債務にほとんど依存しない企業の扱いだ。この企業では、過剰な現預金を、収益を期待できないプロジェクトにあえて投資するフリーキャッシュフロー問題の可能性があるが、負債による経営の規律付けは期待できず、そのため、アクティビストファンドの活動の余地が生じる。だが、このタイプの企業は、買収の脅威が高まると、経営者の保身から買収防衛策を導入したり、いっそうの安定化を進めたりする可能性がある。これらは明らかに構造調整に対して阻止的である。先のハイブリッド型と対照的に、安易な防衛策導入や株主安定化を阻止する慎重な制度設計が必要だ。」
ブルドックはこのタイプに属することを前提に議論しないと議論の方向性を間違えます。また、経営者も自社の属するカテゴリーを意識したガバナンスの設計を行う必要があります。そして、我々CFO及びその予備軍にとってとても重要なことは、④の企業に自分の仕事はないということを知ることだと思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-01-24 08:47 | コーポレートガバナンス


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