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2008年 01月 25日

買収資金の調達と財務制限条項ードリコムのケース

ブログシステム販売のドリコムが収益低迷に苦しんでいる。成長を期待した新事業の育成に失敗したからだ。事業の立て直しに着手したが、資金面での制約もある。業績を回復させながら将来の成長に向けて布石を打つという難しい手綱さばきが求められる。
昨年11月に発表した2007年9月中間期の連結決算。経常損益は1億8300万円の赤字(前年同期は5700万円の黒字)だった。消費者が情報発信にかかわる「Web2.0」関連の代表銘柄が赤字転落したことが注目されたが、それ以上に市場関係者に衝撃を与えたのは開示された財務制限条項だ。
同条項は子会社のジェイケン(埼玉県所沢市)の9億2千万円の借り入れに付いた。「ドリコムの連結経常損益が2期連続で赤字となった場合などには、三井住友銀行に担保のジェイケン株を処分される恐れさえある」との内容だ。ドリコムの今期の予想経常損益はトントン(前期は1億8100万円の赤字)。計画を下回ればすぐさま条項に抵触する。ジェイケンは消費者が作成した携帯用の「着メロ」を販売する会社で、2007年4月に買収したばかり。ドリコムはジェイケンの買収効果で、今期の売上高は前期比2.6倍の22億円を予想するが、買収をテコにした拡大戦略に暗雲が漂うことになる。

(2008年1月25日日本経済新聞16面)

【CFOならこう読む】
ドリコムの2007年3月期の売上高(連結ベース)は8億4300万円であったのに対しジェイケンの買収金額は13億円。つまり売上高の1.5倍というかなり大きな規模の投資でした。しかもその資金はほとんど銀行借入により調達されています。連結経常損益2期連続で赤字、という財務制限条項は極めて一般的なものではありますが、主力事業の業績が不安定で、かつ2007年3月期の経常損失が1億8100万円の赤字であるにも関らず、このような財務制限条項付きの借入を実行するのは相当に無理があると言わざるを得ないとおもいます。

この買収により、自己資本比率は、2006年9月中間期末の82.6%から2007年9月期末は31.4%と財政状態は大幅に悪化しています。事業リスクを自己資本で吸収しなければならないベンチャー企業の資本構成としては、望ましい水準とは言えません。ベンチャー企業の投資資金は、資金使途を明確にした上で、エクィティ系により調達するのが本筋だと思います。内藤社長の持株比率が55%であり、これが希薄化することを回避するためにデットにより資金調達したを選択したのだとしたら、その判断は間違っていると私は思います。

【リンク】
平成19年11月15日「平成20年3月期 中間決算短信」株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/ir/library/20071115.pdf


by yasukiyoshi | 2008-01-25 10:46 | 資金調達


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