2008年 01月 28日

同族企業の後継者問題-大手企業などに株式売却の動き広がる

まい泉など同族企業の株売却広がる・後継者不足や市場縮小背景
トンカツ総菜店で有名な井筒まい泉(東京・渋谷)がこのほどサントリーの傘下に入ることを決めた。同社に限らず、同族・オーナー経営企業の間で創業者らが自社株を大手企業などに売却する動きが広がっている。後継者難に加え、国内市場が成熟・縮小する中で中堅規模では生き残れないとの危機感も背中を押している。オーナーが経済合理性を重視、同族経営にこだわらなくなった気質の変化も背景にありそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080128AT1D2700727012008.html

【CFOならこう読む】
記事の中で同族企業のM&Aについて、「証券優遇税制の今年末の期限切れを控え、駆け込み的に増えている」という専門家の指摘が紹介されています。これはどういうことかと言うと、未上場株式の譲渡益の税率は20%ですが、上場株式の譲渡益の税率は今年末まで10%の優遇税率が適用されるので、同族企業のオーナーとしては普通に株式を売却するのではなく、株式交換等で上場企業の株式と交換した上でこの上場株式を売却すれば税制上有利であるのでこれを利用しようというものです。

駆け込み的に増えているかどうかの真偽は不明ですが、いずれにしても買い手のCFOとしては株式交換ありきで交渉にあたるのはやめた方が良いと思います。M&Aの通貨として現金を使うか株式を使うかは最適資本構成の観点から考えるべきです。買い手の立場からは現金買収を選択すべきということになったとしてもそれで交渉が決裂するとは限りません。何故ならオーナーが被る税務上の損失分を売却代金に上乗せすることもできるからです。マイロン・ショールズ等は”Taxes and Business Strategy”というMBAテキストの中で、税引後の売り手の手取り金額に着目して価格交渉を行うことの重要性が詳しく説明されているので参考にしてください。

【リンク】
Taxes and Business Strategy: A Planning Approach
Mark A. Wolfson Merle M. Erickson Edward L. Maydew

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by yasukiyoshi | 2008-01-28 09:51 | M&A


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