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2008年 02月 01日

新株予約権付ローン発行 住友金属鉱山

住友金属鉱山は31日、新株予約権の権利行使と引き換えに借入ができる「新株予約権付ローン」で千億円を三井住友銀行から調達すると発表した。2006年5月の会社法施行で可能になったもので、日本で初めてという。
今回のローンは住友金属鉱山が2月15日付で三井住友銀行から千億円借り入れるとともに、同行に新株予約権2万個を割り当てる。予約権の行使には住友金属鉱山の承諾が必要。権利行使で割り当てられた普通株の時価総額に相当する額が借入金から引かれる仕組み。全2万個を行使すれば千億円の債務が帳消しになるが、住友金属鉱山は新株発行による1株利益の希薄化のリスクを負う。
権利行使価額は1月30日の住友金属鉱山の終値(1749円)を下限に設定。この場合の普通株発行数は約5700万株。現在の発行済み株式数(約5億8千万株)から計算すると最大9.8%の希薄化にとどまる。
住友金属鉱山は今後、ニッケルなど海外鉱山の開発に巨額の投資を予定。通常の借入金に比べ低利のため今回のスキームを採用することにした。

(2008年2月1日日本経済新聞17面)

【CFOならこう読む】
新会社法では新株予約権の権利行使に際して出資される財産として金銭債権を選択することを認めており、今回のケースはこれを利用したものです。つまり三井住友銀行は住友金属鉱山への貸付金を新株予約権の権利行使の対価とするので、権利行使されると住友金属鉱山のローンは出資に振り変わることになるのです。この新株予約権付ローンには行使価額修正条項がついています。具体的には次の通りです。
■ 本新株予約権の行使価額は、(ⅰ)割当日の翌日以降、平成21年8月14日までの間については、行使の効力発生日の前日までの20連続取引日の売買高加重平均価格の平均(以下「VWAP平均」といいます)の100%に修正されます。(ⅱ)平成21年8月15日以降については、行使の効力発生日の前日までの20連続取引日のVWAP平均の98%に修正されます(ただし、(ⅲ)に該当する場合は除きます)。(ⅲ)行使コミットメント条項が発動された場合、平成25年2月15日(ただし、コミットメント条項発動が延長された場合には、当該延長の期間後の応当日)以降、行使の効力発生日の前日までの3連続取引日のVWAP平均の95%に修正されます。
■ 上記のように将来の当社の株価に応じた行使価額が適宜設定される一方、行使価額の下限を発行決議日前日の終値の100%(1,749円)に設定しており、行使価額はこの価格未満に修正されません(ただし、一定の場合において、行使価額の下限が調整されることがあります。)。
(プレスリリースより抜粋)
ようするに本件は、行使価額は効力発生日直近の時価に修正されるが、希薄化を限定するために下限を1749円に設定している、そして三井住友銀行に対し甘味財がついている(平成21年8月15日以降は時価の2%(100%-98%)、平成25年2月15日以降は時価の5%(100%-95%))というものです。そしてこの甘味財の分だけ金利が割安に設定されているのです。会社は転換社債型新株予約権付社債と同様の商品であるという理由で一括法(オプションを分離して処理しない方法)により会計処理するものと思われます(新株予約権は無償としています)。

【リンク】
平成20年1月31日「新株予約権付ローンに係る第三者割当による新株予約権の発行に関するお知らせ(行使価額修正条項付)当」住友金属鉱山株式会社
http://www.smm.co.jp/release/2008PDF/20080131-2.pdf




by yasukiyoshi | 2008-02-01 08:49 | 資金調達


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