2008年 02月 05日

サッポロ・スティール

正当性の点では、買収防衛策発動の条件整う=サッポロHD
[東京 4日 ロイター] サッポロホールディングス(2501.T: 株価, ニュース, レポート)から諮問を受けていた特別委員会は4日、米系投資ファンドのスティール・パートナーズの買収提案について「サッポロHDの企業価値をき損し、株主共同の利益を著しく害する恐れが大きい」との意見書をまとめた。特別委員会の武藤春光氏(弁護士)は会見で、正当性という点では、買収防衛策発動の条件が整った、と述べた。今後、サッポロHDの取締役会が、買収防衛策を発動するかどうかについて判断することになる。
http://jp.reuters.com/article/fundsNews/idJPnTK006566920080204


【CFOならこう読む】

企業価値報告書は、防衛策の適法性について、

①企業価値への脅威の存在
②脅威に対する防衛策の妥当性
③防衛策の維持・発動・解除に関する取締役会の慎重かつ適切な行動を判断の基準として掲げています。


つまり、サッポロ経営陣はスティール・パートナーズのTOBが企業価値を明らかに毀損するものであることを立証した場合、その脅威との関連で妥当と認められる範囲で防衛策の発動が法的にも容認される場合があるわけです。しかし防衛策はあくまで抑止力であって発動されることを前提とはしていません。明らかに企業価値を破壊する買収者であるならお引取り願うし、そうでないなら後は株主の判断に任せるというのが企業価値報告書の基本的な考え方であるのです。

そのとき「特別委員会」の唯一かつ重大な仕事は、スティールが企業価値を明らかに毀損する濫用的買収者であるかどうかの判断をすることであるはずです。ましてやサッポロの大規模買付行為への対応方針(本対応方針)では、買収対応策の発動について、大規模買付行為者が濫用目的を持っていることが独立した要件としているのですから、この判断をしないわけにはいきません。

ところが「特別委員会」は「株主共同の利益を害するかが問題で、濫用目的かの判断は不要」と判断を回避しました。これは全く自己の存在意義を理解していないものと言わざるを得ません。「特別委員会」は判断を回避する理由として、ブルドック事件のときに最高裁が濫用的買収者に当たらない場合でも、買収対応策の発動が是認されることを認めたことを挙げています。

しかしそれは株主総会で大多数の株主が賛成している以上、最高裁としては濫用的買収者であるかどうかを判断する必要はないということを言っているにすぎず、「特別委員会」がスティールを濫用的買収者であるかどうかを判断しない理由には全くなりません。

売り買いを株主の判断に委ねるという基本的な株主の権利を否定する会社は即刻上場を廃止すべきであると私は思います。

【リンク】
平成20 年2 月4 日「『当社株券等の大規模買付行為への対応方針』に基づく特別委員会からの意見書受領について」サッポロホールディングス株式会社
http://www.sapporoholdings.jp/news/up_img/1209.pdf


by yasukiyoshi | 2008-02-05 11:39 | M&A


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