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2008年 03月 04日

武富士の実質的ディフィーザンス

武富士、仕組み債取引損失計上を発表・最大300億円
武富士は3日、欧米企業の信用リスクを扱う金融派生商品関連の金融取引で、最大300億円の損失を計上すると正式に発表した。メリルリンチ日本証券が組成した仕組み債による取引で、サブプライムローンに絡む信用収縮が響いて取引の清算に追い込まれる。2008年3月期の予想連結純利益(433億円)は下方修正する可能性があるという。

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2D03006%2003032008&g=S1&d=20080303

【CFOならこう読む】

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社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)は負債をオフバランス化することにより、バランスシートをスリム化することを目的に行われます。具体的には、企業が社債の元利金を信託銀行に払い込み、信託銀行は国債など安全資産でこの資金を運用し、社債投資家への元利金払いに充当される仕組みになっています。

オフバランスの為の要件を、金融商品会計に関する実務指針46項は、「取消不能で、かつ社債の元利金の支払に充てることを目的とした他益信託等を設定し、当該元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債又は優良格付けの公社債)を拠出することである」としています。上記記事は、メリルリンチが組成した仕組み債がこの要件を満足しているかどうかについて疑問を呈しています。

金融商品会計に関するQ&Aは、「わが国において、元利金が保全される高い信用格付けの金融資産とは、国債や政府機関債のほかに、例えば、拠出時に複数の格付け機関よりダブルA格相当以上を得ている社債が含まれると考えられます」としており、メリルリンチの仕組み債はムーディーズとスタンダード・アンド・プアーズからトリプルAの格付けを取得していることから、この要件は満足していると一応は言えます。

しかし大きな損失が現実に発生しましたのです。武富士とメリルリンチはお互いに責任をなすりつけているようですが、そもそも4%の利率の社債を無リスクでオフバランスできると考えること自体常識から外れています。そういう意味では、武富士、メリルリンチのみならずオフバランスを容認した監査法人にも責任の一端はあると私は思います。

【リンク】
2007.5.24「実質的ディフィーザンスの実施について」
http://www.takefuji.co.jp/corp/irnw/detail/070524_3.html

2008.3.3「実質的ディフィーザンス解消のお知らせ」
http://www.takefuji.co.jp/corp/irnw/detail/080303.html


by yasukiyoshi | 2008-03-04 09:58 | 資金調達


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