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2008年 03月 10日

東証自主規制法人に期待する

上場審査や不公正取引の監視を手がける東京証券取引所・自主規制法人が発足して4ヶ月。管理担当者を「約4倍に増やした効果が出た」と宮原幸一郎常任理事が話すのは、大幅な決算訂正を出したIHIと三洋電機への対応。大企業2社の審査を「従来通りのスピードで処分できた」。
株数が大幅に減る株式併合や大規模な第三者割当増資など株主軽視になりかねない行為について注意喚起するが「規制しきれず悩ましい」。インサイダー取引を含め市場を乱す行為には「証券取引等監視委員会と連携を強化し、素早く対応する」と意気込み。

(日本経済新聞2008年3月10日 18面 傍聴席)


【CFOならこう読む】


東証自主規制法人に期待する_e0120653_10494229.jpg東京証券取引所自主規制法人は、昨年11月に、東証の上場審査や不正取引の監視業務等の移管を受け設立されました。従来のように運営部門と自主規制部門が「同居」したままでは、一方の利益が他方の不利益になる「利益相反」が起きかねないということで分離されました。

自主規制法人の主な業務は次の通りです。

〈1〉上場企業、証券会社の不祥事を未然に防止する審査・考査の強化
〈2〉インサイダー取引などの被害拡大を防ぐ売買審査の迅速化
〈3〉公正な取引を妨げかねない問題に先回りして対応するための調査・研究

記事の中の、「株数が大幅に減る株式併合や大規模な第三者割当増資など株主軽視になりかねない行為について注意喚起するが「規制しきれず悩ましい」」というのは理解できなくはありませんが、これを規制するのが自主規制法人の役割です。発足時の記者会見で、林正和理事長(元財務次官)が述べていた、「価格の形成が適正に行われているという信頼を得ることで、企業価値向上を目指す」という強い決意に改めて期待したいと私は思います。

【リンク】
東京証券取引所自主規制法人
http://www.tse.or.jp/sr/index.html


by yasukiyoshi | 2008-03-10 07:55


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