2008年 03月 18日

株価下落時の財務戦略ー増配・自社株買い

増配や自社株買い積極化 -企業、株価下落に危機感-
日経平均株価が約2年7ヶ月ぶりに1万2000円を割り込む中、企業が株主への利益配分拡大などで、株価のテコ入れに動いている。前期まで好業績で積み上がった豊富な現預金を使い、増配や自社株買いを積極化する企業が目立つ。株主優待制度を開始・拡充する企業も多い。ただ円高や原燃料高で企業業績への懸念が広がっているだけに、どれだけ即効性があるかは不透明だ。
(2008年3月18日 日本経済新聞17面)
【CFOならこう読む】
e0120653_14262873.jpg私の師匠である井手正介先生は、学生のレベルを測るために昨日の相場(日経平均、TOPIX、NYダウ、ナスダック指数、長期金利、円・ドル相場、円・ユーロ相場)を白い紙に書かせるということを最初の講義のときにしていました。マーケットを見ていない学生は、何も知らない学生だという強い信念が先生にはありました。

このブログを始めるに当たり、私自身が毎日の相場を手で確認しようと考え、基本的なマーケットデータをグラフとともに掲載しています。CFOにとって最低限必要と思われるデータに絞って掲載していますが、予想PERを掲載しているのが特徴的であるかもしれません。

日経225の予想PERを知ることが自社株式のバリュエーションを行う上でも第1ステップになるからです(予想PERは日経新聞のどこに掲載されているかご存知ですか?)。毎日PERを確認しているとグングン低下していることが実感としてわかります。昨年後半一時18倍を超えていた予想PERが13倍をもうすぐ割り込むところまで下がっています。この水準は36年ぶりの低水準だそうです。

株価の下落に伴い当然買収リスクは増大します。CFOとしては増配や自社株買いといった株価のテコ入れ策に動かざるを得えないところでしょう。ところでコーポレートファイナンスという学問が教えてくれるところでは、増配も自社株買いも株主価値には基本的には影響を与えません。ただし常に影響がないわけではなく、これらが株主と経営者との間の経営者の強い自信に裏打ちされており、その自信が株主にうまく伝わると株価が上昇する場合があるのです。

例えば配当は一回増やすとなかなか減らすことが難しいので、増配は将来の業績に対する経営者の自信を裏付けるものとみなされるとか、自社のファンダメンタル価値をよく知っている経営者が、その価値に比して今の株価は割安であるから自社株買いを行うことにより、自社の株価に対する自信を示すとかといったことです。したがって単に株主への配分を増やしたから株価が上がるというわけではないことを知る必要があります。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-03-18 13:10 | 配当政策


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