2008年 03月 25日

ストックオプションの付与株式の手当て-住生活グループのケース

子会社上場は間違いだったと言わざるを得ない。しかし役員や社員には月給やボーナス以外の夢も与えたい。そう考えて、2002年に全グループ企業の主任クラス以上を対象にした、大規模なストックオプション制度を導入した。既存株主にも配慮し、付与する株式は新規発行ではなく、自社株買いで手当てした。
2004年7月までに3回に分けて計19百万株弱の購入権を付与した。対象者数は7500人弱と、グループの日本人正社員の約3分の1に達した。純粋持株会社である住生活グループの株価が上がれば、グループ企業の役員、社員は資格に応じて公平に利益を享受できる。夢と”求心力”の両立が実現した。これも経営のイノベーション(革新)ではないかと思う。

(2008年3月25日 日本経済新聞 44面 私の履歴書)
【CFOならこう読む】
ストックオプションを付与するに際し、付与時に付与株式数相当の自社株買いを行い、行使に備える会社が散見されます。住生活グループの2007年度有報を見ると、2007年3月31日現在の自己株式数が17,466,700株に対し、ストックオプション未行使分は14,897,000株(2007年5月31日現在)となっています。これを見る限り、住生活グループもあらかじめストックオプション付与分を自己株で手当てしておくという”方針”であるように見受けられます。

ところで私にはこの”方針”がよくわからないのです。希薄化を回避するという意図はわかります。しかしそれなら行使時に自己株買いで手当てすれば良いと思うのです。それでは希薄化以外に意図があるとしたらそれは何でしょうか? 将来的な株価上昇を見越し、株価が安いときにあらかじめ手当てをしておく、そんな意図があるように私には思われます。

一言でいうとヘッジ目的です。デルタヘッジということでしょうか? それならアットザマネーのときに何故明らかに過大なデルタヘッジを行う必要があるのでしょうか? 私にはそれが良くわからないのです。自己株取得の方針や配当政策は会社の資金需要に応じて決めれば良いのです。

新規投資の必要がないのであれば株主還元すれば良いし、新規投資等のために資金不足の状態であれば株主還元の必要はありません。ストックオプションと株主還元策ははっきりと区別して考えないと大きな間違いをしでかす可能性があるように私は思うのです。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-03-25 12:24 | 自社株取得


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