吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2008年 03月 28日

子会社株式売却による配当原資の確保-ソフトバンクのケース

ソフトバンク ヤフーなど3銘柄売却 配当原資の確保狙う
ソフトバンクは27日、子会社のヤフーなど3銘柄を別のグループ会社に売却したと発表した。ソフトバンク単独の2008年3月期の特別利益に売却益298億円を計上する。
ソフトバンクは持株会社で収入源が限られるため、保有株式のグループない移転によって配当原資を譲渡する狙いとみられる。

(2008年3月28日 日本経済新聞 18面)
【CFOならこう読む】
昨日に引き続き今日も配当のお話です。配当原資を確保するためにグループ内の会社に子会社株式を売却するという行為には問題があります。子会社株式を時価評価し、単体財務諸表の損益に取り込んでいるのと変わらないからです。

しかし問題の本質は別の所にあります。持株会社の配当財源を単体財務諸表の剰余金に基づき算定することにそもそも無理があるのです。連結財務諸表により配当可能利益の計算することを認めるべきです。会社法は連結配当規制適用会社となることを認めていますが、これは連結貸借対照表の株主資本等の額が単体貸借対照表のそれを下回る場合にその差額分だけ分配可能額から控除することを認めるもので、単体で配当原資がないが連結ではある場合に連結ベースで配当することを認めるものではありません。
「アメリカの州会社法には、株主への財産分配の限度額を連結貸借対照表に基づき算定するものがあり、この場合、親会社の個別貸借対照表上欠損があっても、親会社と子会社の連結貸借対照表上に分配可能額があればその限度で親会社が株主に対して財産分配ができることになる」
(「株式会社法 第2版」江頭憲治郎 有斐閣 613頁)
とのことで、日本でも同様の制度が認められるべきであると、私は思います。

【リンク】
2008年3月27日「当社保有株式の全額出資子会社への譲渡に関するお知らせ」
http://www.softbank.co.jp/news/release/2008/080327_0001.html

株式会社法 第2版
江頭憲治郎

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by yasukiyoshi | 2008-03-28 07:52 | 配当政策


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