2008年 03月 29日

リストラ費用の持つ意味

上場企業の特損、4-12月期21%増 外需変調でリストラ加速 実効性、市場の目厳しく
リストラと巨額の特別損失-。いつか来た道を企業がたどり始めた。2007年4-12月期に上場企業(新興市場、金融除く3月期決算)が計上した特損は2兆4百億円。前年同期に比べ21%増え、今年に入っても基調は変わらない。通期でも前期の3兆7200億円を上回る可能性が強まっている。
(中略)
株式市場は相次ぐリストラを厳しく「監視」している。追い込まれた末の苦し紛れの一手なのか、将来の展望を開くための「選択と集中」なのかー。
新世代DVD事業の終息を決めた東芝。撤退に伴う一時的な損失として450億円を計上する。営業損益段階で計上する650億円の赤字と合わせ、新世代DVD事業の損失額は合計1100億円にのぼる。しかし、撤退報道を受けた2月18日は株価が急騰した。市場は「選択と集中」が進むとして、大規模なリストラを歓迎した。
「過剰な設備や人材を調整するだけのリストラと事業効率を高める前向きなリストラは性格が違う」と野村證券の藤田貴一ストラテジストは話す。業界内で限られたパイを争えば一握りの企業が勝者となるが、ほかは敗退せざるを得ない。展望の開けない事業に早々に見切りをつけることを、投資家は悪材料とは受け取らない。

(2008年3月29日 日本経済新聞 15面)
【CFOならこう読む】
CFOにとって大きなリストラ費用を計上するのはとても勇気がいることです。株価が暴落するのではないか…、そんな不安が頭をよぎります。

しかし投資家が見ているのは単なる会計利益ではなく経営そのものなのです。そして発生ベースの会計情報は、キャッシュフローを上回る多くの情報を提供してくれるのです。私の愛読書であるクリステンセンとデムスキの「会計情報の理論」(佐藤紘光他訳 中央経済社)に次のような記述があります。
「われわれは早くから、発生項目を会計生産物の中心的な存在として認識してきた。キャッシュベースの認識が用いられるとすると、会計システムはキャッシュフローのみを報告し、それ以外の何かを伝える能力をもたなくなる。発生主義会計が厳密に導入される場合、キャッシュフローが伝達するものを上回る情報が発生項目には含まれることになる。」
われわれは会計情報の有する豊かな報告構造をもっと信用して良いのだと私は思います。

なお上の”発生主義会計”という言葉は、”時価会計”や”公正価値会計”のアンチテーゼとして用いられています。この点はまた機会を設けて取り上げたいと思います。

【リンク】
2008年2月19日「HD DVD事業の終息について」
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2008_02/pr_j1903.htm

(株)東芝 【東証1部:6502】
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=6502.t&d=c&k=c3&a=v&p=m25,m75,s&t=3m&l=off&z=m&q=c&h=on

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by yasukiyoshi | 2008-03-29 09:45 | 会計


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