2008年 06月 02日

IPOが低調な理由

IPO、きょうも開店休業 ベンチャーは日本企業に見切り?
D 企業の新規株式公開(IPO)が低調だ。理由は何なのかな。
I 5月23日に東証マザーズに上場した携帯電話向けコンテンツ開発のプライムワークスが1ヵ月半ぶりのIPO。予定を含めても今年4~6月の新規上場はたった3社だ。2007年度年間は99社。その前は187社だったから今はほとんど開店休業状態だ。約17年もIPO業務に携わる大和証券SMBCの佐野洋・公開引受部上席次長は「こんな経験は初めて」と嘆いていた。

M 東京証券取引所グループの斉藤惇社長は講演会や会見で「来年の株券電子化を控え、企業が上場を先送りしている」と話していた。電子化後に上場すれば株券は刷る必要がなくなり、コストは減る。ただ負担はせいぜい数千万円。「IPOが少ないのは取引所の審査が厳しくなったせい」と思われたくないのが本音かも。

G 金融証券取引法違反で刑事告発されたオーベンが上場廃止になるなど不祥事が頻発。取引所は反社会的勢力とのつながりを厳しくチェックしている。これらの勢力の手口も巧妙で、ファンドを介在させたりして企業の知らぬ間に事実上の株主になる例もある。取引所も立場上「この株主がやばい」とはっきり言えず、企業は審査が通らない理由がすぐに分からない。証券会社のIPO担当者は「どんな株主がダメかはっきりさせてほしい」とぼやいていたよ。日本証券業協会が整備を進める情報共有ネットワークが稼動すれば、情報格差もなくなるだろうけど。
-以下略
(日経ヴェリタス2008年6月1日 71面 放電塔金融記者座談会)
【CFOならこう読む】
IPOが低調な理由は、上場準備をしている企業の業績の問題、投資家の新興市場離れ、内部統制報告制度や株券電子化等色々と指摘されていますが、一番は証券取引所の審査が厳しくなっているためであると思います。記事にもあるように、企業側には株主に問題がある、ということだけが知らされて、具体的にどの株主が悪いのかは知らされないので、手の打ちようがないという話を最近よく聞きます。しかも問題になる株主というのが、”反市場勢力”であるということで、全くわけがわかりません。

これは、日本の資本主義が、政官財一体の社会資本主義から市場型資本主義に移行しようとしている過程で生じている混乱の1つなのだと思います。市場も証券会社も監査法人も、リスクに過剰に反応し、極端にリスク回避的行動をとっているのが今の状況なのだと思います。一方ベンチャー企業の上場意欲は衰えているわけではありません。そういう会社の多くが、日本の市場は埒があかないと、ロンドンのAIMやシンガポールのカタリストに向かっています。これは日本の資本市場にとって決してよい状況ではありません。

解決策は2つ。
1つは市場自体がきちんと自由競争をしていくこと。市場だってリスクを取らなければ果実は得られということを知るべきです。
もう1つはリスクを取ったものがリスクに見合った果実を得られるようにすること。上場費用はもっと高くても良いと私は思います。ハイリスク・ハイリターンの報酬体系になっていないと、証券会社も監査法人もリスクに見合った審査・監査はできません。

by yasukiyoshi | 2008-06-02 09:20 | IPO


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