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2008年 08月 14日

主要輸出企業の今期為替見通し、想定レート据え置き大勢

主要輸出企業が為替相場の先行きを慎重に見ている。足元の為替相場は一時、約7ヶ月ぶりに1ドル=110円に下落するなど期初よりも円安傾向にあるが、多くの企業が2008年度の想定為替レートを期初に設定した水準から変えていない。円安傾向が続けば業績の上ぶれ余地が出るが、米国景気の後退など外部環境は厳しく楽観視する声は聞かれない。
(日本経済新聞 2008年8月14日 15面)
【CFOならこう読む】
主要企業の2009年3月期の想定為替レートと影響額は次の通りです。

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円ドルの想定レート見直しは少数派で、大半は期初の想定レートを事実上維持しています。記事は、今後の収益悪化に備えて、想定レート見直しによる利益押し上げの「のりしろ」を確保したいと考える企業が多いためと分析しています。

想定為替レートの水準はどの程度に設定するのが適当なのでしょう。参考になるかどうかわかりませんが、以下、最近の新聞紙面等から市場関係者他の為替予想を列挙しておきます。
「個人投資家の間でユーロやポンドの手じまい売りが出始めた」(インヴァスト証券三ヶ田裕信氏 日経新聞2008年8月13日)

「日本の機関投資家が米国の短期債に再投資する可能性もあり、大きな円高要因にならないかもしれない」(ソシエテジェネラル銀行斉藤祐司氏 同)

「ファンダメンタルズからみれば、ドルを買う理由は乏しい」(JPモルガン佐々木融氏 同)

「米経済は最悪期を脱していない。今のドル高はこれまで売ったドルを買い戻す持ち高調整が主因。経済のファンダメンタルズは全く反映されていない。再びドル売りが強まる。年末にかけて1ドル=102円まで円高・ドル安が進む。」(JPモルガン佐々木融氏 日経ヴェリタス2008年8月10日)

「景気悪化で投資家のリスク資産への投資意欲が一段と低下して、国境を越えた資金の移動が著しく減少する。巨額の経常赤字を抱える米国への資金流入は細り、次第にドル安が進む。年末にかけて1ドル=100円まで円高・ドル安が進む。」(ステート・ストリート銀行富田公彦氏 同)

「来年にかけて日本経済が再評価される。日本はバブル崩壊の経験を生かし、株式も不動産も傷が浅かった。日本が政策金利を据え置く一方、海外では利下げする国が増える。年末にかけて1ドル=105円まで円高・ドル安が進む。」(みずほコーポレート銀行竹中浩一氏 同)

「年末にかけて米住宅価格の下落速度が鈍化し、景気が回復し始める。米経済を下支えする新興国の高成長がいきなりストップするとは考えにくい。年末にかけて1ドル=112円まで円安・ドル高が進む。」(住友信託銀行瀬良礼子氏 同)。

「日本の景気が後退局面に入ったうえ、ユーロ圏も失速。豪ドルなどの高金利通貨も金利先安観が出ており、相対的にドルが買われやすい。11月ごろに1ドル=113円まで上昇する。」(ドイツ証券深谷幸司氏 同)
見方にはかなりばらつきがありますが、少なくとも大幅な円安・ドル高を予想する声はないようです。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-08-14 09:18 | 為替


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