2008年 09月 22日

ヒロセ電機、利益率30%の命題

ヒロセ電機、利益率30%の命題 研究・営業・製造、連動する高収益の歯車
携帯電話部品のコネクターを得意とするヒロセ電機は一般の知名度は高くないが、海外投資家の間では根強い人気がある。売上高経常利益率30%超を維持する経営姿勢が好感され、外国人持株比率は45%を超える。「研究開発を最優先」「社長が値決めする」「外注先には資本を入れない」といった独自のルールが研究、営業、製造の各部門に連携して浸透。従業員1人当たりの生産性を高める少数精鋭主義のもと、業界で
は比類のない高収益を達成している。
今春、ヒロセ電機の社内がざわめきたった。内規の水準を超えて顧客からの値引き要請に応じたことを理由に、営業本部の社員に出勤停止処分が下されたためだ。営業の担当者は5万点を超えるコネクターの採算をすべて把握し、売上高経常利益率が30%を下回らないように顧客と交渉する。価格下落が厳しい場合は中村達郎社長に決裁を求める。この値決めのルールを逸脱したのだ。

(日経ヴェリタス 2008年9月21日 12面)
【CFOならこう読む】
売上高経常利益率を重視する理由は?

という問に中村社長は次のように答えています。
「酒井秀樹元会長が社長に就任した1970年代の定期預金金利は10%程度だった。
『10%以上もうからないなら、あくせく働く必要はない』として、最低20%の利益率を目指したのが始まりだ。企業の成長に伴い、現在は30%になった。仮に5%に落として同額の利益を維持するには6倍の売上高が必要だ。社員を増やせばいいが、業績悪化時にはリストラも必要になる。少数精鋭主義を保てない」
ヒロセ電機の場合、売上拡大志向を厳に戒めています。これはガルブレイスの次の言葉にもあるように、経営者の本性とは相反するものです。
「ひとたび最低限の収益によってテクノストラクチュアの安全が保証されると、目標選択の幅がでてくる。生存の必要くらい強いものはない。しかしこの選択が、多くの場合、どのような形で実行されているかについては、ほとんど疑問の余地がないのであって、それは、売上高で測って、会社の最大可能な成長率を達成することである。」
(新しい産業国家 J.K.ガルブレイス 河出書房新社)
ガルブレイスは、個人の目標と、組織及び社会の目標は一致していなければならず、経営者が売上高拡大により、自己の影響力の拡張を図るのは当然のことだと言っているのです。

ヒロセ電機にはこの本性を抑えるだけの規律が働いているのです。

ヒロセ電機は、売上高を超える手元流動性(現預金+有価証券)を保有しています。この活用について市場から厳しい目が向けられているようですが、これを単純に増配やM&Aに費やすべきではないでしょう。

これを全部経営者・従業員で山分けしたとしても、それが中長期的な利益獲得のインセンティブになるなら全く問題ないと思うのです。株主価値重視の経営とは、闇雲に増配することではありません。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-09-22 11:29 | コーポレートガバナンス


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