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2008年 10月 20日

エルピーダMSCB発行

エルピーダ、逆張りの資金調達 市場低迷時のCB発行、嫌気され株価急落
エルピーダメモリが発行を決めた500億円のCBの評判が芳しくない。株式市場では1株価値の希薄化を嫌気した売りが殺到し、株価は発表翌日の15日から3日連続で制限値幅の下限まで売り気配を切り下げた。3日間の累計下落率は36%に達し、初めて1000円台を割り込んだ。17日の終値は883円。ただでさえ株式市場が冷え込んでいる時期に、なぜ株価下落のリスクをはらむ資金調達に踏み切ったのか。坂本幸雄社長が得意とする「逆張り経営」の真価が問われている。
(日経ヴェリタス 2008年10月19日 16面)
【CFOならこう読む】
会社は、今回発行されるCBの特徴を次のように説明しています。
「本新株予約権付社債には、①毎月一度、転換価額がそのときの株価の93%に相当する金額に修正されるという転換価額修正条項に加え、②割当先である「Nomura AsiaLimited」との間で、原則として毎月一定数量(社債額面金額50億円)を転換する旨の合意をする予定であり、さらに③原則として償還期限の前取引日において残存する新株予約権付社債全てが株式に切り替わるという取得条項が付されていることにより、着実な資本拡充が期待できます。なお、このような新株予約権付社債においては、発行後に株価が上昇すれば希薄化の度合いが小さくなり、株価が下落すれば希薄化の度合いが大きくなる一方、当社は、株価の推移に関わらず当社の判断で繰上償還を行う権利(コールオプション)を有することから、想定外の急激な株価下落により当社の予想と異なる速度・程度で希薄化が進む蓋然性が高まった場合等において、資本政策を柔軟に見直すことが可能となっております。」
何故、株式市場が最悪なこの時期にエクィティファイナンス(しかもMSCB)に踏み切ったのでしょうか?

記事は次のように説明しています。
「エルピーダはいち早く最新鋭の生産設備に移行するなど、コスト競争力は業界の中でも高い。それでも赤字になるなら「他社は膨大な赤字になっているはず」(エルピーダ)だ。世界的に金融市場の信用収縮が進み資金調達も容易ではない。坂本社長は「資金繰りの悪化で、近い将来に業界再編が一段と進む」と予測する。他社にのみ込まれるのではなく、のみ込む側になるための条件とは、豊富な手元資金を持つことに尽きる。
エルピーダは銀行団と締結している融資枠(コミットメントライン)のうち、長期のコミットメントライン1100億円を10月中に全額引き出す。それだけでは足りずに500億円の資金調達を決断した。これで手元資金は2500億円程度に増える。2年間の設備投資を賄える額だ。
坂本社長は長年の経験から「不況時こそチャンス」という半導体業界の鉄則が深く体に染み込んでいる。今回のような不況時には業界全体が投資を抑制しており、好況時よりも大幅に安い価格で製造装置を購入できる。業界再編となれば経営が行き詰った他社の持つ製造設備を格安な条件で買うこともできる。荻原俊明CFOは「今、調達する500億円は好況時の1000億円に匹敵する」と話す。だからこそ悪条件の中で、逆張りの資金調達に踏み切った。」
DRAMの市況回復が不透明な現状においてエクィティファイナンスを行おうと思えばMSCBしかないのかも知れませんが、多くの株主には容認できないところでしょう。

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それでも中長期的な価値創造に確信があるなら、マネジメントは意思決定すべきです。短期的な株価の動きに惑わされるべきではない、と私は思います。

【リンク】
2008年10月14日「第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債発行に関する
お知らせ」エルピーダメモリ株式会社
http://www.elpida.com/pdfs/pr/2008-10-14mj.pdf

2008年10月17日「第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行条件の決定に関するお知らせ」エルピーダメモリ株式会社
http://www.elpida.com/pdfs/pr/2008-10-17mj.pdf


by yasukiyoshi | 2008-10-20 09:26 | 資金調達


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