吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2008年 11月 01日

TCI全株をJパワーに売却へ

Jパワー:英投資ファンドの保有株買い取り 対立終結へ
電力卸大手のJパワー(電源開発)は31日、筆頭株主の英投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド」(TCI)が保有する発行済み株式の9・9%をすべて買い取ると発表した。Jパワー子会社の取り扱いに反対するTCIがJパワー側に保有株買い取りを要請してきたことに応じた。大幅増配の可否などを巡って展開された両者の対立も終結する見通しとなった。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20081101ddm008020022000c.html
【CFOならこう読む】
TCI・Jパワーの件について、「ズバリ先読み 日本経済」(竹中平蔵・田原総一郎 アスコム)の中の竹中氏の発言が的をえているので、紹介します。
田原 同じような話で、Jパワーの株買い増し問題というのもある。Jパワーは、全国に発電所や送電線網を持って、東京電力などへの電力供給をしている会社。半世紀以上前に国策会社として設立されたが、2004年に株式上場し、完全民営化された。この筆頭株主が、イギリスの投資ファンドTCIで、Jパワー株の9.9%を持っている。ところが、もっと買いたいと言ったら、日本政府はノーと言った。公益性が高いから、株取引は外為法で規制されており、外資が10%以上保有する場合は政府の認可が必要とされている。しかし、許可せず、買い増し計画の中止命令を出したと。どういうことですか?

竹中 これも、なぜ「ノー」なのか、よくわからない。財務省や経産省が、田中角栄を逮捕したときのように、別件逮捕みたいな法律を使って、投資できないようにしちゃった。そう決まった翌日だったか、英「フィナンシャルタイムズ」の一面はすごかったですよ。見出しが”Japan closed to investors”(投資家に閉ざす日本)でEUのコミッショナーが抗議している写真入りの、大々的な記事。世界から見ると「なんだこれは」ということをやっているわけです。

そもそも、会社が上場しているということは、広く株式も売っているわけですよ。上場を英語でいうとおもしろい。"place”と言うんですよ。置くんです。さあ、取引してくださいと置いているわけです。じゃあ、これを買おうかというと、「ダメだダメだ。イギリスのお前はダメだ」と言っているわけです。ビックリしますよね、普通は。空港設備でも原子力でも、守らなければならない公共の利益があるのは当然です。しかし、なぜ外資規制なのかが、まったくわからない。国内資本ならば何でもいいのか、連合赤軍のような過激派が買ったらどうするんだ、という問題でしょう。だからやっていることの説明がほとんどつかないんです。

田原 なるほど。

竹中 ちなみにソニーは外資です。キヤノンも三井不動産も外資なんですよ、今は。

田原 株主構成を見て、外国資本が50%を超えているから?

竹中 外資の定義は、そうですからね。私は担当者に聞いたんですよ。「ソニーはJパワーの株を10%を超えて買えるんですか」と。フーンと考えて「買えません」と言った(笑)。だからムチャクチャなことをやっているんです。

田原 そうか、ソニーもキヤノンも三井不動産も、投資できないんだ。じゃあ外資のキヤノンのトップが、日本の経団連会長でいいんですか?

竹中 知りません、そんなことは(笑)。

田原 無責任な天下り官僚ばっかりの空港会社や電源開発会社のほうが、よほど安全保障に差し障りがありそうですね。

竹中 とにかくやっていることが、ちょっとムチャクチャすぎるんです。かつての経済産業省は、ここまでヘンなことはしなかったと思いますよ。でも最近は、なりふり構わずです。

田原 なんで?

竹中 天下り先の確保でしょ。それしか考えられない。しかし、外為法という別件逮捕の手が使えるぞ、これで何でもできるぞとわかりましたから、これから同じような問題が噴出してくるでしょう。

連休初日のなので、今日はこれでオシマイ。
皆さん良い連休を!

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ズバリ!先読み 日本経済 改革停止、日本が危ない!
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by yasukiyoshi | 2008-11-01 08:45 | M&A


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