2008年 11月 13日
【CFOならこう読む】 オーウイルの株式上場の概要は次の通りです。 オーウイルは、食品原料の国内販売、輸出入を手掛ける独立系専門商社です。伊藤園との関係が深く、2008年3月期における伊藤園に対する売上高は33億円あり、オーウイルの売上高の15%を占めています。また第2位の大株主であるグリーンコアという会社は、伊藤園の筆頭株主でもあります。 公募価額450円、2009年3月期見込みEPSが82.54円なのでPER5.5倍という水準での株式公開となっています。 オーウイルの主な資本政策は (表2)の通りです。 ※クリックすると拡大表示します。 2006年2月と11月に第三者割当増資を行っており、2006年11月の増資単価100,000円は簿価純資産によっているとの開示があります。2006年3月期の1株当たり純資産は91,528円、2007年3月期は100,526円なので、この100,000円という増資単価は妥当であると言えますが、2006年2月期の70,000円はどのように決めたのか疑問が残ります。 (表3)はオーウイルの株主構成です。 小口社長とグリーンコア合わせて過半数を確保する資本政策になっています。この点からも伊藤園との関係の深さが伺われます。 平成20年8月末時点で従業員数60名、従業員持株会を設立しており、上場直前時点で3%の持分を有しています。ストックオプションは発行していません。 公開株数115万株のうち、売出株数が100万株を占めることからわかるように、上場の主たる目的は資金調達にありません。開示対象の過去5期間全てにおいて配当があることからも将来の成長に向けての投資よりも社長やグリーンコアへの利益還元を重視していることがわかります。それでは何のための上場でしょうか? 創業者利得を確保するためか? 事業承継のためか? いずれにしても大きな成長は期待できないように思えます。さらに言うと、主要取引先が大株主であるというガバナンス体制にも不安を感じます。 【リンク】 オーウィル株式会社 IR情報
by yasukiyoshi
| 2008-11-13 12:06
|
アバウト
日々のニュースをCFOはどう読むべきか。CFOに役立つニュースをピックアップし、アカデミック&実務の視点から、そのニュースの本質をわかりやすく「解きほぐし」ます。 by yasukiyoshi ■このブログについて ●「CFOニュース」を始めた理由 ●このブログへのコメントについて ■マーケット情報 2月19日の東京市場 ●日経平均株価 7557.65円(前日比+23.21円) ●株価収益率(PER) 日経225種 前期基準8.70倍(予想68.87倍) ●円/ドル 93.56円~93.58円(前日比-0.98円) ●円/ユーロ 117.81円~117.85円(前日比-1.06円) ●長期金利(10年国債利回り) 1.260%(前日比+0.005%) 2月20日の米国市場 ●NYダウ平均 7,465.95ドル(前日比-89.68ドル) ●ナスダック指数 1,442.82ドル(前日比-25.15ドル) にほんブログ村ランキングに参加しています。 新規公開株情報サイト IPO 2.0 カテゴリ
買収防衛策 配当政策 自社株取得 最適資本構成 資本コスト 内部統制 CFO人事 米国 決算発表 M&A 税制 為替 原価計算 不動産 コーポレートガバナンス TOB 資金調達 MBO 会計 IPO コラム 純粋持株会社 種類株式 経営計画・予算編成 業績評価 バリュエーション 法務 タグ
M&A(114)
資金調達(65) 会計(54) コーポレートガバナンス(42) 税制(40) 買収防衛策(30) IPO(30) 為替(25) TOB(21) 資本政策詳解(19) スティール・パートナーズ(17) 金利(17) 自社株取得(15) 最適資本構成(12) 種類株式(12) ブルドック・スティール(11) 配当政策(11) MBO(8) キリン・協和発酵(7) 資本コスト(7) 検索
以前の記事
2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||