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2009年 01月 08日

アーバンコーポレイション問題

背信の構図 「傭兵」暴走止められず
昨年、経営破綻したアーバンコーポレイションに対して、投資家に重要情報を隠したまま不適切な資金調達を働きかけたBNPパリバ証券。同社は業務改善報告書を提出し、事態の幕引きを図るが、市場の不信はぬぐえないままだ。東京市場を舞台に華々しく事業展開する外資系証券の「虚実」を検証する。
(日本経済新聞2009年1月8日4面 外資系証券の虚実 上)
【CFOならこう読む】
本件、当ブログでは9月12日に取り上げました。
http://cfonews.exblog.jp/8602139

以下、スキームの概要を再掲します。
「7月11日 2010年満期 総額300億円のCBをバリバ向けに発行
転換価格 344円(開示日6月26日の終値)
資金使途 財務基盤の安定性確保に向けた短期借入金を始めとする債務の返済に使用する予定

破綻まで存在が隠されていたスワップ契約の概要
7 月11日 BNP パリバに300 億円を支払う
パリバは手元にあるCBを株式に転換したうえで、市場の売買高の12~18%に相当する株数を市場で売却。
”売却した株数×その日の市場の売買高加重平均株価の90%”に相当する金額を日々アーバンコーポレイションに支払う。
出来高加重平均株価の算定の基礎となる株価に一定の下限を設定」

「実際の調達額は91億円。この契約(スワップ契約)はアーバンコーポが破綻するまで開示されず、300億円の資金を調達できたとみていた一般投資家を含む幅広い市場参加者を欺く行為として批判された。」
(日本経済新聞2009年1月8日4面)
今日の新聞によると、この取引を担当したパリバのK氏は2003年10月に、ドイツ証券時代に、有線ブロードネットワークス(現USEN)に対し同様の取引をまとめている事実があったということです。

記事では、
「利益の追求にひた走る外資系証券会社の社員の給与体系は、単年度に稼いだ収益に連動して年間のボーナスを払うという成功報酬体系に近い。短期間で荒稼ぎし、問題が起きれば次の会社に転職するという働き方をする人も目立つ。パリバはこうした「傭兵」の暴走を止められなかった。」
と指摘しています。

”暴走を煽っていた”の誤りではないかと個人的には思います。

サブプライム後、投資銀行は手数料ビジネスに回帰すべき、との意見をあちこちで見聞きしますが、手数料ビジネスにも問題がないわけではないのです。
「本件CB スワップ組合せ取引により、アーバン社が調達した金額は91 億2559 万8771 円、BNPP グループの収益は11 億7976 万9077 円でした。」
 (”BNP パリバ証券会社東京支店 外部検討委員会の調査結果の公表について”より)
投資銀行業務全般について厳しい規制が必要であると私は思います。

【リンク】
平成20年11月11日「BNP パリバ証券会社東京支店 外部検討委員会の調査結果の公表について」BNP パリバ証券会社東京支店
http://japan.bnpparibas.com/pdf/2008/2008.11.11.j1.pdf


by yasukiyoshi | 2009-01-08 13:35 | 税制


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