2009年 01月 09日

アーバンコーポレイション問題-昨日の続き

不透明な取引 ルールづくり後追いに
1月23日、東京地裁でアーバンコーポレイションの株主289人が元役員を相手取って起こした訴訟の1回目の弁論が始まった。
原告は300億円の新株予約権付社債(CB)発行で資金繰りがついたと判断し、株を買った個人投資家たちだ。「資金をBNPパリバ証券に払い戻すスワップ契約の存在を知っていたら買わなかった。これでは株取引などできない」。破綻まで契約は開示されず、多くの投資家が巻き込まれた。
スワップ契約を開示しないように強く働きかけたのはパリバ。問題を検証する外部検討委員会の松尾邦弘委員長は「市場を軽視した極めて不適切な行為。幹部の責任は免れない」と断じた。

(日本経済新聞2009年1月9日4面 外資系証券の虚実 上)
【CFOならこう読む】
より本質的な問題として、”経営者と既存株主”との間のコンフリクトに乗じて経営者に取り入り、一般株主の利益に反する”商品”を売り込むことで利益をあげる投資銀行が少なからず存在する点が挙げられます。

特に会社が生きるか死ぬかの瀬戸際にあるときに、”経営者と既存株主”との間に重大なコンフリクトが生じる可能性があります。生き延びなければ職を失うことになる経営者と希薄化を避けたい株主との間には重大なコンフリクトが存在します(エージェンシー問題と言っても良いかもしれません)。

ファイナンスという学問は、企業が多角化をする必要性を否定します。株主が分散投資すればそれで足りると考えるからです。

しかしこの考え方に私は違和感を覚えます。人間が本来持つはずの生存本能を無視しているからです。ゴーイングコンサーンであり続けるという経営者の強い意志が、強い企業を生み、そういった企業群が、活力ある資本主義経済ベースになければならないと私は思うのです。

どこまでも生き続けたいと考える経営者は、時に既存株主の利益に反するとしても、とにかく生きながらえる方策を模索します。そして投資銀行はそういった経営者の知恵袋となることで大きな利益を獲得するチャンスを窺うのです。

これは野放しに出来ません。

今日の新聞にも書かれているように、「不透明な取引が横行するグレーな市場のままでは、一流の参加者は集まらない(大崎貞和・野村総合研究所主席研究員)」のです。
「金融当局の動きが鈍いのは、今回の取引を違法と判断する明確なルールがないためだ。「これまで見過ごしてきた行為を違法とはいえない」(監視委幹部)。立証の難しい案件への「ためらい」が見え隠れする。自主規制を担う日本証券業協会も今回の取引を規制するすべをもたなかった。「問題だが違法ではない」。東京市場では「グレーな取引」が問題になるたびに、新たな規制を作る、いたちごっこが続いてきた。」
(前掲紙)
事前にルールを書き切ることは不可能です。
”株主価値”という大義を掲げるだけではやっていけないということも明らかです。

やはり何らかの包括的な規制が必要です。

しかしこの役割を従来通り役所に委ねることにも抵抗があります。
私は、英国のパネルをより拡張した形で、M&Aに限らず企業の資本取引全般を、民間団体により入口規制をしていく方向が良いのではないか、と思っています。

英国のパネルについては例えば次の論文を参照してください。
http://www.shinnihon.or.jp/knowledge/library/issue/infosensor/2006_02/2006_02_07.pdf

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2009-01-09 10:35 | コーポレートガバナンス


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