2009年 01月 15日
住友化、長期化を検討 利益への影響、平準化狙う 住友化学は企業年金の想定利回りと実際の運用成績との差である「数理計算上の差異」の償却年数を現行の3年から長期化する検討に入った。現状の平均残存勤務年数である15年に、2010年3月期から切り替える案が出ている。年金運用の環境変化に伴い営業利益が大きく変動するため、情報開示面で支障があると判断した。【CFOならこう読む】 「数理計算上の差異」の償却年数を長期化する方向に変更した事例としては、セコムのケースを当ブログで昨年5月28日に取り上げています。 http://cfonews.exblog.jp/8022357/ セコムの場合、「数理計算上の差異」を発生連結会計年度に全額損益処理する方法を採用していましたが、2008年度3月期より、発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主して10 年)による定額法により、発生の翌連結会計年度から損益処理する方法に変更しました セコムは変更の理由を次のように開示しています。 「当社は、従来退職給付会計に係る数理計算上の差異について、発生連結会計年度に全額損益処理する方法を採用してきました。セコムのケースは、会計処理の前提となる経営判断に変更があったため、何とか説明がついていますが、一般的には合理的な理由を見出すのは困難でしょう。 退職給付会計に関する実務指針の策定に携わった泉本小夜子氏も、著書「退職給付会計の知識」の中で次のように述べています。 「退職給付会計での会計方針の変更は、いずれも多額の費用(または利益)の計上方法が変わることになりますから、合理的な理由が必要です。「合理的」とは、従前の会計処理より新たに採用した会計処理のほうがより適切に財政状態と経営成績を表すことになるということです。どうして変更する必要性があるのか、何がより適切になるのかということを適切に説明することが必要なのです。多くの会計士が泉本氏と同様の見解であると思われますので、慎重に検討することをお勧めします。 【リンク】 退職給付会計の知識 (日経文庫)
by yasukiyoshi
| 2009-01-15 09:28
| 会計
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