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2009年 01月 26日

上場直後の自社株買い-イデアインターナショナルのケース

新規株式公開(IPO)から間もない企業に自社株買いなどで株価をテコ入れする動きが目に付く。IPO銘柄は流通する株数が少なく、自社株買いは売買機会の減少につながる可能性もある。だが売買が盛り上がらないため、買い手として登場せざるを得ない事情もあるようだ。
 2008年に国内の株式市場に上場した会社は49社。このうち3社が自社株買いを実施。6社が役員や従業員による持ち株会設立や株の保有を発表した。
 雑貨販売のイデアインターナショナル(3140)は、08年11月に発行株数の9.3%を上限とする自社株買いを発表した。社長の保有比率が半数近くあるが、「株価があまりに低いと感じたが、通常のIR(投資家向け広報)ではインパクトがない」と判断したという。

(日経ヴェリタス2009年1月25日15面)

【CFOならこう読む】
昨年11月11日に自社株買いを発表した後、一時的に株価は上昇しましたが、その後は公募価格2530円の3~4割といった水準で推移しています。

ところで、イデアインターナショナルは、1月20日に業績の下方修正を発表しています。下方修正に至った理由を会社は次のように開示しています。
「売上高につきましては、オーガニックコスメブランド「アグロナチュラ」製品の成分不表示による自主回収、及びそれに伴う生産管理体制の見直しを行ってまいりましたが、年末の需要期に製品の投入が間に合わず、前回発表の業績予想数値を下回る見込みであります。また収益面につきましても、販売管理費を削減したものの、売上高の落ち込みの影響が上回り、営業利益、経常利益とも前回発表の業績予想数値を下回る見込みであります。」
年末の需要期に製品の投入が間に合わないという事態が、自社株買い公表時点で全く予想されていなかったのか、仮に相当の確からしさで予想されていたなら、公表した後に自社株買いを行うべきではなかったかとの疑念が生じるところです。
上場直後の自社株買い-イデアインターナショナルのケース_e0120653_1084021.gif



【リンク】
平成21年1月20日「平成21 年6月期 第2四半期累計期間(非連結)の業績予想の修正並びに第2四半期期末配当予想の修正に関するお知らせ」株式会社イデアインターナショナル
http://www.idea-in.com/IR/announce/announce_090120.pdf


by yasukiyoshi | 2009-01-26 10:08 | 自社株取得


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