吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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カテゴリ:M&A( 121 )


2009年 02月 19日

スティール、サッポロ株買い増し断念 その2

サッポロHD株が大幅安 スティールの買収提案撤回で
サッポロホールディングスの株価が18日、一時前日比8.9%安と急落した。米投資ファンドのスティール・パートナーズが株式の買い増し提案を断念すると発表したのを受け、株式の追加取得期待がはげ落ちたためとみられる。3月の定時株主総会に向け株価は引き続き波乱含みだ。
(日本経済新聞2009年2月19日13面)
【CFOならこう読む】
終値は31円(8.1%)安の350円だった。市場では買収提案を撤回され、「経営者に対する投資家からのチェックが弱まる」(大手投資顧問)という見方が出ていた。
(前掲紙)
スティールによる経営へのプレッシャーがサッポロの価値創造に資すると考える人が、価値破壊に繋がると考える人より多かったということでしょう。

特別委及び取締役会の言うように、スティールの「買収案は企業価値棄損の恐れ大」であると多くの株主が思っているのなら、スティールの買い増し断念を受け株価は上昇すると考えられます。

定時株主総会では多数の株主が現経営陣の再任に反対票を投ずることを期待します。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2009-02-19 09:19 | M&A
2009年 02月 18日

スティール、サッポロ株買い増し断念

米スティール:対サッポロHD株、買い増し提案撤回
米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパンは17日、同社が筆頭株主のサッポロホールディングス(HD)に対する株式の買い増し提案を撤回すると発表した。交渉が難航していることに加え、株価下落で買い取り提案価格との価格差が広がっていることなどが理由。保有するサッポロ株は売却しない方針で、3月27日開催のサッポロの定時株主総会で取締役の再任に反対票を投じる意向も明らかにした。
毎日.jp 2009年2月17日
【CFOならこう読む】
これまでのサッポロとスティールの買収提案を巡る攻防の経緯は次の通りです。
2007年2月  スティールがサッポロに買収を提案
2007年3月  サッポロが定時株主総会で新・買収防衛策を可決
2007年11月  スティールが企業価値向上への「提言」を提出
2008年1月  サッポロがこの問題対応の特別委員会に買収提案評価を諮問
2008年2月  特別委が意見書、「買収案は企業価値棄損の恐れ大」
           サッポロ取締役会が反対表明
2008年3月  スティールが修正した提案を送付
           サッポロがスティールと協議入り
2009年2月  スティールが買い増しを断念
(日本経済新聞2009年2月18日13面)
スティールは、買い増し断念の理由を次のように説明しています。
「提案撤回の主な理由は、同社の業績が悪化の一途を辿っていることと、同社が買付提案の内容を株主に受け入れられるようなものにするための交渉を依然として拒否していることです。」
サッポロ株式の昨日終値は381円とTOB価格825円を50%以上下回っており、もはやこの条件で買収提案を継続できないとの判断もあったのではないかと推察されます。

いずれにしても行われるべき買収が行われないのは、経営者に対する規律という意味からも価値創造という意味からも望ましくありません。

このブログでも何度も取り上げているように、日本経済は大きな構造転換を必要とする時期に直面しています。そこで必要とされるヒト、モノ、カネは世界に広く求めるべきです。

しかし経営者が株主を選択できる今の仕組みのもとでは、既得権益の確保が最優先とされ、行われるべき経営権の移動が行われません。特に外資に対しては交渉の場すら与えられないケースが少なくありません。

私はいま日本は真に開国すべきときに来ていると思います。
そしてそれしか長期的に雇用を確保する手立てはないと思っています。

【リンク】
2009年2月17日「スティール・パートナーズ・ジャパン、サッポロの長引く業績悪化と交渉拒否のため、株式33.3%買付け提案を撤回」スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)、エル・ピー

by yasukiyoshi | 2009-02-18 08:40 | M&A
2009年 02月 14日

楽天、イーバンク銀行への出資比率67%に

楽天は13日、イーバンク銀行(東京・千代田、国重惇史社長)への出資比率が46.39%から67.22%になると発表した。イーバンク銀行が実施する第三者割当増資を引き受ける。さらに、全額出資子会社である楽天クレジットの個人向けローン事業を会社分割方式で切り離し、同事業をイーバンクと統合することを通じ、イーバンク株を取得する。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D1308B%2013022009&g=S1&d=20090213
【CFOならこう読む】
これまでの経緯は次の通りです。

平成20 年9 月 資本・業務提携契約を締結し、楽天がイーバンク銀行の優先株式666,000株を199.8 億円で引受
平成21年2月10日 優先株式666,000 株の全株式を普通株式へ転換請求し、普通株式666,000 株を取得 出資比率48.69%となり連結子会社化
平成21 年2月13日 乙種優先株式の第三者割当増資の新たな引受を決議 株式引受の概要
(1)当社が引受ける株式の名称 イーバンク銀行株式会社 乙種優先株式
(2)当社が引き受ける株式の総数 333,000 株
(3)1 株あたり発行価格 30,000 円
(4)発行価額の総額 9,990 百万円
(5)募集の方法 第三者割当の方法により、全ての募集株式を楽天株式会社に割り当てる。
(6)払込期日 平成21 年3 月19 日(木)
平成21 年2月13日 100%子会社楽天クレジットのカードローン事業部門の会社分割によるイーバンク銀行株式会社への承継を決議

会社分割の要旨
(1)分割の日程
吸収分割契約書承認取締役会(両社) 平成21 年2 月13 日
吸収分割契約書承認株主総会(両社) 平成21 年3 月中旬(予定)
吸収分割効力発生日 平成21 年4 月1 日(予定)
(注)両社の株主総会における本件吸収分割契約の承認、関係当局からの許認可の取得を前提とする。
(2)分割方式
楽天クレジットを分割会社、イーバンク銀行を承継会社とする吸収分割。
(3)分割に係る割当ての内容
イーバンク銀行は、本件分割に際し普通株式579,735 株を発行し、本件分割により承継する権利義務の対価として、その全部を楽天クレジットに交付する。楽天クレジットは、本件分割の効力発生日に、イーバンク銀行の株式579,735株を剰余金の配当として楽天株式会社に交付する。
(4)分割に係る割当の内容の算定の考え方
本件分割に際して、イーバンク銀行および楽天クレジットは、それぞれ、イーバンク銀行が楽天クレジットに割り当てる普通株式の数(本件分割の効力発生日に楽天クレジットが当社に対して剰余金配当として交付するイーバンク銀行普通株式の数)の算定について、公平性・妥当性を確保するため第三者機関に依頼し、その算定結果を踏まえ、協議の上、決定している。第三者機関は、ディスカウンテッド・キャッシュフロー法を採用し、金融機関の価値評価において一般的に用いられるエクイティ・キャッシュフロー法により、楽天クレジットの承継対象事業の事業価値及びイーバンク銀行の株式価値を算出、承継対象事業の事業価値をイーバンク銀行の一株あたり株式価値にて除することにより、割当株数を算定している。

分割後の出資比率は67.22%ときっちり2/3超となるようスキームが立案されています。

第三者割当増資をまたもや優先株式で行っているのは、イーバンクの業績回復後に連結損益に取り込む方が有利との判断があったことによるものと思われます。

【リンク】
楽天投資家向け情報


by yasukiyoshi | 2009-02-14 12:09 | M&A
2009年 02月 04日

ニッポン放送株のインサイダー取引事件で村上代表に執行猶予判決

村上被告に猶予判決、一審の実刑破棄 インサイダー事件
ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反罪に問われた元村上ファンド代表、村上世彰被告(49)の控訴審判決公判が3日、東京高裁であった。門野博裁判長は懲役2年の実刑とした一審・東京地裁判決を破棄し、懲役2年、執行猶予3年の有罪とした。罰金300万円と追徴金11億4900万円は一審判決と同額とした。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1G0301V%2003022009&g=MH&d=20090203
【CFOならこう読む】
インサイダー取引の規制対象となる重要事実とは何かという点について、一審判決では、「実現可能性が全くない場合は除かれるが、可能性があれば足り、その高低は問題とならない」としました。この点1999年に最高裁が示した「実現を意図した決定があるかどうか」とは異なる判断が示されたことに批判が集まりました。

東京高裁は、一審判決を誤りであるとし、「ある程度の具体的な内容を持ち、実現を真摯に意図していると判断されるものでなければならず、それ相応の実現可能性が必要」と最高裁の判例の枠内で判断の尺度を示しました。

このほか一審、二審の判決を比較すると次のような相違があります(出所:前傾紙)。

e0120653_12291696.jpg(2009年2月4日 日本経済新聞1面)

私自身は、一審ではアクティビストとしての村上ファンドの役割を、「利益至上主義には慄然とする」とまで言って全否定していたのが、二審では「企業に改革を迫った村上ファンドの一方の側面をどう評価すべきかは成熟した議論がなされていない」と一定の理解を示した点に少しだけ安堵感を覚えました。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2009-02-04 12:25 | M&A
2009年 02月 02日

米ファイザー、ワイス買収資金調達コスト7~9%

M&Aに信用収縮の重し 米ファイザー、買収資金調達に厳しい条件
1月26日、米国で680億ドル(約6兆1000億円)規模の企業買収が明るみに出た。製薬世界トップのファイザーが半年にわたる交渉の末、同業のワイス(旧アメリカン・ホーム・プロダクツ)を傘下に収める。昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻で資本市場の機能が損なわれ、多くの企業は綱渡りの資金調達を余儀なくされている。ファイザーはどうやってメガ・ディールにこぎつけたのか。
(日経ヴェリタス2009年2月1日6面)
【CFOならこう読む】
総額680億ドルの買収資金のうち225億ドル分は、米ゴールドマンサックスなどから次の条件でつなぎ融資を受けます。
期間:1年
利率:年7~9%
手数料:0.5~2.5%
残りの455億ドルは現金と株式交換を組み合わせて支払われます。ファイザーの格付けはトリプルAであるにも関らず、プレミアムを6.5~8.5%要求されており、常時では全く考えられない事態です。
「ファイザーがのんだ厳しい条件は、財務内容で劣る「その他大勢」の企業を落胆させ、信用収縮の深刻さを思い知らせる材料かもしれない。」(前掲紙)
今は割安でM&Aが出来る好機ではありますが、こういう時にメガ・ディールが実行できるのはファイザーのようなキャッシュ・リッチ企業だけでしょう。

多額の現金保有にも効用はある、ということでしょうか。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2009-02-02 14:45 | M&A
2009年 01月 31日

JTブランド廃止

冷凍食品「JT」ブランド廃止 ギョーザ事件で販売不振続く
日本たばこ産業(JT)は今春、冷凍食品で「JT」ブランドを廃止する。1月30日でグループ企業が輸入した中国製冷凍ギョーザの中毒事件から1年たったが、深刻な販売不振が続きブランド維持は困難と判断。家庭用冷食は子会社の加ト吉のブランドに統一する。同事件以来、相次いだ食の安全問題の影響で、商品から有名ブランドがなくなるのは初めて。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090131AT2F3003030012009.html
【CFOならこう読む】
記事によると、
「JTはイメージの回復は困難とみて、生産は続けるものの2月にもJTブランドの包装は一部業務用を除いて廃止。4月頃から同ブランドは店頭からなくなる見込み。家庭用は3月に31品のうち5品を廃止したうえで、ジェイティフーズの親会社に当たる加ト吉にブランドを統一する。」
ということです。

JTは2007年12月にTOBにより加ト吉株式を93.88%取得し、加ト吉は2008年4月に100%子会社化されています。その後、両社の冷凍食品事業を含めた加工食品事業および当社の調味料事業について、加ト吉に集約した体制のもとで、運営されています。

したがって、今回のJTブランド廃止の決定も実態に即したものと言えるのですが、消費者から見ると、中身は何も変わらないのに、パッケージのみ変える誤魔化しであるととらえられる恐れがあると思います。その場合加ト吉ブランドも大きく毀損するリスクがあると私は思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2009-01-31 12:01 | M&A
2008年 12月 25日

第三者割当増資に規制

東京証券取引所は2009年夏をメドニ、特定の投資家に新株を割り当てる第三者割当増資に規制を導入する。増資額が既存株数に比べて異常に大きいなど、既存の株主の価値を損なう増資が新興企業を中心に相次いでおり、締め出すのが狙い。
(日本経済新聞2008年12月25日 7面)
【CFOならこう読む】
「具体的には、既存株主の1株あたり利益の目減りにつながる大規模な増資について公表し、上場企業やその株主に警告する。東証が今年導入した違約金の対象にも加える。
東証は一律で規制する数値基準は導入しない方向だ。ただ、特別の事情がなく発行済み株式が一気に二倍に増えるような規模の増資が対象となると見られる。」
何とも中途半端な規制です。大規模な増資を発表した企業の株価は希薄化するうえ、企業に対し違約金を課すのでは、一般株主にとって弱り目にたたり目です。

ニューヨーク証券取引所のように20%といった数値基準を明確に設けることが必要でしょう。20%以上の増資でも株主総会の決議により実行可能という規制の仕方にするのならまたぞろ多くの企業が株式持合いを進めるでしょうから、これを規制する必要もあります。

私は、原則株主全員に各自の持分に応じ新株を割り当てる、”株主割当”を増資の場合の原則にするのが良いと思っています。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-12-25 09:18 | M&A
2008年 12月 24日

東洋電機製造副社長インタビュー

日本電産が買収断念「予想外」 東洋電副社長「深まった溝、やり方強引」
日本電産が仕掛けた東洋電機製造買収劇は、TOB提案の期限切れという形で幕を閉じた。90日間の攻防は東洋電機に何をもたらしたか。最前線で交渉にあたった田中啓資副社長がその裏側を語った。
(日経ヴェリタス2008年12月21日 21面)
【CFOならこう読む】
以下上記記事からの抜粋です。
-鉄道事業に強い関心を示した電産の当初の意気込みからすると、あっけない結末だった。
田中
 予想外だった。買収提案の期限だった15日は当然、条件を変えて再提案するか期限延長だろうと思っていた。しかし、電産の発表資料には再提案はしないと書いてある。年末年始、休日返上で臨戦態勢を敷くつもりだったので、安堵したと同時に、正直言って拍子抜けした。

-情報交換の時間は十分あったが理解が深まらなかった。
田中
 逆に溝が深まった。5日の面談では両社長は言葉すら交わさなかった。電産の情報提供は不十分。シナジー効果の根拠を何度も問い合わせたのに明確に示さない。労働条件についても同様で、労働強化は確実だと思った。この業界は技術者の引き抜きも多い。労働強化されたら人材も流出する。取引先も大株主も労働組合も反対だった。」
(前掲紙)
要するに、永守流の効率性を追及する経営に、東洋電機の従業員は耐えられず、人材流出が止まらなくなって企業価値を毀損する、と言っているのです。それが真実なら過去電産が買収した会社が業績を劇的に改善している事実を田中福社長はどう説明するのでしょうか?

TOB価格635円に対し、12月22日終値は245円。本来なら電産による買収を進められなかった経営陣の責任が問われてしかるべき、と私は思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-12-24 09:27 | M&A
2008年 12月 17日

TBS持株会社化承認 楽天買い取り請求権行使か?

TBS持ち株会社化、承認 楽天の経営掌握、難しく
TBSが16日都内で開いた臨時株主総会で、来年4月1日付で放送法上の認定放送持ち株会社「東京放送ホールディングス」に移行する議案が株主に承認された。1つの株主が議決権を33%までしか保有できない出資制限があり、筆頭株主の楽天が単独でTBSの経営支配権を握る可能性はなくなった。今後の焦点は楽天がTBS株の買い取り請求権を行使するかなどに移る。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081217AT1D160AV16122008.html
【CFOならこう読む】
新聞記事は次の3つのシナリオを想定しています。
シナリオ1 株価低迷で膠着状態続く
「楽天は1株当たり約3100円でTBS株式を取得しており、仮に16日終値の1330円で保有全株を売却すると650億円超の損失が確定してしまうからだ。」

シナリオ2 株価回復 買取請求権行使へ
「仮に株価が2000円まで回復すれば、楽天が権利行使に動くとの観測もある。買取請求権の行使は市場で売却する場合に比べ税務上の扱いが有利になる。TBS側は買取を拒否できないため、和解スキームとしてまとまりやすい面もある。」

シナリオ3 三木谷社長変心 和解へ急転

(2008年12月17日 日本経済新聞 12面)
法人株主にとっては、株式を市場で売却するのではなく、株式買取請求権を行使する方が税務上有利な場合があるので、スクィーズ・アウトの場面で少数株主がスクィーズ・アウトに応じずに、株式買取請求権を行使するインセンティブが働く可能性について、各方面から指摘があるところです(例えば「シティグループと日興コーディアルグループによる三角株式交換等の概要(下)」 谷川達也・水島淳 商事法務
1833)。

株式買取請求権を行使し、会社が株式を買い取ると、自己株取得になります。税務上、自己株取得の場合、取得対価のうち、取得会社の「1株当たり資本等の金額」を上回る金額が「みなし配当」とされ、「1株当たり資本等の金額」と株主の譲渡原価との差額が株式譲渡損益となります。

したがって、
「対象会社の税務上の資本金等の額、内国法人株主の保有する対象会社株式の売買価格やその簿価等にもよるが、公開買付けへの応募や組織再編において受領した対価の売却を行い、その際の売却価格とその簿価の差額との全額につき株式譲渡損益として課税を受けるより、売買価格の一部が配当等の額(その全部または一部は益金不算入となる)とみなされ(法人税法24条参照)、その分、株式譲渡益が減少する(株式譲
渡損が増加する)可能性がある対象会社による現金での株式取得のほうが、内国法人株主にとって税務上のメリットが大きい場合多いであろう」(谷川・水島 前掲)
ということになるのです。

楽天のケースで、1330円で市場で売却、1330円でTBSが株式買取、2000円でTBSが株式買取、の3つのシナリオについて損益に与える影響を下の表で計算してみました(あくまで概算です)。

e0120653_1832921.jpg


楽天の連結ベースの第3四半期純利益は134億円。2000円程度まで株価が回復すれば損益へのインパクトを何とか当期純利益の中で吸収できる可能性があります。「株価が2000円まで回復すれば、楽天が権利行使に動くとの観測」というのは、恐らくこういうことを言っているのだと思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-12-17 12:11 | M&A
2008年 12月 16日

日本電産、東洋電機買収断念

日本電産、東洋電機製造の買収断念
日本電産は15日、同日に期限を迎えた東洋電機製造に対する買収提案の延長や再提案をしないと発表した。提案内容を検討する前段階の質疑応答で、日本電産が設定した3カ月の検討期間が経過。「企業価値向上に向けた真摯(しんし)な交渉を積み重ねていく共通認識に至る可能性は極めて低い」と判断、買収を断念した。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D150A7%2015122008&g=S1&d=20081215
【CFOならこう読む】
「企業価値向上に向けた真摯な交渉を積み重ねていく共通認識に至る可能性は極めて低い」という言葉に永守社長の無念さが滲み出ています。

永守社長は、次のように、敵対的TOBはやらないと言明しており、今回もその信念を曲げることはしませんでした。
-日本電産は2010年に売上高1兆円という目標を掲げています。この目標の達成のためにはチャンスがあったら、敵対的買収も辞さないという感じですか。

永守 私は日本では敵対的買収は難しいということをはっきりと断言しています。私のM&Aに対する考え方は、再生して転売して利ざやを稼ごうとするファンドとは違います。時間がかかっても成功していったほうがいいわけで、慌てて大失敗するよりもいいと思うのですね。M&Aも、一遍にいくつもできるわけではありませんから。
企業を再建して、業績を高める努力をしている間に、M&Aの対象になった別の案件はもう1回浮上してきます。今、60社ぐらいの声をかけていますが、『今のところ興味がない』とか『ちょっと待ってくれ』というのが大体8割です。残りの2割は、かつては『待ってくれ』とか『だめだ』と言っていたのが、『ちょっとは話を聞こうか』というふうに変わっている。そのなかでも、実際にまとまるものは非常に少ないのです。」
(「日本電産 永守イズムの挑戦」 日本経済新聞社編 日経ビジネス文庫)
もう少し粘れば良いと思うのですが、これも永守流の交渉術なのかも知れません。この永守流が好業績を生んでいることは間違いありません。

下表の通り、電子部品大手各社が軒並み大幅な減益を記録・予想している中で、唯一日本電産だけが大幅な増益を予想しているのですから。

e0120653_1371775.jpg


【リンク】
平成20年12月15日「東洋電機製造株式会社に対する資本・業務提携に関する提案の有効期限日の満了に伴う失効のお知らせ」日本電産株式会社
http://www.nidec.co.jp/news/newsdata/2008/1215.pdf

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by yasukiyoshi | 2008-12-16 08:57 | M&A