カテゴリ:原価計算( 1 )


2007年 08月 25日

防衛省、調達費抑制へ新方式・装備品契約、原価低減促す

製品をつくった後で、原価に5%の利益を上乗せする現行方式では企業の合理化努力が働きにくいと判断。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070825AT3S2401D24082007.html

(CFOならこう読む)
企業内の部門間の振替価格の問題に置き換えて
この記事を読むと面白いと思います。

振替価格の決め方として、
市価基準(市場で取引されている同種製品の市価に基づいて振替価格を決定する)と
原価基準(かかったコストに基づき振替価格を決定する)があります。

原価基準によると
供給部門に原価低減を促せないという欠点があると言われています。

今回防衛省が検討している方式は原価低減額分を
企業の取り分とするものです。
一見とても良い方法のように思えますが、
原価基準の一種であるこの方法にも次のような欠点があります。

第一に、原価低減に成功しても次回は原価低減後のコストに基づき
価格が決まるので、継続的な原価低減効果が働きづらい。
第二に、もともとの原価算定が供給部門の都合で行われているなら、
現状の振替価格でも供給部門では十分な利益が出ている。

第二の欠点を若干補足します。
原価計算における原価のうち
大きな部分を占める製造間接費の配賦には
もともと恣意性が入りやすいのです。
例えば間接費の配賦基準を100%操業を前提にするか、
当期の稼動予定を前提にするかによって配賦額は全く異なります。

記事の中で製造間接費について次のような記載があります。
「新方式の導入にあたって、原価を算出する仕組みを厳しくする。
具体的には、装備品を製造する設備の減価償却費や人件費など
製造間接費と呼ぶ費用について、
それぞれ項目ごとに算出して提示するよう求める。
これまでは人件費や減価償却の区別を求めていなかった。
民間航空機など防衛省以外の受注分も含めて
一定の計算式で間接費を算出していたため丼勘定との指摘もあった。」

そもそも直接費と間接費の区分すら極めて主観が入りやすい中で、
供給部門が製造間接費を膨らませて高い原価に基づき
振替価格を決めるのは容易なはずです。
仮に現状このようにして調達価格が決まっているとするなら、
企業の合理化努力を引き出すのは困難でしょう。

原価基準はそろそろ止めにして、
市価基準を積極的に採用すべきではないでしょうか。

by yasukiyoshi | 2007-08-25 10:09 | 原価計算