カテゴリ:資金調達( 49 )


2009年 02月 17日

東洋紡 ハイブリッド証券で220億円調達

東洋紡 220億円社債発行
東洋紡は16日、英領ケイマン諸島に設立した子会社に、第三者割当でユーロ円建て永久劣後社債220億円を発行すると発表した。この子会社がユーロ円建て永久優先出資証券を発行し、投資家から同額の資金を調達する。永久劣後社債と永久優先出資証券を組み合わせる資金調達は珍しい。同社は「普通株式への転換権がつかないため、1株当たりの利益が減少せず、既存株主の利益を損なわずにすむ」としている。
産経ニュース 2009年2月17日
【CFOならこう読む】
本件スキームは下図の通りです。
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海外特別目的子会社TCPC 社(100%出資の特別目的子会社TC Preferred Capital Limited)に対して本社債220 億円を発行し、TCPC 社は国内の投資家に対して優先出資証券220 億円を発行します。また、当優先出資証券に係る配当、残余財産の分配等の支払いを保証する旨の契約(劣後保証契約)をTCPC 社と締結します。

TCPC 社が発行する優先出資証券は、東洋紡の連結貸借対照表上においては少数株主持分として計上されます。当優先出資証券は資本と負債の中間的な性質を持つハイブリッド証券であり、負債性調達手段の特性を有すると同時に、主要格付機関(株式会社格付投資情報センターおよび株式会社日本格付研究所)から70%以上の資本性が認められるとのことです。時価発行増資では、発行済み普通株式数の増加および一株当たり利益の減少等の普通株式の価値の希薄化を招きますが、本優先出資証券には当社普通株式への転換権が付されていないため、当社普通株式の希薄化は一切発生しません。

本ハイブリッドファイナンスに参画する投資家は以下のとおりです。
・ (株)みずほコーポレート銀行
・ 三菱UFJリース(株)
・ 三井住友フィナンシャルグループ
・ 住友信託銀行(株)
・ センチュリー・リーシング・システム(株)
・ 大同生命保険(株)
 他2社

【リンク】
平成21年2月16日「第三者割当によるユーロ円建永久劣後社債の発行および当社海外特別目的子会社によるユーロ円建永久優先出資証券発行に関するお知らせ(「ハイブリッドファイナンス」による資金調達に関するお知らせ)」東洋紡績株式会社


by yasukiyoshi | 2009-02-17 10:00 | 資金調達
2009年 02月 13日

公的資金ドミノ

国への接近、新生か衰退か
エルピーダメモリの坂本幸雄社長と日産自動車のカルロス・ゴーン社長。半導体と自動車の世界で企業再建の修羅場をくぐり抜けてきた2人が、公的資金に吸い寄せられている。
(日本経済新聞2009年2月13日1面)
【CFOならこう読む】
「「市場対国家」の二元論では割り切れない混合資本主義の足音。国への接近は新生への一歩か、衰退への扉か。答えはまだ出ないが、金融危機で企業ー国ー金融というトライアングルの一角が崩れた今、企業と国の連携が重みを増すのは間違いない。」(前傾紙)
私は市場原理主義者ですし(笑)、基本的には「国への接近は衰退への扉」であると考えています。

今日の新聞に、ガイトナー米財務長官が10日発表した新たな金融安定化策に対し、米欧メディアからは厳しい論評が相次いでいるとの記事が載っています。

英フィナンシャルタイムズの11日付記事のような批判が日本ではほとんど聞かれないことが不思議です。

公的資金投入について、
「納税者は自分たちの出費に対し適切な見返りを補填してもらうべきだ」
【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2009-02-13 09:36 | 資金調達
2009年 02月 10日

野村證券3000億円の新株発行枠を登録

野村ホールディングスが6日、年度内の公募増資を視野に3000億円を上限とする普通株の新株発行枠を登録した。20年ぶりの新株発行となるが、野村の株価はおよそ25年ぶりの安値圏。逆境下の大型増資を実現するため、ダイリューション(希薄化)という悪材料を段階的に市場に織り込ませようとしている。増資の成否は野村自身の経営はもちろん、株式市場の今後を占う試金石でもある。
(日経ヴェリタス2009年2月8日17面)


【CFOならこう読む】
発行登録制度は、証券を発行する際にあらかじめ金額の上限を公表し、その枠内で機動的に発行する仕組みで、これを利用することで、会社の正式な意思決定として新株式の発行を行う予定であることを対外的に表明した上で勧誘行為を行うことができる、予定期間内の発行予定額を発行登録段階で開示することとなるため今後の資本増強策等に関する会社の方針を市場に理解してもらえるというメリットがあります。
「社債では多くの活用例がありますが、新株発行ではまれ。最近では、三菱UFJフィナンシャル・グループが昨年12月に実施した大型増資で利用した事例がある程度」(前掲紙)
とのことです。

これを受けて野村HDの株価は9日大きく下落しました。
「9日の東京株式市場で、野村ホールディングス(HD)の株価が大幅に下落し、前週末終値比82円安の490円で取引を終えた。終値で500円を割り込んだのは、野村証券時代を含め82年11月9日(485円)以来26年3カ月ぶり。金融危機で業績が悪化している上、新株発行による最大3000億円の公募増資枠を設定したことが、既存株主の利益希薄化につながるとして嫌気されたようだ。」

   (http://mainichi.jp/select/biz/news/20090210k0000m020143000c.html

赤字補填のための資本増強を株式市場は特に評価しないということでしょう。しかしTier1増強は必須で、種類株発行を定款で規定していない野村の場合は普通株式の発行をする他選択肢はないと思います。野村としてはいずれにしてもダイリューションは避けられないとの判断があるのでしょう。

発行枠登録を利用したのは、
「ダイリューションという悪材料を告知することで、業績悪化と株価低迷に不満を募らせている既存株主から大型増資への理解を何とか得たい」(前掲紙)
という意図があるのです。

【リンク】
2009年2月6日「新株式発行に係る発行登録について」野村ホールディングス株式会社
http://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20090206/20090206_b.html

平成20年10月27日「新株式発行に係る発行登録について 株式会社三菱UFJ フィナンシャル・グループ(取締役社長 畔柳」株式会社三菱UFJ フィナンシャル・グループ
http://www.mufg.jp/data/current/pressrelease-20081027-003.pdf


by yasukiyoshi | 2009-02-10 09:34 | 資金調達
2009年 02月 05日

中小企業倒産防止共済制度

中小企業の利用増 資金繰り万全期す
中小企業の連鎖倒産を防ぐための「中小企業倒産防止共済制度」の利用が急増している。2008年1-11月の中小企業の新規加入は2万件を超え、前年同期比38%増。暦年ベースでみると2008年は1998年以来10年ぶりの高水準となる見込みだ。信用収縮や連鎖倒産に敏感になった中小企業が、信用保証制度による資金繰りだけでは不十分と判断し「最後の安全網(セーフティネット)」への支援を求めている。
(日本経済新聞2008年2月5日5面)
【CFOならこう読む】
中小企業倒産防止共済制度とは、独立行政法人中小企業基盤整備によって運営されている、中小企業が取引先の倒産の影響を受けて連鎖倒産しないようよう中小企業倒産防止法に基づいて1978年に発足した制度で、『経営セーフティ共済』という愛称で呼ばれています。

「取引先の倒産」という不測の事態に直面した中小企業に迅速に資金を融通する共済制度で、毎月一定の掛金を積み立てていただいた加入者は、取引先が倒産した場合に、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高3,200万円まで)で回収困難な売掛債権等の額以内の貸し付けを無担保・無保証人・無利子で受けることができます。

毎月の掛金は、5,000円から80,000円までの範囲内(5,000円単位)で自由に選べ、掛金は、税法上損金に算入できます。

会社設立からの経過年数が加入資格になっていないので、アーリーステージにあるベンチャー企業は加入の検討をしてみても良いかも知れません。

独立行政法人中小企業基盤整備機構の業務を取り扱っている商工会議所、市町村の商工会、中小企業団体中央会、中小企業の組合などの委託団体、又は銀行、信用金庫、信用組合、商工組合中央金庫などの金融機関等が加入取り扱い窓口となっています。

【リンク】
「経営セーフティ協会」中小企業基盤整備機構
http://www.smrj.go.jp/tkyosai/index.html


by yasukiyoshi | 2009-02-05 08:53 | 資金調達
2009年 01月 23日

ライブドア(現LDH)、フジに310億円支払いで和解

旧ライブドア、フジに310億円支払い 株急落巡り損害賠償和解
ライブドア(現LDH)の第三者割当増資を引き受けたフジテレビジョン(現フジ・メディア・ホールディングス)が、ライブドア事件で同社株価が急落し損害を受けたとして、LDHに約345億円の損害賠償を求めた訴訟は22日、LDHがフジ側に約310億円を支払うことで東京地裁で和解が成立、両社の訴訟は終結した。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090123AT1G2203522012009.html
【CFOならこう読む】
フジは、2005年年5月23日にLDHの第三者割当増資に応じて払い込んだ金額(約440億円)とフジが取得した全株式を、2006年3月16日に売却した金額(約95億円)との差額である345億円及びそれに対する遅延損害金について、旧証券取引法第18条(虚偽記載のある有価証券届出書の届出者の賠償責任)に基づき、東京地方裁判所においてLDHに対して損害賠償を求める民事訴訟を提起していました。

今般、東京地方裁判所から職権による和解勧告及び和解案の提示があり、昨日、LDHとの裁判上の和解が成立しました。その内容は次の通りです。

■ライブドアは、当社に対し、損害賠償金として、2009年2月10日までに金310億5442万8000円を支払う。

LDHは、和解案を受諾した理由をプレスリリースで次のように説明しています。
「当社が東京地方裁判所からの和解勧告を受諾することとした主な理由は、1)提示された和解案は原告請求額を減縮した金額の支払を内容とするものであり、当社主張の一部が実質的に認められたものと評価できること、2)現在当社が係争中である他の損害賠償請求訴訟と異なり、本件は、旧証券取引法第18 条・19 条に規定されている新株の募集に応じて取得した者への賠償責任であること、3)本件の早期解決により、当社の訴訟費用および労力を節減し、他の損害賠償請求訴訟に注力して取り組むことができること、の3点です。」
LDHは、この和解金額を堀江元社長ら旧経営陣に賠償請求する方針です。

【リンク】
平成21年1月22日「和解による訴訟の解決のお知らせ」株式会社フジ・メディア・ホールディングス
http://www.c-direct.ne.jp/public/japanese/uj/pdf/10114676/20090122166311.pdf

平成21年1月22日「和解による訴訟の解決に関するお知らせ」株式会社LDH
http://www.ldh-corp.co.jp/ir/2009/20090122_01.pdf


by yasukiyoshi | 2009-01-23 09:44 | 資金調達
2009年 01月 20日

CBの償還方法変更―アセット・マネージャーズ・ホールディングス

不動産投資のASSET、CBの繰り上げ償還額を半額に変更
不動産投資のアセット・マネジャーズ・ホールディングスは19日、2006年に発行した130億円の転換社債型新株予約権付社債(CB)の償還方法を変更すると発表した。当初は今年3月18日に額面金額での繰り上げ償還に応じると説明していたが、償還額を半分に減らす。不動産市況の低迷で業績が悪化するなか、償還による資金流出を抑える狙いだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20090120AT2D1901519012009.html

【CFOならこう読む】
変更の内容をプレスリリースから抜粋すると次のとおりです。
「① 本社債に関する事項
・ 社債権者の選択による繰上償還における償還額の減額(本社債額面金額の50%と
する。)
・ 満期償還日の延長(1 年間延長し2012 年3 月17 日とする。)
・ 満期償還額の減額(本社債額面金額の90%とする。)
・ 140%コールオプション条項による繰上償還の廃止

 ② 本新株予約権に関する事項
・ 本新株予約権の行使に際して払込をなすべき1株あたりの額(以下「転換価額」
といいます。)の変更(従来22万円であったのを2009 年1 月16 日終値である8,170
円へと下方修正をする)。」

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株価が行使価格を大きく下回り、かつ償還資金の手当ても困難であるため、行使価格を現在の株価まで引下げ、転換を促すことを意図した変更です。

要するにMoving Strikeされるわけです。

これにより増加する潜在株式は1,533,853 株であり、これは発行済株式総数の202.45%に相当することから、株式転換が行われた場合、大きな希薄化が生じることになります。この点、3月17日に開催される臨時株主総会でその是非が議論されることになります(特別決議です)。

個人的には、満期償還額の減額分がどう会計処理されるのかに興味があります。

【リンク】
平成21年1月19日「2011 年3 月18 日満期円貨建転換社債型新株予約権付社債に関する社債権者集会の開催、臨時株主総会の開催及び臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」アセット・マネジャーズ・ホールディングス株式会社
http://www.assetmanagers.co.jp/irinfo/pdf/AssetManagers_20090119.pdf


by yasukiyoshi | 2009-01-20 08:31 | 資金調達
2008年 12月 26日

バリュー・アット・リスク(VaR)

統計過信のツケ 漂流するリスク管理
「まさか相関係数が一に近付くとは」。富国生命保険の桜井祐記取締役は今秋の想定外の金融市場の動きに困惑した。これは日本株、外国株、商品などが同じような値動きをし、リスク抑制の基本手段である分散投資の効果が得られなくなったことを意味する。
金融危機で投資家のリスク管理は根本から揺らいだ。金融機関はバリュー・アット・リスク(VaR)と呼ばれる統計的手法で株、債券などの損失可能性を予測し、資産配分している。1978年ー2007年の30年間の日経平均株価の値動きを前提に計算すれば、1日で5%以上動く可能性は1万分の1以下。これを「無視しうる頻度」と判断して、見合った資金を投じていく手法だ。

(日本経済新聞2008年12月26日 13面 株価 金融技術の限界 下)
【CFOならこう読む】
金融機関に限らずバリュー・アット・リスク(VaR)はもっともポピュラーなリスク計量手法のひとつで、ほとんどのビジネススクールで教えられています。

VaRを言葉で表現すると次のようになります。
「①過去のある一定期間のデータをもとに、
 ②将来の特定の期間内に、起こりうる収益率の分布を予測し、
 ③ある一定の確率の範囲内で、
 ポートフォリオの現在価値がどの程度損失を被るかを、理論的に算出された値」
  (「バリュー・アット・リスクの基礎知識」吉田洋一著 シグマベイスキャピタル)
日銀は、VaRのメリットとデメリットを次のように説明しています。
メリット
 為替・債券・株式等、全く異なる金融資産でも、VaRによって統一的にリスクを計量化し、さらに、相関等を考慮した上で合算することもできる。
 デメリット
 ① 過去の一定期間のデータを使ってリスクを計量化するため、使用したデータに含まれないような大きな価格変動やショックが発生した場合のリスクは、十分に把握できない。
 ② 従来リスクとして十分認識されていなかった要素や、新商品のようにデータの蓄積のない取引に関しては、そもそもリスクの計量化自体が困難。
 ③ 予想される損失について一定の確率分布を仮定した上でリスクの計量化を行うため、前提が崩れた場合のリスクは分からない。」
(「統合リスク管理の高度化」日本銀行金融機構局)

「10月16日の日経平均株価の下落率(11.4%)について、発生確率を予測すると、その発生確率は124京年(京は兆の1万倍)に1回という天文学的数字となった。」
(前掲紙)
まさに、今年「使用したデータに含まれないような大きな価格変動やショックが発生した場合のリスクは、十分に把握できない」ような事態が起きたのです。

「定量モデルに依存するだけでなく、定性的な判断を重視する必要性が高まっている」(ボスコン 木島康史氏 前掲紙)という意見はその通りですが、マネジメントにとって依るべき定量モデルが必要であるのもまた事実です。

そういう意味では、リスク評価の第一人者である森平教授の、「リスク管理の抜本的な見直しは、数年以上かかる膨大な作業で、現状は暗中模索の段階だ」(前掲紙)という言葉から、我々は依るべきモデルを失ったという事実を宣告されたような気がして、暗澹とした気持ちになります。

【リンク】
2005年7月「リスク管理高度化と金融機関経営に関するペーパーシリーズ 統合リスク管理の高度化
」日本銀行金融機構局
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/fsk0507a3.pdf


by yasukiyoshi | 2008-12-26 09:55 | 資金調達
2008年 12月 02日

野村ホールディングス 劣後CB発行

劣後調達 最大4100億円 株式転換付1100億円 個人向け3000億円
野村ホールディングスは1日、劣後資金の調達による資本増強策を発表した。第一生命保険と信金中央金庫向けに発行する劣後特約付転換社債(劣後CB)1100億円に加え、個人向けを中心に最大3000億円の劣後債を発行する。金融危機や米リーマン・ブラザーズの部門買収に伴う費用負担で今期は赤字になる公算が大きく、最大4100億円の劣後調達で財政基盤を拡充する。
(日本経済新聞2008年12月2日7面)
【CFOならこう読む】
劣後CBとは、次の証券を言います。
「劣後債に株式転換権を付けた証券。劣後債は普通社債に比べて元利金の返済順位が低く、資本金などの「中核的資本(Tier1)」に次いで資本性の高い「補完的項目(Tier2)」として自己資本規制比率の計算に組み入れることができる。劣後CBはこの劣後債に株式転換権が付いており、株価が転換価格よりも上昇すれば、投資家が普通株に転換することで当初のTier2からTier1に全額が振り替えられる。普通社債に株式転換権が付いた通常のCBよりも、より資本性が強い資金調達手法といえる。」
(前掲紙)
本CBの転換価額は745円(12月1日終値678円を約10%上回る)、2009年1月5日から満期の2014年3月25日まで、いつでも株式に転換できます。

希薄化懸念について会社は次のように説明しています。
「本新株予約権付社債が転換された場合の希薄化は、現時点の発行済株式総数に対し、7.5%であることから、本新株予約権付社債の発行金額は市場に過度の影響を与える規模ではないと判断しました。」
なお既存株主への配慮及び資本政策の裁量を確保するため、発行から2年後以降、20連続取引日において株価が転換価額の120%以上であった場合、残存する本新株予約権付社債の全部を額面100円につき100円で償還することができる任意繰上償還条項(120%コールオプション条項)が付されています。

【リンク】
平成20年12月1日「第1回期限前償還条件付無担保社債(劣後特約付)並びに第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)の発行について」野村ホールディングス株式会社
http://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20081201/20081201_a.pdf


by yasukiyoshi | 2008-12-02 09:14 | 資金調達
2008年 11月 20日

製作委員会方式によるアニメ制作

委員会方式で取り分減る 版権確保模索も
アニメやゲーム、漫画。日本の文化が世界で存在感を高めている。だが追い風のわりに関連する上場企業の業績は伸び悩んでいるのが実情だ。クール・ジャパンの憂鬱ー構造を探ってみた。
(日本経済新聞2008年11月20日 14面 クール・ジャパンの憂鬱)
【CFOならこう読む】
記事はコンテンツ制作会社の業績が伸びないひとつの理由に「製作委員会方式」を挙げ、次のように指摘しています。

「従来、アニメはテレビ局や玩具メーカーの資金で制作され、制作会社も多いときには権利の半分以上を持った。ところが広がる「委員会」方式のもと、現在は広告代理店や出版社などへと出資企業の幅が拡大。制作会社の出資力の制約などもあって、持っている権利は、全体の10%前後に落ちているとみられる。」
クール・ジャパンが世界でどれだけ評価されようと、現場が疲弊するような構造では発展が望めません。メジャースタジオ以外の米国の映画製作の場合、「ネガティブピックアップ」により資金調達をするのが一般的です。
「インディペンデント映画の製作者たちはスタジオから100%資金調達を受けないので、自分達で資金調達します。北米での配給権の「ネガティブピックアップ」とメジャーな地域の「プリセール」の組み合わせで、配給契約を担保に金融機関から借り入れして、完成保証ボンドをつけるのが従来の形です。」
(「コンテンツ・ファイナンス」(松田政行著 日刊工業社)
ネガティブピックアップとは次のようなものです。
「ネガティブピックアップとは、完成保証による完成リスクのヘッジと、MG(MinimumGuarantee)による興行リスクのヘッジを組み合わせてデットファイナンスを行う一種のストラクチャードファイナンスであり、欧米ではスタジオに属さないインディペンデントプロデューサーによる映画製作資金の調達において用いられている。なお、MGとは、配給会社等の販売会社が映画製作者に支払う分配金に最低保証額を設定するものであり、映画製作者の観点からはMGの範囲において興行リスクをヘッジする機能がある。また、配給契約の締結時においてMGに相当する金額が配給会社等から映画製作者に支払われるケースもあるが、ここで想定するのは原則として映画の完成、引渡しを条件として、MGに相当する金額が支払われるケースである。
典型的なネガティブピックアップでは、インディペンデントプロデューサーは映画の完成を前提とした配給契約を配給会社と締結する。契約において配給会社は、完成された映画の引渡時に、プロデューサーに対する映画の配給からの分配金として一定の金額を前払いすることが定められている。この前払い額がMGに相当するが、欧米では映画の完成に必要なコストとして見積られた金額がMGとして設定されることが多い。
そしてプロデューサーはこのような配給契約を担保として、銀行やその他の債権者から資金調達し、映画を製作することが可能となる。プロデューサーに対する債権は配給契約において定められた前払い金によって返済される。」  (「日本型映画完成保証に関する調査研究報告書」 独立行政法人経済産業研究所)
つまりネガティブピックアップの前提として完成保証会社から完成保証を受けることが不可欠なのです。日本では、完成保証の法的位置付けが不明確であること、完成保証会社の役割は、単なる保証を行うだけでなく、予算コントロール、製作の引継ぎ等多岐に渡るため、適当な担い手が見つからない、といった理由から完成保証をつけるという実務が定着していません。

私は、前職が映像ディレクターということもあり、人一倍この分野には関心があるのですが、制作サイドに正当な報酬が落ちるスキームを構築するのに苦慮している、というのが実情です。

【リンク】
図解コンテンツ・ファイナンス―「著作権信託」で資金調達が変わる
松田 政行

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by yasukiyoshi | 2008-11-20 10:10 | 資金調達
2008年 11月 14日

中小企業向けの融資減少、鮮明

9月末3.2%減、3年半ぶり大幅
銀行の中小企業向け貸し出しの落ち込みが鮮明になってきた。日銀が13日まとめた国内銀行ベースの9月末の貸出残高は179兆円となり、前年同月末より3.2%減った。減少額は3年半ぶりの大きさ。米金融危機をきっかけに世界景気の先行きへの懸念が強まり、銀行が融資に一段と慎重になっている。中小企業の間では政府系金融機関から借りる動きが広がる一方、政府の追加経済対策の早期発動を求める声も強まってきた。
(日本経済新聞 2008年11月14日 3面)
【CFOならこう読む】
「中小向け融資は、米国の住宅ローン問題を発端に世界の金融市場が混乱し始めた昨夏以降、13ヶ月連続で前年同月を下回っている。8月末までは1%前後の減少額にとどまっていたが、9月末は大幅に落ち込んだ。13日に9月中間決算を発表したみずほフィナンシャルグループは傘下の3銀行合算で9月末残高が6.2%も減った。」
(前掲紙)
本来、金融機関が貸し渋りに向かわざるをえなくなるようなBIS規制の仕組みに問題があります。やみくもにリスクアセットを絞る方向ではなく、資本増強に向かわせる、そういう仕組みに変える必要があると、私は思います。

そうは言っても、貸し渋りの影響から、現実に年を越せない中小企業が数多く存在します。私の感覚では、10月末に10割の信用保証制度が設けられてから、事態は好転に向かっているように思いますが、それでも最悪の状況は脱したという程度の話です。まずは、信用保証枠を現在の6兆円から20兆円に増やし、利用可能業種も545から618に拡大するという追加経済対策を一刻も早く実行してもらいたいものです。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-11-14 09:03 | 資金調達