吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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カテゴリ:資金調達( 49 )


2008年 11月 12日

中小企業向けの制度融資

横浜商工会議所は11日、中小企業の制度融資の利用支援などを柱とした「中小・小規模企業緊急特別支援事業」を発表した。県や国の制度融資の説明会を開いたり、ホットラインを開設し、中小企業の資金繰りに関する相談体制を強化する。
(日本経済新聞 2008年11月11日 神奈川・首都圏経済面)
【CFOならこう読む】
上場企業の経常減益が相次ぐ中、中小企業の資金繰りは年末にかけてさらにタイトになることが予想されます。

このような状況の中、横浜商工会議所は、昨日「中小・小規模企業緊急特別支援事業」を発表しました。その概要は次の通りです。
Ⅰ.公的中小・小規模企業支援策の説明会並びに個別相談会等の開催
○緊急経済対策に係わる「制度融資説明会並びに個別相談会」の開催
○各支部における年末個別相談会の実施  【⇒詳細はこちら】
○国(㈱日本政策金融公庫等)、神奈川県、横浜市の中小企業支援制度情報の周知・
PRの徹底(ガイドブックの無料配布、メールマガジン)

Ⅱ.「緊急特別支援窓口」の開設
 ○相談窓口の開設時間延長
 ○経営革新セミナー(土曜開催)の開催
 ○土曜相談窓口の設置
 ○緊急特別支援電話相談(ホットライン)の開設 TEL:671-7453
 ○無料窓口・巡回相談体制の充実
  (巡回回数増、専門指導員・公的金融機関職員との巡回相談の実施等)
 ○金融支援策の積極的展開
  ・無担保・無保証人の融資(マル経融資)
  ・会員限定「無担保別枠1000万円保証」
  ・11金融機関の連携融資
  ・経営安定特別融資
  ・原油・原材料価格高騰対策特別資金
  ・セーフティネット保証の紹介・斡旋等
 ○全会員訪問(ローラー作戦)と連動した公的支援メニューの紹介

Ⅲ.横浜市との連携
 ○「原材料価格高騰対応等緊急保証」の開始に伴う『セーフティネット特別資
   金』融資対象業種認定業務支援
  ・認定窓口への人的応援 等
 ○当所と横浜市相談窓口との連携

Ⅳ.行政への要望
国が10月末、対象業種を広げた「セーフティーネット特別融資」制度のに関する情報提供、及び「セーフティーネット特別融資」の認定を行っている横浜市の窓口に職員を派遣し、企業が迅速に認定が受けられるように支援するといった事業を行うとしています。

【リンク】
横浜商工会議所
http://www.yokohama-cci.or.jp/


by yasukiyoshi | 2008-11-12 08:51 | 資金調達
2008年 11月 06日

エルピーダ続報

エルピーダがストップ高。新株予約権付社債(CB)発行による一株価値の希薄化懸念から株価は大きく下落したが、この日まで4営業日続伸し、CBの下限転換価格(509円)を上回る水準まで回復した。
(日本経済新聞 2008年11月6日 20面 株式往来)
【CFOならこう読む】
「5日に提出された大量保有報告書から、割安株投資で知られる米資産運用大手のアライアンス・バーンスタインが10月29日までに9.31%の株式を取得していたことが分かった。共同保有分を合わせると11.9%になり、実質的に筆頭株主に浮上した可能性がある。」(前掲)

エルピーダのMSCBについては、10月20日に取り上げました。
http://cfonews.exblog.jp/8789670/

MSCB発行をリリースした10月15日の終値1383円から400円まで下げた後、4営業日続伸し、昨日674円まで戻しています。

記事にあるアライアンス・バーンスタインとは、アクサ・フィナンシャル・インクが63.2%の持分を有する世界有数の資産運用会社です。運用資産総額は8004億米ドル、うち約半分をバリュー株に投資しています。

9月末の時点では、大株主にアライアンス・バーンスタインの名前はありません。PBR0.15倍という水準を割安とみて、大きな投資に踏み切ったのでしょう。

捨てる神あれば、拾う神あり?!

【リンク】
アライアンス・バーンスタイン株式会社
http://www.alliancebernstein.co.jp/


by yasukiyoshi | 2008-11-06 10:33 | 資金調達
2008年 10月 30日

社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)-ソフトバンク

ソフトバンク、最大750億円損失の恐れ 債務担保証券投資で
ソフトバンクは29日、証券化商品の一種である債務担保証券(CDO)に投資していた750億円が全額損失となる可能性があることを明らかにした。現時点では損失となっていない。仮に全額が損失となれば、金融危機の影響で日本の事業会社が証券化商品に関連して被る損失として最大級となる。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081030AT1D290BH29102008.html
【CFOならこう読む】
社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)とは、企業が社債の元利金を信託銀行に払い込み、負債をオフバランス化することを言います。信託銀行は国債など安全資産でこの資金を運用し、社債投資家への元利金払いに充当する仕組みになっています。3月4日に私のブログで武富士のケースをとりあげました(http://cfonews.exblog.jp/7423814/)。

オフバランスの為の要件を日本の会計基準は次のように定めています。
金融商品会計に関する実務指針46項
「取消不能で、かつ社債の元利金の支払に充てることを目的とした他益信託等を設定し、当該元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債又は優良格付けの公社債)を拠出することである」

金融商品会計に関するQ&A
「わが国において、元利金が保全される高い信用格付けの金融資産とは、国債や政府機関債のほかに、例えば、拠出時に複数の格付け機関よりダブルA格相当以上を得ている社債が含まれると考えられます」
実際に大きな損失を被るリスクを会社が有しているにも関らず、オフバランスを認めている会計基準にも問題があると思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-10-30 08:32 | 資金調達
2008年 10月 23日

モック増資 発行済株式数は最大で5.5倍に

増資などで11億円調達
結婚式場運営のモックは22日、第三者割当増資と新株予約権の発行で最大11億7千4百万円を調達すると発表した。発行済み株式数は最大で5.5倍に増える。
一方、東京証券取引所は同日、新株発行を伴う資金調達に際し流通市場の機能や株主の権利に配慮するよう上場会社に文書で要請した。

(日本経済新聞2008年10月23日14面)
【CFOならこう読む】
会社法は授権枠(発行可能株式数)を発行済株式数の4倍に制限しています。それにも関らず5.5倍まで株式を発行できるのは何故でしょう。

この件は昨年9月8日(http://cfonews.exblog.jp/6422299/)にお話しましたが、こういうことでした。

昨年6月30日現在の発行済株式数は134,263株、授権枠は300,000株であったのを昨年9月26日の定時株主総会で、まず授権枠を537,000株に拡げた上で、10株を1株とする株式併合を実施しました。これにより、当社の発行済株式総数は134,263 株から13,426株となり、授権枠に対して約523,000 株分の余裕が生じることになり、大幅に希薄化を伴う新株発行が可能になったのです。

2008年10月22日現在、モックの既発行株式数は88,552 株なので、発行枠は537,000株-88,526株=448,474株の余裕があるので、今回の最大400,000株の新株が発行される資金調達が実行できるのです。

東証は、昨日全ての上場会社宛に文書を送付し、この件について問題視していることを次のように言明しています。
多くの既存株主に株主としての地位を失わしめる大幅な株式併合を実施したことから、流通市場への混乱をもたらすおそれがあるとして、以前、当取引所が公表措置を行った上場会社が、当該株式併合によりいわゆる授権株式数が大幅に拡大したことを利用して、今般、通常を大きく超える規模の新株等の発行を行う事例が発生しております。
当取引所としては、一般に、株主の持分割合の著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスは、仮に法令に違反するものでないとしても、株主の権利を損なうおそれがあるものとして、強く憂慮しております。」
会社法の法改正が間に合わないのなら、市場ルールにより今すぐにでも規制すべきだと私は思います。

【リンク】
2008年10月22日「第三者割当により発行される株式および新株予約権の募集ならびに支配株主、筆頭株主および主要株主の異動に関するお知らせ」株式会社モック
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/081022.pdf

2008年10月22日「著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスについて」株式会社モック
http://www.tse.or.jp/news/200810/081022_c.pdf



by yasukiyoshi | 2008-10-23 07:47 | 資金調達
2008年 10月 21日

低格付け債、発行が急減

投資家に警戒感 調達コスト上昇
格付けの低い企業の社債発行が急減している。トリプルB格の社債発行額が全体に占める比率は今年4月—9月に約3%と10年ぶりの低さとなり、10月以降も記載が途絶えている。今夏以降は格付けの引下げ件数も増加。米国発の金融危機と景気後退懸念が企業の資金調達に悪影響を及ぼし始めた。(日本経済新聞 2008年10月21日 16面)
【CFOならこう読む】
流通市場での、トリプルB格の社債のスプレッドは1.6%と5年半ぶりの高い水準です。4月—9月における、トリプルB格の社債の発行は1400億円と全体に占める比率は1998年度の0.3%以来の低水準です。

もともと日本の社債市場で機関投資家の投資の下限がトリプルBであり、トリプルBがリスク許容の限界となっていると言えます。6月からデフォルトが続いたことにより、このリスクの下限が上方に移行しているように思われます。

もっともトリプルB未満の社債の取引が市場でなされていないことにも問題があると言えます。

リスクから逃げるのではなく、リスクに真摯に向き合うことが、金融の重要な役割であると私は思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-10-21 08:05 | 資金調達
2008年 10月 20日

エルピーダMSCB発行

エルピーダ、逆張りの資金調達 市場低迷時のCB発行、嫌気され株価急落
エルピーダメモリが発行を決めた500億円のCBの評判が芳しくない。株式市場では1株価値の希薄化を嫌気した売りが殺到し、株価は発表翌日の15日から3日連続で制限値幅の下限まで売り気配を切り下げた。3日間の累計下落率は36%に達し、初めて1000円台を割り込んだ。17日の終値は883円。ただでさえ株式市場が冷え込んでいる時期に、なぜ株価下落のリスクをはらむ資金調達に踏み切ったのか。坂本幸雄社長が得意とする「逆張り経営」の真価が問われている。
(日経ヴェリタス 2008年10月19日 16面)
【CFOならこう読む】
会社は、今回発行されるCBの特徴を次のように説明しています。
「本新株予約権付社債には、①毎月一度、転換価額がそのときの株価の93%に相当する金額に修正されるという転換価額修正条項に加え、②割当先である「Nomura AsiaLimited」との間で、原則として毎月一定数量(社債額面金額50億円)を転換する旨の合意をする予定であり、さらに③原則として償還期限の前取引日において残存する新株予約権付社債全てが株式に切り替わるという取得条項が付されていることにより、着実な資本拡充が期待できます。なお、このような新株予約権付社債においては、発行後に株価が上昇すれば希薄化の度合いが小さくなり、株価が下落すれば希薄化の度合いが大きくなる一方、当社は、株価の推移に関わらず当社の判断で繰上償還を行う権利(コールオプション)を有することから、想定外の急激な株価下落により当社の予想と異なる速度・程度で希薄化が進む蓋然性が高まった場合等において、資本政策を柔軟に見直すことが可能となっております。」
何故、株式市場が最悪なこの時期にエクィティファイナンス(しかもMSCB)に踏み切ったのでしょうか?

記事は次のように説明しています。
「エルピーダはいち早く最新鋭の生産設備に移行するなど、コスト競争力は業界の中でも高い。それでも赤字になるなら「他社は膨大な赤字になっているはず」(エルピーダ)だ。世界的に金融市場の信用収縮が進み資金調達も容易ではない。坂本社長は「資金繰りの悪化で、近い将来に業界再編が一段と進む」と予測する。他社にのみ込まれるのではなく、のみ込む側になるための条件とは、豊富な手元資金を持つことに尽きる。
エルピーダは銀行団と締結している融資枠(コミットメントライン)のうち、長期のコミットメントライン1100億円を10月中に全額引き出す。それだけでは足りずに500億円の資金調達を決断した。これで手元資金は2500億円程度に増える。2年間の設備投資を賄える額だ。
坂本社長は長年の経験から「不況時こそチャンス」という半導体業界の鉄則が深く体に染み込んでいる。今回のような不況時には業界全体が投資を抑制しており、好況時よりも大幅に安い価格で製造装置を購入できる。業界再編となれば経営が行き詰った他社の持つ製造設備を格安な条件で買うこともできる。荻原俊明CFOは「今、調達する500億円は好況時の1000億円に匹敵する」と話す。だからこそ悪条件の中で、逆張りの資金調達に踏み切った。」
DRAMの市況回復が不透明な現状においてエクィティファイナンスを行おうと思えばMSCBしかないのかも知れませんが、多くの株主には容認できないところでしょう。

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それでも中長期的な価値創造に確信があるなら、マネジメントは意思決定すべきです。短期的な株価の動きに惑わされるべきではない、と私は思います。

【リンク】
2008年10月14日「第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債発行に関する
お知らせ」エルピーダメモリ株式会社
http://www.elpida.com/pdfs/pr/2008-10-14mj.pdf

2008年10月17日「第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行条件の決定に関するお知らせ」エルピーダメモリ株式会社
http://www.elpida.com/pdfs/pr/2008-10-17mj.pdf


by yasukiyoshi | 2008-10-20 09:26 | 資金調達
2008年 10月 08日

今日の経済教室

中小企業の高成長実現に CFOの存在が不可欠 忽那憲治神戸大学教授
筆者のかつての分析では、中小企業の成長に大きな影響を与えていたのは、資金調達に関連するものでは外部株主の導入と計画の作成という2つの要素だった。今回の7社へのヒアリング調査でも、高成長中小企業にはこうした特徴が顕著に見られた。だがその背後には社長以外で経営に携わるスタッフの存在、具体的にはCFO人材の加入がかかわっており、高成長を達成する上での重要な要因となっていることが明らかになった。
【CFOならこう読む】
忽那教授はベンチャー経営研究の分野でとても有名な学者です。忽那教授はCFOの必要性について次のように述べています。
「技術ベースのベンチャー企業の場合、ファイナンスに関する知識が不足していることが多い。そうした場合、事業のリスクを分析したうえで、成長資金の調達のための資本政策を作成し、事業計画書にまとめ、実行できる経営レベルの人材が重要になる。これがCFOである。」
そしてCFO人材の加入が大きな効果を生んだ次の事例を紹介しています。
「電子商取引関連事業を営むビックタウン(東京・中央)は2年前に同社の顧問税理士A氏を財務担当役員のCFOとして迎え入れた。創業当初は政府系金融機関に2千万円の融資を申し込んでも、5百万円しか調達できないような資金繰りだったが、A氏の参画以降、銀行からの借入れが楽になったという。株式公開を目指すようになった同社は、事業計画書を作り直し、これがVCから高く評価され、多くのVCから投資提案が舞い込んだ。
だが順調な事業拡大で資金繰りが良好だったため、このCFOは「事業をさらに軌道に乗せ、時価総額を上げた後に、より有利な条件でVCから資金を調達した方が得策」と判断。VCなどへの第三者割当増資で20007年3月に1億5千万円を調達した際は、時価総額を10億円にまで高めた段階で実施したため、VCの保有比率は13%程度に抑えることができた。財務担当者が会社に加わることで、銀行との融資交渉が円滑になっただけはでなく、VCからの資金調達でも既存株主の保有比率の低下を抑えることができたわけだ。」
忽那教授の議論は全く的を得ていますが、高成長中小企業にCFOが必要であるということを言っているのであって、良いCFOがいれば成長できると言っているわけではないことに注意する必要があります。高成長企業だからこそCFOの活躍できる機会があるのです。CFO自信もこの辺りを見据えたうえで、仕事場を選択する必要があると思います。

それから忽那教授はCFOの職能として資金調達に焦点を絞った議論をしていますが、これは中小企業のCFOとしてはとても重要ではありますが、上場企業のCFOまで含めてその職能を考えると、M&A、配当政策立案、資本コスト管理、投資の採択、IR、リスク管理、税務戦略、システム構築等カバーしなければならない範囲は非常に広く、必ずしも資金調達がCFOにとって最も重要な仕事というわけではないという点にも留意が必要です。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-10-08 10:25 | 資金調達
2008年 10月 07日

貸し渋りの実態調査開始

金融庁と中小企業庁、中小金融の実態調査を開始
金融庁は6日、中小企業庁と共同で地方の中小企業の業況や資金繰りの実態調査を開始した。全国150カ所の企業が対象。金融庁は中小金融の円滑化を進めているが、調査の結果次第では追加の対策を打ち出す可能性もある。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C0601O%2006102008&g=E3&d=20081006
【CFOならこう読む】
「「期限直前になって借り換えはできないと言われた」と訴える中小企業が増えてい
るという。」
(日本経済新聞 2008年10月7日 5面 視点より)
私の周りにも、これに近い話がたくさんあります。今頃調査を開始するというのでは、遅きに過ぎますが、やらないよりはまし、早急に対策を講じてもらいたいと思います。

昨日の国会でも、北側公明党幹事長の「金融機関による貸し渋りがある。柔軟な融資をすべきだ」という質問に対し、中川財務・金融担当相は、「金融機関が目の前の赤字や債務超過といった数字だけでなく、地域に密着した企業の良い面を把握できるようにしなくてはならない。金融庁として、関係団体に柔軟にきめ細かく対応するよう指示している」、与謝野経済財政担当相も「融資保証の業種拡大などは思い切ってやる。11月の早々には新制度による保証が可能となるよう準備を始めている。国会でも配慮をお願いしたい」と答弁しています。

問題の一端は、昨年10月の信用保証制度の変更にあります。従来は協会が損失の全額を負担していたが、新たに金融機関が2割を負担する「責任共有制度」に変えたことにより、中小企業に対する金融機関の融資姿勢が慎重になっているといるのです。
「保証協会が保証すると言っても融資を断る金融機関がある。制度変更が『貸し渋り』を招いている」(東京中小企業家同友会)状況を打開するためには、全額協会負担に戻す以外ないでしょう。

日本経団連の御手洗会長が、昨日、記者会見を行い、「補正予算案を早期に成立させ、中小企業の資金繰り対策や個人・企業への減税など緊急の経済対策を検討すべきだ」との緊急提言を行ったとのことですが、そんな他人事のようなことを言っている場合ではありません。事態を見据えた具体的な提案を行ってもらいたいものです。
経団連会長、追加対策を緊急提言
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081007AT3S0601W06102008.html
日本経団連の御手洗冨士夫会長は6日の記者会見で、米金融危機を引き金に世界経済への不透明感が強まったことを受け緊急提言を公表した。まず必要なのは「各国政府、金融当局が協調し、金融システムを沈静化すること」と指摘。次に国内では「補正予算案を早期に成立させ、中小企業の資金繰り対策や個人・企業への減税など緊急の景気対策を検討すべきだ」と追加策を求めた。

 「補正予算案の早期成立を望む」と題した提言をまとめた。国内外の景気情勢は「米国発の金融システム不安が広がり、世界同時不況への瀬戸際に立たされている」と言及。6日の日経平均株価の下落に関しては「金融不安が欧州にも飛び火し、市場はこれからも(危機が)出てくると読んで株価に表れている」との見方を示した。(07:01)
【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-10-07 09:34 | 資金調達
2008年 09月 30日

SPCを使ったオフバランス取引-ビックカメラのケース

SPCを使って、資産や負債をバランスシートから切り離すオフバランス取引に厳しい視線が注がれている。表面的には分離されていても、企業による実質保有が続いている可能性があるからだ。SPC取引の問題点を探る。
(日本経済新聞 2008年9月30日 16面 揺れるSPC取引 上)
【CFOならこう読む】
e0120653_2021920.jpg2002年8月、ビックカメラは、東京・池袋本店と本社ビルを2002年8月に特別目的会社である有限会社に290億円で売却し、この有限会社が不動産を担保に、小口の証券を発行、販売しました。いわゆる「不動産の証券化」です。

記事によると、同社元社員が経営に携わっていた「豊島企画」(同渋谷区)も約70億円出資していたということです。

特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」(会計制度委員会報告第15号)は、流動化の要件として、リスク負担の金額の割合が流動化する不動産の譲渡時の適正な価額(時価)の5%以内であることを求めています(第13項)。そしてこの計算には譲渡人の子会社又は関連会社が負担するリスクを含めなければならないことになっています(第16項)。

ビックカメラは14億5千万円の劣後出資を行っています。この金額は流動化した池袋本店と本社ビルの時価290億円のちょうど5%に当ります。豊島企画が子会社であるということになると流動化の要件を満たさなくなるのです。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-09-30 09:19 | 資金調達
2008年 09月 29日

日本経済回復への道標

再び失望を招く日本経済
4~6月期再びマイナス成長に陥った日本経済。高すぎる輸出依存度を解消するため、内需の喚起が必要であることは自明の理である。しかし実現への議論さえいまだ始まっていない。
-スミザーズ・アンド・カンパニー会長 アンドリュー・スミザーズ氏

(日経ヴェリタス 2008年9月28日 26面
【CFOならこう読む】
スミザーズ氏は、次のように、日本経済が上向かない理由が構造的な不均衡にあると指摘しています。

「日本は過去数年にわたる限定的な経済成長を輸出と企業の設備投資に依存してきた。個人消費が弱すぎる一方、企業の設備投資が多すぎるというようにバランスが悪いため、内需は低迷したままだ。日本企業による国内投資のGDP比率は米国企業よりも50%上回っている。それが正当化されるのは日本が米国に比べて相当高い成長を遂げている場合だが、実際は逆に米国の成長をはるかに下回っている。日本企業の投資は成果を生まず、大半が無駄に使われている。その結果、投資収益率も低いままだ。
中国を含む世界経済が減速してきたことで、日本経済の輸出依存度の高さは慢性的というより差し迫った問題になってきた。日本は内需を喚起する必要がある。投資が過大で輸出依存度が高いことを考えれば、消費を通じて内需拡大を達成しなければならない。
消費拡大を実現するには、家計の所得を増やすか、あるいは貯蓄率を減らすしかない。しかし貯蓄率は既に過去10年間で11%から3%に低下している。今後さらに下がる可能性はあるものの、景気を押し上げるほどの大幅な低下余地があるとは思えない。このため消費拡大には所得増加が必要になるが、所得増加が必要になるが、所得も伸び悩んでおり、GDPに対する所得比率は他の主要国よりも低い水準だ。」
内需喚起のためには、企業の利益を減らしその分賃金引き上げるしかない、という安直な議論があります。先週末久々に”朝まで生テレビ”を見ましたが、民主党の議員がそのようなことを力説していました。しかし、そんなことをすれば、スミザーズ氏が言うように、「企業の利益が減れば、設備投資が急激に落ち込み、経済全体としては低迷する。」ということになります。

結局、日本経済の構造的問題を解決する方策は、野口悠紀雄氏が言う”資本開国”しかないように思います。

「外国企業による直接投資が投資受入国の経済成長を促進したことは、多くの研究で明らかにされている。OECDのデータによると、国内企業と進出外国企業の労働生産性を比較すると、総じて進出外国企業の水準が高いことが示されている。先進国中では労働生産性水準が下位に位置する日本はもちろんのこと、労働生産性水準が高いアメリカ、フランス、オランダといった国でも同様の結果が示されている。日本に外国企業が進出してくれば、労働力の移動や企業間競争の促進を通じて、日本経済の労働生産性向上に寄与するだろう。」(「資本開国論」野口悠紀雄 ダイヤモンド社)
我々一人ひとりが、外国企業を受け入れるために何をなすべきかを、真剣に考えるときが来ているように私は思います。と同時にそういう時代が来ることを前提にCFOは今から準備する必要があると思います。

【リンク】
資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略
野口 悠紀雄

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by yasukiyoshi | 2008-09-29 11:03 | 資金調達