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カテゴリ:資金調達( 49 )


2008年 02月 16日

社債、金利上乗せ幅拡大 企業の資金調達に影響も

債券市場で社債の基準金利に対する上乗せ幅(スプレッド)が拡大している。
米金融保証会社の格下げなどを受けて、投資家が信用リスクを回避する動きを強めているためだ。社債の発行条件が折り合わず、起債を見送る企業も出始めた。今後もスプレッドが拡大すれば、こうした傾向が強まる可能性もある。

(日本経済新聞2008年2月16日 16面)
【CFOならこう読む】
新聞記事によると最近のマーケットは次のとおりです。

JR東海 2月15日条件決定

格付け ダブルA
表面利率 10年債100億円 1.69% スプレッド0.23%
20年債150億円 2.30% スプレッド0.20%
同社が昨年11月に募集した10年債200億円と20年債200億円のスプレッドに比べ、それぞれ0.06%、0.02%拡大

三菱商事 2月14日募集
格付け ダブルAマイナス
国債利回りに対するスプレッドは0.29%
昨年11月に募集した10年債250億円のスプレッドは0.24%
格付けがダブルAプラス銘柄の国債利回りに対するスプレッドの平均値は、14日時点で0.207%。1ヶ月前に比べて0.013%拡大。シングルAプラスは0.499%と同0.098%拡大。

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(日本経済新聞2008年2月16日)

【リンク】
平成20年2月15日「国内普通社債の発行について」東海旅客鉄道株式会社
http://jr-central.co.jp/news.nsf/news/2008215-132810/$FILE/syasai.pdf



by yasukiyoshi | 2008-02-16 08:55 | 資金調達
2008年 02月 01日

新株予約権付ローン発行 住友金属鉱山

住友金属鉱山は31日、新株予約権の権利行使と引き換えに借入ができる「新株予約権付ローン」で千億円を三井住友銀行から調達すると発表した。2006年5月の会社法施行で可能になったもので、日本で初めてという。
今回のローンは住友金属鉱山が2月15日付で三井住友銀行から千億円借り入れるとともに、同行に新株予約権2万個を割り当てる。予約権の行使には住友金属鉱山の承諾が必要。権利行使で割り当てられた普通株の時価総額に相当する額が借入金から引かれる仕組み。全2万個を行使すれば千億円の債務が帳消しになるが、住友金属鉱山は新株発行による1株利益の希薄化のリスクを負う。
権利行使価額は1月30日の住友金属鉱山の終値(1749円)を下限に設定。この場合の普通株発行数は約5700万株。現在の発行済み株式数(約5億8千万株)から計算すると最大9.8%の希薄化にとどまる。
住友金属鉱山は今後、ニッケルなど海外鉱山の開発に巨額の投資を予定。通常の借入金に比べ低利のため今回のスキームを採用することにした。

(2008年2月1日日本経済新聞17面)

【CFOならこう読む】
新会社法では新株予約権の権利行使に際して出資される財産として金銭債権を選択することを認めており、今回のケースはこれを利用したものです。つまり三井住友銀行は住友金属鉱山への貸付金を新株予約権の権利行使の対価とするので、権利行使されると住友金属鉱山のローンは出資に振り変わることになるのです。この新株予約権付ローンには行使価額修正条項がついています。具体的には次の通りです。
■ 本新株予約権の行使価額は、(ⅰ)割当日の翌日以降、平成21年8月14日までの間については、行使の効力発生日の前日までの20連続取引日の売買高加重平均価格の平均(以下「VWAP平均」といいます)の100%に修正されます。(ⅱ)平成21年8月15日以降については、行使の効力発生日の前日までの20連続取引日のVWAP平均の98%に修正されます(ただし、(ⅲ)に該当する場合は除きます)。(ⅲ)行使コミットメント条項が発動された場合、平成25年2月15日(ただし、コミットメント条項発動が延長された場合には、当該延長の期間後の応当日)以降、行使の効力発生日の前日までの3連続取引日のVWAP平均の95%に修正されます。
■ 上記のように将来の当社の株価に応じた行使価額が適宜設定される一方、行使価額の下限を発行決議日前日の終値の100%(1,749円)に設定しており、行使価額はこの価格未満に修正されません(ただし、一定の場合において、行使価額の下限が調整されることがあります。)。
(プレスリリースより抜粋)
ようするに本件は、行使価額は効力発生日直近の時価に修正されるが、希薄化を限定するために下限を1749円に設定している、そして三井住友銀行に対し甘味財がついている(平成21年8月15日以降は時価の2%(100%-98%)、平成25年2月15日以降は時価の5%(100%-95%))というものです。そしてこの甘味財の分だけ金利が割安に設定されているのです。会社は転換社債型新株予約権付社債と同様の商品であるという理由で一括法(オプションを分離して処理しない方法)により会計処理するものと思われます(新株予約権は無償としています)。

【リンク】
平成20年1月31日「新株予約権付ローンに係る第三者割当による新株予約権の発行に関するお知らせ(行使価額修正条項付)当」住友金属鉱山株式会社
http://www.smm.co.jp/release/2008PDF/20080131-2.pdf




by yasukiyoshi | 2008-02-01 08:49 | 資金調達
2008年 01月 25日

買収資金の調達と財務制限条項ードリコムのケース

ブログシステム販売のドリコムが収益低迷に苦しんでいる。成長を期待した新事業の育成に失敗したからだ。事業の立て直しに着手したが、資金面での制約もある。業績を回復させながら将来の成長に向けて布石を打つという難しい手綱さばきが求められる。
昨年11月に発表した2007年9月中間期の連結決算。経常損益は1億8300万円の赤字(前年同期は5700万円の黒字)だった。消費者が情報発信にかかわる「Web2.0」関連の代表銘柄が赤字転落したことが注目されたが、それ以上に市場関係者に衝撃を与えたのは開示された財務制限条項だ。
同条項は子会社のジェイケン(埼玉県所沢市)の9億2千万円の借り入れに付いた。「ドリコムの連結経常損益が2期連続で赤字となった場合などには、三井住友銀行に担保のジェイケン株を処分される恐れさえある」との内容だ。ドリコムの今期の予想経常損益はトントン(前期は1億8100万円の赤字)。計画を下回ればすぐさま条項に抵触する。ジェイケンは消費者が作成した携帯用の「着メロ」を販売する会社で、2007年4月に買収したばかり。ドリコムはジェイケンの買収効果で、今期の売上高は前期比2.6倍の22億円を予想するが、買収をテコにした拡大戦略に暗雲が漂うことになる。

(2008年1月25日日本経済新聞16面)

【CFOならこう読む】
ドリコムの2007年3月期の売上高(連結ベース)は8億4300万円であったのに対しジェイケンの買収金額は13億円。つまり売上高の1.5倍というかなり大きな規模の投資でした。しかもその資金はほとんど銀行借入により調達されています。連結経常損益2期連続で赤字、という財務制限条項は極めて一般的なものではありますが、主力事業の業績が不安定で、かつ2007年3月期の経常損失が1億8100万円の赤字であるにも関らず、このような財務制限条項付きの借入を実行するのは相当に無理があると言わざるを得ないとおもいます。

この買収により、自己資本比率は、2006年9月中間期末の82.6%から2007年9月期末は31.4%と財政状態は大幅に悪化しています。事業リスクを自己資本で吸収しなければならないベンチャー企業の資本構成としては、望ましい水準とは言えません。ベンチャー企業の投資資金は、資金使途を明確にした上で、エクィティ系により調達するのが本筋だと思います。内藤社長の持株比率が55%であり、これが希薄化することを回避するためにデットにより資金調達したを選択したのだとしたら、その判断は間違っていると私は思います。

【リンク】
平成19年11月15日「平成20年3月期 中間決算短信」株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/ir/library/20071115.pdf


by yasukiyoshi | 2008-01-25 10:46 | 資金調達
2007年 12月 27日

日本、世界の10%割る・06年の名目GDP

2006年の世界の名目国内総生産(GDP)に占める日本の割合が9.1%となり、24年ぶりに10%の大台を割り込んだことが判明した。ピーク時の1994年と比べて半減。国民1人当たりの名目GDPでも順位を下げた。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071227NT003Y12126122007.html

【CFOならこう読む】
上の記事を受けて3面には次のような記事があります。
「日本が見習うべきはかつて「英国病」と言われ、経済の停滞が著しかった英国だ。サッチャリズムで始まった規制改革、民営化、労働市場改革は労働党のブレア政権にも引き継がれ、潜在成長率の引き上げに結びついた。一人あたりGDPは2004年に24年ぶりに日本を抜き、その後も水をあけている。」
                  
いわゆるウィンブルドン現象です。1986年サッチャー政権は、「ビッグバン」と言われる金融分野における規制緩和を実施し、シティには外資系金融機関が進出し、激しい競争が発生しました。その結果イギリスのマーチャントバンクはほとんど姿を消し、国籍を問わず実力のある金融機関のみが生き残るという厳しい環境がイギリスの金融業を成長させ新たな雇用を創出しました。

下表からわかるように2005年のイギリスの外資の比重はGDP比で36.6%に達しています。これに対し日本はわずか2.2%に過ぎず、資本のグローバリゼーションの潮流から完全に取り残されていることがわかります。

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野口氏は「日本は、「外国資本に対して鎖国している」といわれても反論できない状態になっている、と指摘しています。

実際に昔から日本企業は外資を極度に恐れるところがあります。ブルドックのような中堅企業の買収があれだけ話題になったのもその現れでしょう。しかしそのこと自体単純に否定するのも間違いであるように思います。日本人は組織への帰属意識が非常に強い民族です。日本国に殉ずる民族なのです。しかし今我々はその意識を変革することが求められているのです。日本国という狭い了見ではなく、地球規模で考えることが日本人一人一人に求められているのです。


【リンク】
資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略
野口 悠紀雄

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by yasukiyoshi | 2007-12-27 10:26 | 資金調達
2007年 12月 08日

ベンチャー企業の資金調達-そーせいのケース

そーせい、新株予約権で最大50億円調達
創薬ベンチャーのそーせいグループは7日、野村証券を引受先とする新株予約権を発行すると発表した。調達額は最大で50億円だが、株価動向などで下回る可能性がある。調達した資金はがん性突出痛治療薬などの開発に充てる。第三者割当増資などで一度に調達をするより、株価や研究開発の進ちょくを勘案し機動的に調達できる利点がある。
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20071208AT2E0700U07122007.html

【CFOならこう読む】
行使価額修正条項付の新株予約権による資金調達です。当初の行使価額を現在の株価(7日終値)の5割増しとディープ・アウト・オブ・ザ・マネーの水準に設定し、行使価額の修正開始を決定したなら(決定するのは会社です)直前1週間の平均株価の90%に行使価額が変更されるというタイプの新株予約権です。

ただし希薄化に一定の歯止めがかかるよう以下の措置が講じられています。

(ⅰ)行使価額の修正開始決定後、5 連続取引日の株価終値が「リセット価額(※)」を下回った場合、その翌取引日以降、行使価額は当初の行使価額に自動的に戻ることとします。
※リセット価額とは、「行使価額の修正開始日時点の株価の80%」か「下限行使価額92,000 円(=発行決議日の株価終値の50%)」のいずれか高い方を指します。

(ⅱ)下限行使価額が発行決議日の株価終値の50%である92,000 円に設定されています。

(ⅲ)本新株予約権の行使により発行される株式数の累計が30,600 株(発行決議日時点における発行済株式数の26%)を超えるような行使を行わないことが、割当予定先に義務づけられます。

つまるところ「行使価額を株価の90%とする」(=有利発行にならない)ための商品設計であるという意味ではMSCBと本質的には変わりません。

アーリーステージのベンチャーが資金調達をする場合、相当の甘味剤が必要なことは理解できます。しかしそもそも株式というものがリスクを分散するために存在するのですから、株主割当により必要資金を集めるのが自然だと私は思います。さて私がよくわからないのはこのオプションのプライシングです。

この新株予約権は行使価額ベースで5億円×10回=50億円相当分発行されます。1回分の新株予約権(行使価額ベースで5億円分)のプレミアムはわずか1,200,000円の設定です。そーせい株式の90日ボラティリティは58.9%です。いくら5割増に行使価額を設定したとしてもこのボラティリティを使ってブラック・ショールズ・モデルで計算すると全く違う金額がはじき出されます。

しかもこのオプションは行使価額の修正条項が付いているのですから、さらにもっと価値があるはずです。発行要項には、新株予約権の価格の根拠として次のような説明があります。
「一般的な価格算定モデルであるブラック・ショールズ・モデルによる算定結果を基礎としつつも、当社の資本調達目的実現の達成可能性と本新株予約権者の当社に対する投資リスクを勘案して、本新株予約権の発行により企図される目的が達成される限度で、当社株主にとって有利な払込金額であると判断した、240,000 円を本新株予約権1 個あたり払込金額とした。」
せめてボラティリティは何を使ったかくらいの説明がないと、開示としては全く不十分でこれでは有利発行であるかどうかの判断もできません。

【リンク】
平成19年12月7日「第三者割当による第15 回乃至第24 回新株予約権発行に関するお知らせ(行使価額修正条項付新株予約権の発行)」そーせいグループ株式会社
http://www.sosei.com/jp/press/pdf/071207-j_press.pdf


by yasukiyoshi | 2007-12-08 19:41 | 資金調達
2007年 12月 03日

成長率と株価―ユビキタスのケース

ジャスダック証券取引所がベンチャー企業向けに新設した新市場「NEO」。
上場第1号となったユビキタスの株価が乱高下している。話題性に目を向けて短期売買する投資家が多いことが要因だが、背景にあるのが中期的なネオの独自ルール「マイルストーン開示」だという指摘が出ている。

(日経金融新聞2007年12月3日4面)

【CFOならこう読む】
ユビキタスの株価が底堅い展開になっているのは「マイルストーン開示」の影響であるという記事です。マイルストーン開示とは(http://cfonews.exblog.jp/6767571/)、中期的な会社の成長見通しを業績を含めて公表する制度です。研究開発の進捗状況も4半期ごとに明らかにされます。ユビキタスのマイルストーンでは2010年3月期に前期比2.5倍の税引後利益を見込んでいます。

来期予想のEPS(1株当り当期純利益)をベースにPER(株価/EPS)を計算すると120倍程度ですが、2010年予想EPSをベースにPERを計算すると50倍程度なので現在の株価はそれほど割高感はないという投資家の判断があるとの指摘を記事は紹介しています。

ファイナンスの最も基本的な株価評価モデルである一定配当成長モデルによると、株価=来期の配当/(資本コスト-配当成長率)です。これをEPSで割ったものがPERです。

PER=株価/EPS=(来期の配当/EPS)/(資本コスト-配当成長率)=配当性向/(資本コスト-配当成長率)

ここで配当成長率とは持続可能な内部成長率を使うのが普通です。持続可能な内部成長率とは何でしょう。それは増資や借入といった新規の資金調達を行わず、内部留保だけで達成できる売上の成長率(利益の成長率)のことです。

売上が伸びるには在庫や売上債権や固定資産といった総資産も増加させる必要がありますが、言うまでもなく資産を買うにはお金が必要です。大きく売上を増やそうと思ったら大きな資金がいるのです。この資金を内部留保だけで賄える水準の成長率を内部成長率と言うのです。これはすなわち株主資本の成長率に他なりません。

内部成長率=株主資本の変化額/期首株主資本=税引後利益×(1-配当性向)/期首株主資本
(株主資本は、利益のうち内部留保した分だけ増加します)

税引後利益/期首株主資本=ROEと定義なので、内部成長率=ROE×(1-配当性向)となります。したがって成長率はROEに規定されるのです。マイルストーンはこの観点から実現可能かどうかが検証されなければなりません。またこれはすべての経営者(CFOも含めて)が理解していなければなりません。

特にベンチャー企業の経営者は次の言葉を肝に銘じる必要があるでしょう。

急激な成長を遂げている企業にとって、過剰な成長という問題は、持続可能な成長に関する最も重要な問題である。なぜなら、経営の効率化ができないこともあるし、財務方針の変更が必ずしも常に得策とは限らないので、企業の健全性を阻害するような急激すぎる生長もありうるからである。このことは、適切な財務計画を作成できていない中小企業には、特に当てはまる。そのような企業は、売上高の成長を最大化すべきものと見ており、その財務面への影響についてはあまりにも関心が薄い。すなわち急成長には自転車操業の危険がつきまとうということを、理解していないのである。
<中略>
持続可能な成長率を上回る成長は予期して解決すべき財務的な問題を引き起こすものであることを経営陣が理解するならば、このような事態を未然に防止することができる。」
(「ファイナンシャル・マネジメント」ロバート・ヒギンズ著 ダイヤモンド社)
【リンク】
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by yasukiyoshi | 2007-12-03 10:08 | 資金調達
2007年 10月 05日

横行する有利発行 アライヴ、低い価格の予約権

投資家に対し、証券取引所が名指しで「要注意」を告知する公表措置制度。東京証券取引所によるマザーズ上場のモックへの初適用が注目されたが、実はさらに2ヶ月も前に国内初の適用となった企業がある。ヘラクレス上場のマンションリフォーム会社、アライヴコミュニティだ。
(2007年10月5日 日経新聞16面空費される資本)

【CFOならこう読む】
アライヴが採用したのは、新株予約権の発行と10:1の株式併合組み合わせた手法です。予約権は発行済株式数の3倍相当であり、モックのように株式併合により授権枠を増やし、会社法規程の授権枠(発行済株式数の4倍が限度)を超えて大きな希薄化を伴う数量の予約権を発行したものではありません(http://cfonews.exblog.jp/6422299/)。

アライヴの場合は、行使価格を株式併合前の価格を参考に決定しているところが問題となります(@20,000円)。株式併合後の理論株価は株式併合前の10倍になるので、この新株予約権の行使価格は時価の90%ディスカウントした価格に相当します。実際併合前である8月27日の株価は19,500円でしたが、併合の効力発生後の9月3日には193,000円になっています。

アライヴはこの新株予約権を@1円で発行しています。プレスリリースでは発行価格の根拠を次のように説明しています。
「割当先との資本・業務提携等により当社が享受する企業価値の増大を考慮した上で、当社の株価推移の状況から一般的な価格算定モデルであるモンテカルロ・シミュレーション又はブラックショールズ・オプション・プライシング・モデル等による算定は適切でないと判断いたしました。また、当社の2期連続して多額の最終赤字を計上した結果の財務状況と、今後の「中期経営計画」が実現しなかった場合の業績見通しなどを踏まえ、今回の割当先2社のリスクを勘案しましたが、本新株予約権の発行価額を決定する合理的な根拠を得られなかったため、やむを得ず1株につき1円とし100円を本新株予約権の1個当たりの払込金額といたしました。」

本源的価値だけで18万円あるはずのものを“やむをえず”1円で発行することの理由はどこにも書かれていません。プレスリリースから透けて見えるのは、有利発行の総会特別決議を経るのだから問題ないだろう、という開き直った姿勢です。

株主総会の特別決議は万能なのでしょうか?
ブルドック・スティールの件でもこのことを考えさせられました。

実は、今日お話ししたかったのはこのことなのです。ですが、もうアップする時間が来てしまいました。続きは明日お話しします。

【リンク】
株式会社アライヴ コミュニティ
http://www.alive-com.co.jp/ir/index.html

第三者割当による新株予約権の発行に関するお知らせ(PDF)
http://www.c-direct.ne.jp/japanese/uj/pdf/10101400/00062242.pdf

PS:
gonchan様、ご丁寧にありがとうございます。ブログも拝見いたしました。
シティ・グループの現状がよくわかる内容で勉強になりました。

by yasukiyoshi | 2007-10-05 08:57 | 資金調達
2007年 10月 01日

日本郵政グループ:民営化で誕生 1日午前0時半から業務

日本郵政公社は1日民営化され、従業員約24万人の日本郵政グループが誕生した。都市部の約400の郵便局で同日午前0時半から、夜間の郵便受付窓口の営業が始まり、国内最大規模の民間企業グループとしての業務を実質的に始めた。
毎日新聞 2007年9月30日 19時32分 (最終更新時間 10月1日 1時00分)

http://mainichi.jp/select/biz/news/20071001k0000m010040000c.html

【CFOならこう読む】
巨大リテールバンクの誕生です。

既存の銀行はリテール→法人へはっきりと方向転換する必要があるでしょう。そして市場型資本主義の中で厳しい生存競争を繰り広げる企業のコーポレートファイナンス全般に向けて、より良いサービスを提供する銀行だけが企業に選ばれるようになるでしょう。

メインバンクの時代は終わりです。CFOは案件ごとに銀行を選ぶようになるのです。

「調達金利と貸出金利の差である「利ざや」は引き続き低水準にとどまっている」

最近公表された日銀レポートの指摘を銀行は真剣に受け止める必要があります。
http://www.asahi.com/business/update/0930/TKY200709300101.html
日本銀行:金融システムレポート
http://www.boj.or.jp/theme/finsys/fsys/index.htm


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by yasukiyoshi | 2007-10-01 08:16 | 資金調達
2007年 09月 08日

モック、10株を1株に併合・新株予約権で59億円調達

東京証券取引所は7日、株式併合などが「流通市場に混乱をもたらす可能性がある行為」とし、注意喚起のため投資家に公表した。
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20070908AT2E0701607092007.html

【CFOならこう読む】
問題ありありのエクイティ・ファイナンスです。
10株を1株に併合した上で、理論株価の8分の1~10分の1という大幅にディスカウントした金額を行使価額とした新株予約権をファンドに発行します。

新株予約権が全て行使された場合、ファンドの持株比率は96.8%になります。株式併合により既存株主の80%の株式が端株となり、これを大幅に希薄化されることが予想される株価を基準に会社が買い取るというスキームです。

会社発表のプレスリリース
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/07090705.pdf
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/07090706.pdf


つまり既存株主から株式を10分の1程度の価格で買い集め、これを消却した上で100%に近い株式(新株予約権ですが)をファンドに割当てるという、既存株主から見れば強奪に近いものです。

もちろん株主総会で反対票を投じる機会はあるのですが、会社法における少数株主の保護は極めて不完全ですので、結局はプレスリリースの通り事が運ばれるのでしょう。

何故こんなスキームが可能になるかと言うと、10株を1株に株式併合しても発行可能株式数の枠が減らないためです。現在の発行済株数が13万4263株、発行可能株数が30万株。

発行済株式数の4倍まで発行可能株数を拡げることが可能なので、9月26日の株主総会で発行可能枠を53万7000株に引き上げ。同時に株式併合を決めるので、発行株数は1万3426株に減るので、53万7000株―1万3426株=51万3574株(既発行株数の約50倍)
の株式を新規に発行することが可能となるのです。

会社法が既発行株数の4倍までしか発行可能枠を認めていないのは、新株発行により既存の株主が被る持分比率の低下の限界を画するためです。したがって株式併合により発行可能枠もそれに比例する形で自動的に減少すべきなのですが、現行会社法ではそうはなっていません。この点は、会社法の重大な欠陥です。

そしてこういった法の欠陥をついて既存株主の財産権を強奪するようなファイナンススキームは決して容認されるべきではありません。東証には公表措置のみならず、株主保護のための毅然とした対応を望みます。

こんなことが許される国の株式市場には、恐くてとても一般投資家は近づけません。

by yasukiyoshi | 2007-09-08 09:55 | 資金調達