カテゴリ:IPO( 29 )


2009年 01月 30日

東証、TOKYO AIMの概要発表

東証、プロ向け市場の概要発表 上場基準大幅に緩和
東京証券取引所は29日、新たに創設するプロ投資家向け新市場「TOKYO AIM(エイム)」の概要を発表した。上場に際しては一定の利益などの数値基準を設けないほか、審査は証券会社に委ねるのが特徴。ルールを大幅に緩和して国内外の新興企業を呼び込む。十分に資金の行き届かない小規模企業の育成につなげる狙いだが、市場は冷え込んでおり逆風下の船出になりそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090130AT2C2901K29012009.html
【CFOならこう読む】
東証は、TOKYO AIM創立の目的をプレスリリースの中で次のように説明しています。
「TOKYO AIM創設の目的は、アーリーステージにある日本およびアジアの成長企業のニーズを反映した新たな資金調達の選択肢と幅広い投資家層へのアクセスを提供すると同時に、国内外のプロ投資家に新たな投資機会を提供することにあります。TOKYOAIMは、昨年の金融商品取引法改正により導入されたプロ向け市場制度を活用して創設されます。TOKYO AIMは、金融庁からの免許取得を前提に、本年春に開設の予定です。」
新興市場を舞台に行われた数々の事件、不祥事を思うと、参加者をプロに限定し、アーリーステージにある将来性ある企業を資金調達の面でサーポートすることを目的とする新市場の創設は歓迎すべきものと思います。

ただし、プロの投資家の後ろには多数の一般投資家がいるわけで、彼らがリスクの負担を強いられないよう十分配慮すべきであるとも思います。

間違っても、上場基準緩和の趣旨がどんな会社でも上場できる、ということにはならないよう、NOMADと呼ばれる「指定アドバイザー」となる証券会社の選定・監督・処罰は厳格に行う必要があります。

TOKYO AIMの概要は次の通りです。

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(2009年1月30日 日本経済新聞より)
上場申請時にどのような書類が要求されるかが気になるところですが、有価証券上場規程(案)及び施行規則(案)によると次の通りです。
「新規上場申請者は上場申請時に、次の各号に掲げる書類を提出するものとする。
(1)特定証券情報等
(2)新規上場申請者の事業計画の概要
・ 新規上場申請者の事業計画の概要には、今後の業界環境や申請会社が主に取り扱う製商品、提供するサービスのトレンドを踏まえた事業運営方針・事業展開や設備投資計画等、投資者が投資判断上必要とする内容が含まれていることが求められます(ただし、業績予想等の数値の記載を求めるものではありません)。
(3)施行規則で定める「新規上場申請に係る宣誓書」
(4)施行規則で定める「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」
(5)新規上場申請者の定款
(6)その他当取引所が必要と認める書類
2 前項第1号に掲げる特定証券情報等とは、特定証券情報を記載した書面、発行者情報を記載した書面に相当する報告書、有価証券届出書又は有価証券報告書をいい、新規上場申請者は、施行規則で定めるところに
よりそのいずれかを提出するものとする。
・例えば、新規上場申請時において有価証券報告書の提出義務のない上場申請者である場合で、かつ上場申請時にファイナンスを実施する場合に特定証券情報を記載した書面を提出することになります。
3 前項の特定証券情報を記載した書面及び発行者情報を記載した書面に相当する報告書は、施行規則で定めるところにより作成しなければならない。
4 第1項第1号に掲げる特定証券情報等に記載される財務諸表等には、施行規則で定める事項が記載された監査法人による監査報告書等を添付するものとする。
・ 監査報告書等には「無限定適正意見」またはこれに準ずる監査法人の意見が添付されていることが求められます。
5 第1項第1号に掲げる特定証券情報等のうち、特定証券情報を記載した書面又は発行者情報を記載した書面に相当する報告書に記載される財務諸表等は、日本会計基準、米国会計基準、国際会計基準その他施行規
則で定める会計基準のうちいずれかに基づいて作成しなければならない。
・ 施行規則で定めるその他の会計基準とは、日本会計基準、米国会計基準及び国際会計基準の3基準と同等であることを、担当J-Nomad と監査法人が、合意の上で適切に判断した基準(この場合は、上記3基準のいずれかとの差異を開示(いわゆる調整開示)するものとします。)。」
これを見る限り、監査は何年必要か定められていないようです。創業間もない会社の上場も可能とするという趣旨なのかも知れません。

【リンク】
TOKYO AIM
http://www.tokyo-aim.com/

2009/1/29「東京証券取引所グループとロンドン証券取引所グループ、プロ向け新市場の名称と制度要綱を発表 -正式名称は「TOKYO AIM」-」東京証券取引所グループ
http://www.tse.or.jp/news/200901/090129_c.html

「有価証券上場規程(案)及び同規程施行規則で規定する主な内容」
http://www.tokyo-aim.com/pdf/20_companies_jpn.pdf




by yasukiyoshi | 2009-01-30 09:35 | IPO
2009年 01月 28日

2008年度ベンチャー投資48%減

08年度ピークの3分の1 上場落ち込みVCが慎重に
経済産業省の調査機関によると、国内主要ベンチャーキャピタル(VC)による2008年度(2008年4月-2009年3月)の新規投資額は前年度の半分の水準に落ち込む見通しだ。株価低迷で投資回収が難しくなっているため。設立間もない開発型ベンチャーはVC依存が高い企業が多く、景気低迷が長引けば財務戦略の練り直しを迫られる企業が増えそうだ。
 (日本経済新聞2009年1月28日15面)
【CFOならこう読む】
「ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)が2008年度の「ベンチャーキャピタル等投資動向調査」をまとめた。国内主要90のVCの2008年度新規投資額(見通し)の合計は1000億円。2007年度比48%減で、ピークだった2006年度の3分の1にとどまる。主因は株式市場の低迷にある。2008年(1-12月)は新規株式公開(IPO)は49社と前年の半分以下。VCは投資先企業を上場させて株式を売却し、資金を回収するのが難しい
状況になっているためだ。

実際に各社が2007年度に実施した投資回収の手法について聞いたところ、「IPO株の売却」との回答は35.1%と前年度比9.8ポイント下落。逆に「外部売却や経営者への売り戻し」は、38.1%と8.3ポイント上昇している。
新規投資先企業の設立年数は「設立5年未満」が47.6%と最多だった。「5年以上10年未満」(24.9%)を含め、10年未満の比較的早い時期での投資が7割超を占める。」
(前掲紙)

これだけIPO市場が低迷しているのは、逆に言うとシード期又はスタートアップ期ベンチャー企業への投資の絶好の好機であると言えます。銀行の貸出姿勢が厳しい中、資金不足にあえぐベンチャー企業が、VCに期待する部分は非常に大きいと思います。野口悠紀雄氏が言うように今必要なのは、「日本経済の構造大転換」であり、また「企業家にとって今の経済危機は続行のチャンス」です。そしてここに血液たる資金と経営ノウハウとガバナンスを供給するVCの存在は今こそ重要であると私は思います。

【リンク】
財団法人ベンチャーエンタープライズセンター
http://www.vec.or.jp/


by yasukiyoshi | 2009-01-28 08:58 | IPO
2009年 01月 13日

新規株式公開(IPO) 今年も50社前後の見通し

100年に1度ともいわれる金融危機のさなかにある2009年。株式相場の急回復は見込みにくく、新規株式公開にとっては逆風が続くとみられる。1月は株券電子化の影響で上場はない。2~3月には10社超の上場が予想されるが、経営環境悪化で想定していた上場スケジュールを延期する企業も多いとみられる。
今年1年間の新規上場社数は、歴史的低迷と言われた2008年(49社)と同水準の50社前後にとどまるというのが、もっぱらの見方だ。

(日経ヴェリタス2009年1月11日24面)
【CFOならこう読む】
本日(1月13日)の経済教室で細野薫学習院大学教授が、IPOの停滞による日本経済の生産性低下の恐れについて次のように指摘しています。
「これまでのIPOを産業別にみると、情報サービス、ソフトウェア、ハードウェアなどのIT(情報技術)関連、産業向け財・サービス、金融など、知識資産が重要な経営資源である産業が過半を占め、IPOで得た資金の多くは、研究開発など生産性向上のために使われていたと推測される。それだけに今後もIPOの停滞が続き有望企業が資本市場から成長資金を調達できないと、日本経済の生産性を一層低下させる恐れが強い。」

起業家にとって今が絶好のチャンスであると野口悠紀雄氏は”世界経済危機 日本の罪と罰”の中で強調しています。
「旧秩序が邪魔しないし、起業のコストは低下する。「危機がチャンス」とは、「新しいことを始めるのにチャンス」ということだ。」

「変化はチャンスである。日本経済は戦後若返った。しかしそれから60年間不変にとどまった。高度成長期の輸出立国モデルは、90年代の世界経済の構造変化によって有効性を失ったにもかかわらず、無理なマクロ政策によって、07年の夏までは延命した。しかしそれが限度にきた。」

「市場が激しい株価下落というかたちで要求しているのは、日本経済の構造を根本から転換させることである。」
奇しくも、本日の新聞の1面でソニーが今期営業赤字となることが報じられました。
エレクトロニクス部門の不振が主因の赤字は上場来初めてとなります。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090113AT2D1200112012009.html

野口氏の主張は極めて正しいと私は思います。
そして今必要なのは、細野氏が言うように、「企業の新規参入を促す、いわば数年先から10年先を見据えた前向きの政策」なのです。
「戦後の危機的経済状況のなかで、ソニーやホンダのように多くの新しい企業が生まれたことが、その後の経済発展を支えたのである。」
【リンク】
世界経済危機 日本の罪と罰
野口 悠紀雄

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by yasukiyoshi | 2009-01-13 11:14 | IPO
2008年 12月 27日

資本政策詳解-リックコーポレーション

【CFOならこう読む】
リックコーポレーションの株式上場の概要は次の通りです。

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リックコーポレーションは、1955年設立岡山地盤に近畿・瀬戸内地方にホームセンター、ペットショップを展開している会社です。

公募価格は330円、2009年2月期見込みEPSが62.58円なのでPER5.2倍という水準での株式公開となりました。初値は公募価格と同じ330円でした。

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リックコーポレーションの主な資本政策は (表2)の通りです。

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自己株式50万株を全て売り出しに回している点が特徴的です。2008年2月期の自己株式の帳簿価額が78,679千円なので、1株当り@157円と比較的高めの価格で自己株取得を行っています。前オーナーの持株を買い取ったのかも知れません。

(表3)は、リックコーポレーションの株主構成です。

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筆頭株主は、社員持株会(持株比率20.9%)となっています。その他ストックオプションを従業員に付与しており、従業員に対するインセンティブは厚いと言えます(ただし25万株相当は行使価格が400円)。

菅原社長の持株比率は8%に過ぎず、役員、従業員持株会、銀行の持株を合わせて50%超となる資本政策となっています。自己資本比率が2008年2月期で9.6%と非常に低いことと相俟って、経営体制は相当に不安定であると言えます。

【リンク】
平成20年11月「新株発行並びに株式売出届出目論見書」株式会社リックコーポレーション
http://eir.eol.co.jp/extra/3147/pdf/mkr00.pdf


by yasukiyoshi | 2008-12-27 11:39 | IPO
2008年 12月 22日

資本政策詳解-paperboy&co.

【CFOならこう読む】
paperboy&co.の株式上場の概要は次の通りです。

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paperboy&co.は、2003年設立、個人向けにサーバー貸し出しなどのホスティング事業や(EC)電子商取引支援、ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などのコミュニティー事業を展開している会社です。GMOインターネットの子会社です(上場直前時点ほ57.7%保有)。

公募価格は1900円、2008年12月期見込みEPSが179.67円なのでPER10.5倍という水準での株式公開となりました。先日のグリーがPER22.2倍でしたので、それと比べると公開価格は相当に低いと言えます。初値は4000円で、公開価格の倍以上の値がつきましたが、これはIPO市場の回復を示すものではなく、単に公開価格が低かったということなのかも知れません。

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paperboy&co.の主な資本政策は (表2)の通りです。

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2004年3月の第三者割当増資によりGMOインターネットの連結子会社になりました。
家入社長は、2006年5月に社員持株会に2株及び12月にGMO関連の会社に24株株式移動を行っています。逆算すると、家入社長の持株は、第三者割当増資時点で127株であったことになり、第三者割当増資によりきっちりGMOインターネットが発行済株式255株の過半数の持分を保有するに至ったと推定されます。

(表3)は、paperboy&co.の株主構成です。

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上場後もGMOインターネットが過半数の持株を維持する資本政策になっています。

親子上場がコーポレートガバナンスにおける大きな問題となっている中、このIPOに問題はないのでしょうか?

上場時の記者会見で家入氏は次のように答えています。
―親子上場が批判されているなか、あえて上場した理由は。

 家入社長:GMOグループ全体としてホスティングをやっているが、ペーパーボーイは個人向けで完全にすみ分けができている。さらに事業を拡大するために上場した。

―公募増資をした後のGMOの出資比率は。

 家入社長:今は、分からない。」
(「ペパボ」上場、初値は大幅上昇 会見はドタバタより抜粋
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITac000019122008&landing=Next)
目論見書を見る限り、関連会社との取引は少なからず存在し、その中には親会社に対する寄託金3億円(現時点において契約解消済)なんていうのもあるところを見ると、親会社と少数株主との間に重大なコンフリクトが生じる可能性があると思います。そもそもGMOに出資比率を即座に答えられない家入社長には、コーポレートガバナンスへの意識が欠如していると言わざるを得ません。

スピンオフが税制上実行不可能な現状において、親子上場は致し方ない場合もありますが、このIPOは正直私には理解できません。

【リンク】

株式会社paperboy&co.
http://ir.paperboy.co.jp/

by yasukiyoshi | 2008-12-22 16:18 | IPO
2008年 12月 18日

資本政策詳解-グリー

【CFOならこう読む】
グリーの株式上場の概要は次の通りです。

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グリーは、2004年設立、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「GREE」を運営。ユーザーのプロフィル、日記、コミュニティー、フォト、メールなどの情報発信をサポートする機能やユーザー間のコミュニケーションの場を提供している会社です。従来はPC向けが中心でしたが、KDDIとの事業提携により2006年11月からモバイル向けのサービスを展開しています。

公募価格は3300円、2009年6月期見込みEPSが148.80円なのでPER22.2倍という水準での株式公開となりました。上場時の売出しにより、創業社長の田中良和氏は33億円の、創業すぐに投資をしたApax Glovis Japan Fundは38億円のキャピタルゲインをそれぞれ獲得しています。

グリーは昨日上場しましたが、上場初値は公募価格を52%上回る5000円でした。時価総額は昨日終値で1070億円とミクシィの880億円を超え、マザーズ首位となりました。

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グリーの主な資本政策は (表2)の通りです。

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2005年2月にグリー(株)(三鷹市 存続会社のグリーとは別会社)を吸収合併しています。目論見書によると2006年7月までは楽天が株主でした。田中氏は楽天出身なのでそれ自体はどうということはないのですが、わざわざ別会社を作って三鷹市のグリー(株)を吸収合併したのは、この辺の過去の経緯を抹消する狙いがあったのかも知れません。ちなみに2006年7月に楽天はグリー株式をリクルートに譲渡しています。リクルートはこれによってKDDIと並ぶ第3位の株主になっています(上場後では第2位)。

(表3)は、グリー(株)の株主構成です。

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田中社長単独で過半数の株式を確保する資本構成になっています。従業員持株会は設立しておらず、役員・従業員へのインセンティブはストックオプションによっています。そのため潜在株式の比率は9.07%(上場直前時点)と比較的高い水準になっています。

【リンク】
平成20年11月「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」グリー株式会社
http://eir.eol.co.jp/extra/3632/pdf/mkr00.pdf


by yasukiyoshi | 2008-12-18 12:16 | IPO
2008年 12月 13日

●資本政策詳解-ソーバル

【CFOならこう読む】
ソーバルの株式上場の概要は次の通りです。

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ソーバルは、1983年設立、人材派遣および業務請負による、ファームウエア(組み込みソフト)、ソフトウエア、ハードウエアの開発・評価サービスを展開する会社です。

公募価格は600円、2009年2月期見込みEPSが178.57円なのでPER3.3倍という極めて低水準での株式公開となります。

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ソーバルの主な資本政策は (表2)の通りです。

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2004年12月に持株会社である東海テックを吸収合併している点が特徴的です。

(表3)は、ソーバルの株主構成です。

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筆頭株主の2人は、椎津順一社長のご子息です。持分比率が共に28.43%、どちらかが後継者ということではないようです。現物株は社長及びその妻子と従業員持株会だけが保有し、その他役員のインセンティブは少量のストックオプションのみ、という非常に割り切った資本政策になっています。

従業員持株会の持ち株比率は上場直前時点で5.53%、他にストックオプションを従業員に薄く広く付与しています。

【リンク】
平成20年11月「新株発行並びに株式売買届出目論見書」ソーバル株式会社
http://www.sobal.co.jp/stockholder/mokuromisyo.pdf

by yasukiyoshi | 2008-12-13 11:15 | IPO
2008年 12月 09日

資本政策詳解-らでぃっしゅぼーや

【CFOならこう読む】
らでぃっしゅぼーやの株式上場の概要は次の通りです。

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らでぃっしゅぼーやは、有機・低農薬野菜、無添加食品などの販売。安全性や環境負荷などを考慮した農産品や畜産品、水産品、加工食品、日用品などを「定期品」「注文品」として会員に対して戸別販売しているほか、百貨店・スーパーなどへも卸売りしている会社です。

キューサイの子会社でしたが、株式会社ジャフコ・エスアイジーNo.7が、MBOを目的とし、2006年3月3日にキューサイ及び大株主であった長谷川和子氏より当社の実質上の存続会社である「らでぃっしゅぼーや株式会社」(旧らでぃっしゅぼーや)の株式の譲渡を受けて、子会社化した後、2006年3月31日にジャフコ・らでぃっしゅMBO株式会社に商号変更し、2006年9月1日を合併期日として子会社であった旧らでぃっしゅぼーや株式会社を吸収合併し、同日にらでぃっしゅぼーや株式会社に商号変更しています。

公募価格は600円、2009年2月期見込みEPSが50.49円なのでPER11.9倍という水準での株式公開となります。

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らでぃっしゅぼーやの主な資本政策は (表2)の通りです。

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2007年2月期に約20億円のれんの一時償却(単体では関係会社株式評価損の計上)を行っており、この欠損金を補填するために、2008年2月期に資本準備金及びその他資本剰余金の取崩しを合計約20億円行っています。何故のれんを一時償却したかについてはよくわかりませんが、プランニングの匂いがしなくもありません。

その他、緒方社長他役員に対し、種類株式(A種株式)を発行しているのが目につきます。

表にはありませんが、2007年12月26日及び2008年2月26日にジャフコのファンドから日本レストランシステム等へ合計1,333,720株の株式移動が行われています。このときの移動価格は1,400円、所有者の取得価格ベースに、当事者間の協議により決定したものです。今回の公募価格が600円なので、この価格には疑問が残ります。


(表3)は、らでぃっしゅぼーやの株主構成です。

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筆頭株主は、ジャフコが運営するファンドですが、同ファンドの運用期間は平成26年12月31日までと限定されており、当該ファンドの所有する株式は、原則同期間内に売却されることになります。したがって今後株主構成が劇的に変化する可能性がある旨、会社はリスク情報に記載しています。

なお、ジャフコの買収価額は64億円(持分比率98.8%)であるのに対し、上場日時点の時価総額が約42億円。このMBOは今のところ成功というにはほど遠い状況です。

しかしその差額約20億円。のれんの一時償却の金額と符合していてビックリ!?

【リンク】
らでぃっしゅぼーや株式会社
http://www.radishbo-ya.co.jp/


by yasukiyoshi | 2008-12-09 16:07 | IPO
2008年 12月 05日

資本政策詳解-エス・ディー・エス バイオテック

【CFOならこう読む】

エス・ディー・エス バイオテックの株式上場の概要は次の通りです。

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エス・ディー・エス バイオテックは、農薬の有効成分(原体)や、原体と補助成分を混ぜ合わせてさまざまな剤型(粉、顆粒(かりゅう)、液など)にした農薬(製剤)の研究開発、製造、販売を手掛けている会社です。昭和電工の子会社でしたが、2005年3月にみずほキャピタルパートナーズ系ファンド(エムエイチキャピタルパートナーズツーエルピー)の支援を受け、MBOにて独立しました。

公募価格は750円、2008年12月期見込みEPSが78.05円なのでPER9.6倍という水準での株式公開となります。

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エス・ディー・エス バイオテックの主な資本政策は (表2)の通りです。

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表にはありませんが、2008年1月31日及び2月14日にエムエイチキャピタルパートナーズからフマキラー、丸善薬品、大塚化学等へ合計1,196,000株の株式移動が行われています。このときの移動価格は1,150円、類似会社比準方式によって算出した価格を参考として、当事者間で協議により決定したものです。今回の公募価格が750円なので、結果論ではありますが、1,150円という価格は妥当ではなかったということになるのかもしれません。

また、当社新株予約権の取得事由に基づき、会社は、平成20年7月22日開催の取締役会の決議により、白井社長他役員・従業員の新株予約権の一部を取得し、平成20年8月6日をもって新株予約権を44,800個消却しています。

(表3)はエス・ディー・エス バイオテックの株主構成です。

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筆頭株主は、エムエイチキャピタルパートナーズですが、同ファンドの運用期間は平成15年11月11日から平成25年11月11日まで(ただし、平成27年11月11日までの延長の可能性があります。)と限定されており、当該ファンドの所有する株式は、原則同期間内に売却されることになります。

なお、エス・ディー・エス バイオテックの自己資本比率は11.3%と非常に低い水準となっています。MBOの常ではありますが、良くも悪くもこの会社の命運はみずほグループが握っていると言えます。

【リンク】
株式会社エス・ディー・エス バイオテック 企業概要
http://www.sdsbio.co.jp/company/profile/


by yasukiyoshi | 2008-12-05 12:27 | IPO
2008年 11月 04日

資本政策詳解-アサカ理研

【CFOならこう読む】
アサカ理研の株式上場の概要は次の通りです。
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アサカ理研は、電子部品などからの貴金属回収のほか、治具洗浄、シリコン基板の再生、エッチング液の再生を展開している福島県郡山市の会社です。現社長の山田慶太氏のお父さんである山田盛久氏が1969年に設立し、慶太氏が1994年に跡を継いでいます。

公募価額800円、2009年9月期見込みEPSが146.43円なのでPER5.5倍という水準での株式公開となっています。
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アサカ理研の主な資本政策は (表2)の通りです。
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山田慶太氏が社長に就任した前後に、株式移動が行われたものと思われます。近年資金調達は銀行借入によっており、増資等のエクイティ・ファイナンスは行われていません。

(表3)はアサカ理研の株主構成です。
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山田慶太氏、盛久氏、慶太氏のお母さんが取締役を務めている(?)(有)モラル・コーポレーション合計で64%の持分を確保する資本政策になっています。平成20年8月末時点で従業員数138名、従業員持株会は設立しておらず、従業員のインセンティブはストックオプションによっています。

盛久氏が高齢であることから、相続対策の色彩が濃厚なIPOです。株主には山田性が散見されます。売出は盛久氏のみ行っています。これも持株の一部を現金化しておきたいという相続を考えてのことと思われます。

【リンク】
株式会社アサカ理研
http://www.asaka.co.jp/index.html


by yasukiyoshi | 2008-11-04 11:50 | IPO