カテゴリ:IPO( 29 )


2008年 07月 22日

資本政策詳解-イデアインターナショナル

【CFOならこう読む】
約1ヶ月ぶりのIPOです。引受価額2,530円、平成20年6月期予想EPSが204.84円なのでPER12.3倍の水準です。
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イデアインターナショナルの主な資本政策は (表2)の通りです。
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平成17年に2度第3者割当増資を行っていますが、1度目の時の発行価格は25000円、2度目の時の発行価格は410000円と大きく差をつけています。1度目の増資の割当先には橋本社長も含まれています。平成17年6月期のBPSは162,062円、EPSは74,714円です
から1度目の価格は相当に割安であると言えます。

(表3)はイデアインターナショナルの株主構成です。

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上場時点で、橋本社長の持株比率は52.9%(潜在株式含めず)、また社長・役員・従業員合計で60%超(潜在株式含む)の持株比率となっています。従業員持株会はありませんが、従業員39人に対しストックオプションを中心に全体の4.3%の株式を割り当てています。

【リンク】
ライフスタイル商品の提供 I.D.E.A International
http://www.idea-in.com/


by yasukiyoshi | 2008-07-22 11:23 | IPO
2008年 07月 03日

米4-6月期IPOゼロ

米ベンチャー新規上場、4―6月は30年ぶりゼロ 景気減速響く
シリコンバレー=田中暁人】米国でベンチャー企業の新規株式公開(IPO)に急ブレーキがかかっている。4―6月期に新規上場したベンチャーキャピタル(VC)投資先企業数は四半期ベースで約30年ぶりにゼロとなった。日本でも新興企業向け市場に上場した会社が4―6月期は3社にとどまった。景気減速や株安による投資家心理の悪化が響いた。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080703AT2M0202D02072008.html
【CFOならこう読む】
上半期でも米国のIPO社数は前年同期比88%減の5社だったそうです。
その原因は、「投資家心理の悪化」「信用収縮」であるとVC(ベンチャーキャピタル)は分析しているようです。

一方、日本でもジャスダックや東証マザーズなど新興市場に上場した会社が4-6月期は3社にとどまり、上半期では前年同期比69%減の21社で2000年以降最低の水準になっています。

記事では、その原因を「内需関連企業の多い新興企業の業績が悪化し、上場準備していた企業が先送りする例が相次いでいる。」と分析していますが、それが主な原因ではないと思います。

日本の場合は、粉飾決算、コンプライアンス違反、そしてコーポレートガバナンスの欠如等に起因するベンチャー企業に対する不信が、新興市場の低迷を招いており、上場しても目標とする資金調達ができないこと、それ以前に、東証その他の市場、証券会社、監査法人がリスク回避の姿勢を鮮明にしていて、なかなかお墨付きを与えられないでいることが、IPO社数が極端に少なくなっている主な原因であるように思います。

「日本では上場できないからロンドンやシンガポールで上場する」という声を最近あちこちで聞くのですが、その声には業績は悪くないのに上場できない、という企業側の苛立ちを感じます。

今必要なのは、次の時代を担うベンチャー企業を自らの責任で育ててやる、という”心意気”と”覚悟”だと思います。

特に東証にはそれを強く望みます。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-07-03 08:38 | IPO
2008年 06月 16日

資本政策詳解-イナリサーチ

【CFOならこう読む】
約1ヶ月ぶりのIPOです。BB条件は16万円-18万円、平成21年3月期予想EPSが7,657.72円なのでPER20.9倍から23.5倍の水準です。

イナリサーチの主な資本政策は(表1)(表2)の通りです。
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株式公開が見えてきた平成15年に1株50,000円で第3者割当を行っているところが特徴的です。割当先の一つである八十二3号投資事業有限責任組合は、社長の支配下にあるファンドです。

(表3)はイナリサーチの株主構成です。

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ファンドも含め親族だけで過半数の持分を維持する資本政策になっています。平成18年3月に、社長から親族3名に合計4,530株を贈与により株式移動を行っているところも特徴的であると言えます。

【リンク】
「新株式発行並びに株式売出届出目論見書 平成20年5月」株式会社イナリサーチ
http://www.ina-research.co.jp/pdf/mokuromisho.pdf


by yasukiyoshi | 2008-06-16 10:13 | IPO
2008年 06月 02日

IPOが低調な理由

IPO、きょうも開店休業 ベンチャーは日本企業に見切り?
D 企業の新規株式公開(IPO)が低調だ。理由は何なのかな。
I 5月23日に東証マザーズに上場した携帯電話向けコンテンツ開発のプライムワークスが1ヵ月半ぶりのIPO。予定を含めても今年4~6月の新規上場はたった3社だ。2007年度年間は99社。その前は187社だったから今はほとんど開店休業状態だ。約17年もIPO業務に携わる大和証券SMBCの佐野洋・公開引受部上席次長は「こんな経験は初めて」と嘆いていた。

M 東京証券取引所グループの斉藤惇社長は講演会や会見で「来年の株券電子化を控え、企業が上場を先送りしている」と話していた。電子化後に上場すれば株券は刷る必要がなくなり、コストは減る。ただ負担はせいぜい数千万円。「IPOが少ないのは取引所の審査が厳しくなったせい」と思われたくないのが本音かも。

G 金融証券取引法違反で刑事告発されたオーベンが上場廃止になるなど不祥事が頻発。取引所は反社会的勢力とのつながりを厳しくチェックしている。これらの勢力の手口も巧妙で、ファンドを介在させたりして企業の知らぬ間に事実上の株主になる例もある。取引所も立場上「この株主がやばい」とはっきり言えず、企業は審査が通らない理由がすぐに分からない。証券会社のIPO担当者は「どんな株主がダメかはっきりさせてほしい」とぼやいていたよ。日本証券業協会が整備を進める情報共有ネットワークが稼動すれば、情報格差もなくなるだろうけど。
-以下略
(日経ヴェリタス2008年6月1日 71面 放電塔金融記者座談会)
【CFOならこう読む】
IPOが低調な理由は、上場準備をしている企業の業績の問題、投資家の新興市場離れ、内部統制報告制度や株券電子化等色々と指摘されていますが、一番は証券取引所の審査が厳しくなっているためであると思います。記事にもあるように、企業側には株主に問題がある、ということだけが知らされて、具体的にどの株主が悪いのかは知らされないので、手の打ちようがないという話を最近よく聞きます。しかも問題になる株主というのが、”反市場勢力”であるということで、全くわけがわかりません。

これは、日本の資本主義が、政官財一体の社会資本主義から市場型資本主義に移行しようとしている過程で生じている混乱の1つなのだと思います。市場も証券会社も監査法人も、リスクに過剰に反応し、極端にリスク回避的行動をとっているのが今の状況なのだと思います。一方ベンチャー企業の上場意欲は衰えているわけではありません。そういう会社の多くが、日本の市場は埒があかないと、ロンドンのAIMやシンガポールのカタリストに向かっています。これは日本の資本市場にとって決してよい状況ではありません。

解決策は2つ。
1つは市場自体がきちんと自由競争をしていくこと。市場だってリスクを取らなければ果実は得られということを知るべきです。
もう1つはリスクを取ったものがリスクに見合った果実を得られるようにすること。上場費用はもっと高くても良いと私は思います。ハイリスク・ハイリターンの報酬体系になっていないと、証券会社も監査法人もリスクに見合った審査・監査はできません。

by yasukiyoshi | 2008-06-02 09:20 | IPO
2008年 05月 26日

資本政策詳解-プライムワークス

【CFOならこう読む】
久々のIPOであるプライムワークスは23日上場初日はカイ気配のまま値付かずとなりました。公募価格23万円に対し気配値は47万円まで切り上げる展開でした。

2009年2月期予想EPSが12,151.05円なので公募価格23万円はPER18.9倍の水準です。

プライムワークスの主な資本政策は(表1)の通りです。

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会社設立後数ヶ月間で発行済株式数を大きく上回る第3者割当を行っているところが特徴的です。ここで調達した資金に会社は手をつけることなく現預金で保有し続けています。つまりこの第三者割当は資金調達を目的としていないのです。割当先であるバンダイやシャープが主な販売先であることから、営業上の関係構築を目的としたものであることが推察されます(但しバンダイ割当分はその後池田社長が買い戻ししています)。
増資から約1年後に池田社長の持分増加のために3,110株という大量のストックオプションを池田社長に割当ているのも特徴的と言えます(3,110株はその時点における発行済株式数の約6割に相当します)。

(表2)はプライムワークスの株主構成です。

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池田社長の売出株数は800株(モバイル・インターネット第1号は1,000株)、上場直後池田社長の保有割合は30.9%となります(潜在株式を含む)。
従業員の持株割合が約16%と比較的大きな部分を占めています。この大半はストックオプションと平成18年9月に行われた池田社長からの譲渡によるものです(単価は52,500円)。

【リンク】
平成20年4月「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」プライムワークス株式会社
https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=609&brand=131&data=57385&filename=pdf_file.pdf



by yasukiyoshi | 2008-05-26 14:15 | IPO
2008年 02月 28日

2月新規上場ー7社中5社、初値が公募価格割れ

新規株式公開(IPO)銘柄の株価が低迷している。今年に入って新規上場した7社(1月はゼロ)のうち、5社の初値が公募価格を下回り、上場後の株価もさえない。業績の不透明感などから個人投資家の買い意欲が後退。29日にセブン銀行という大型銘柄の上場を予定していることも手控えにつながっている。
(2008年2月27日 日本経済新聞 19面)

【CFOならこう読む】
今年新規上場した銘柄の初値とその後の株価の状況は次の表の通りです。
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最近の傾向としては、公募価格を類似会社PERのレンジの最低のところで設定していることが言えます。その中でインサイトは類似会社PERの水準が8.1倍~11.2倍(http://biz.yahoo.co.jp/ipo/html/d2172.html)であるのに対し、公募PERは11.07倍と比較的高めの水準で公募価格を設定しています。それでも初値騰落率は▲23%と、控えめに公募価格を設定した東洋ドライループの騰落率▲28%やスーパーバリューの騰落率▲26%と比べて特段初値騰落率が大きいということはありません。

現在のIPO市場は、「相場に不透明感が強くリスクの高い新規上場銘柄への投資を敬遠している(丸和証券調査情報部大谷氏)」ため、もはや適切な株価形成が行われていないと言っても良いかもしれません。27日に上場したモリモトは公募価格をPER3.74倍という非常に低い水準に設定したにも関らず初値はそれを6%下回りました。記者会見した森本社長は、「投資家の評価として受け止めている。株主に期待してもらえるようがんばりたい」と述べたそうですが、「市場の評価は間違っている」くらいのことを言っても良いと私は思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-02-28 08:53 | IPO
2008年 02月 14日

2月の新規株式公開 半減

株式相場の低迷で新規株式公開(IPO)への逆風が強まっている。資金調達が難しくなるとの見方から上場を延期する企業もあり、2月のIPOは9社と前年同月比で半減する。直近上場企業の株価もさえない。今年のIPO数は2000年以降で最低だった昨年の121社を大幅に下回る公算が大きい。
(日本経済新聞社2008年2月14日 16面)

【CFOならこう読む】
13日に東証二部に上場したニホンフラッシュの初値は公募・売出価格の800円を8%下回る740円でした。終値はさらに683円まで下がりました。2月1日にマザーズに上場したデジタルハーツはの初値は公募・売出価格の185,000円を大幅に上回る430,000円でした。しかし昨日(2月14日)の終値は330,000円と初値から24%下げています。

ただしこの水準でもPER(2008年3月期予想ベース)は33.8倍なので、それなりに市場の評価は高いと言えます。市場環境は確かに悪いのですが、評価される会社は評価されますし、IPOはゴールでも何でもなく、資本市場にアクセスするためのチケットを手に入れるというだけの一つの通過点に過ぎないので、今IPOの準備をされている会社は、あれこれ考えず当初のスケジュール通り粛々と進めて行くことを私はお勧めします。

【リンク】
(株)デジタルハーツ 【マザーズ:3620】
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=3620.t&d=c&k=c3&a=v&p=m25,m75,s&t=3m&l=off&z=m&q=c&h=on


by yasukiyoshi | 2008-02-14 08:25 | IPO
2007年 11月 20日

IPO相場低迷

新規公開数3割減 69社が公募割れ
19日までにIPOした110社のうち、27社の初値が公募価格を下回った。夏場以降の相場急落のあおりで直近株価が公募割れした銘柄は69社に上った。投資家心理をさらに冷やす悪循環に陥っている。
(日本経済新聞2007年11月20日 3面)

【CFOならこう読む】

記事に掲載された銘柄のうち19日終値が公募価格を下回ったのは、次の3銘柄です。
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この3銘柄に共通しているのは、公開後数日で大きく株価を下げている点です。これは会社の成長性について株主にうまく伝えられていないことが主な要因であると思います。

3社ともに筆頭株主(オーナー株主)の売出しがありますが、今のような市況の中で会社の成長性に対する確固とした自信を市場に示すために、オーナー経営者の売出しは避けるのが賢明であろうと思います。

オーナー経営者はキャピタルゲインを獲ってはいけないと言っているのではありません。しっかり業績と株価をあげてから大きくキャピタルゲインを獲りましょうと言っているのです。この点ディー・エヌ・エーの南場社長の自社株売却が参考になります。

南場社長は、上場時に全く自社株式の売出しを行っていません。上場後1年経過した2006年3月末株価を公募価格の4倍以上に引き上げた後、持株のごく一部である4,900株(持株比率は17%から15%に低下)を約15億5千万円で売却しています。

オーナー経営者たるものこれくらいの気概を見せて欲しいものですね。

【リンク】
(株)総和地所 【JASDAQ:3239】:Yahoo!ファイナンス
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=3239.q&d=c&k=c3&a=v&p=m65,m130,s&t=1y&l=off&z=m&q=c&h=on

(株)コーセーアールイー 【福証:3246】:Yahoo!ファイナンス
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=3246.f&d=c&k=c3&z=m&h=on


by yasukiyoshi | 2007-11-20 10:55 | IPO
2007年 11月 10日

ジャスダック新市場NEO―技術系ベンチャー向け???

ジャスダックが開設した技術系ベンチャー向けの新市場、NEO(ネオ)の取引が13日に始まる。企業が持つ技術の信頼性を外部の人材を活用しながら見極めて上場の可否を決めるのが特徴。技術に「お墨付き」を与えて投資家に安心感を与える狙いだ。ただ、業績失速などが相次いだことで新興市場に対する投資家の視線は厳しい。質の高い上場を続けるための運営能力が問われる。
(日経金融新聞2007年11月8日1面)

【CFOならこう読む】
私は常日頃ジャスダックを相続税対策銘柄市場と揶揄しています。

実際ジャスダック市場には安定成長型企業が多く、業種別内訳を見ても最も多いのが卸売りで14%、次いで小売り13%となっています。そこで流動性の高い高成長銘柄を呼び込むための新たな受け皿として新市場の創設が必要と判断されたのです。

NEOは自らを、成長可能性のある新技術を有する企業を支援する市場であると説明しています。NEOの最大の売りは「技術評価」にあります。すでにこのイメージは一般に認知されるところになっています。しかし、実は技術評価を経ずにNEOに上場することもできるのです。企業が技術を既に製品化し、収益を上げている場合は技術評価が不要なのです。実際NEO上場第1号ユビキタス、第2号ウェブマネーともに黒字企業で技術評価を受けていないのです。

これは“広告に偽りあり”ってことになるんじゃないでしょうか。また技術評価といったって「技術が実際に存在し虚偽がないか判断する」「実用化までにどのような課題があるかを調べる」といった程度のもので、いかに画期的な技術であるかといった積極的な評価をするわけではないのです。技術があっても売上や利益に結びつかない会社を我々は山ほど知っています。この程度の“技術評価”ならマザーズでもヘラクレスでも既にやっていると思うのですが…。

もう一つのNEOの特徴であるマイルストーン開示もその実効性に首をかしげざるを得ません。マイルストーン開示についてジャスダックは次のように説明しています。
「『NEO』の上場会社は、四半期ごとにマイルストーン開示を行うこととしています。マイルストーン開示には、『NEO』の上場会社の3年以上の期間に係る事業計画の内容及びその前提条件、マイルストーン開示を行う時点における事業計画の進捗状況並びに今後の達成の見通し及びその前提条件等について記載することとしています。なお、当該事業計画は、1年毎に見直しを行い、各事業年度において、常に3年以上の事業計画が開示されていることが求められます。」

市場のテストを受けていない新製品の開発をしている会社のマイルストーンにどの程度の意味があるのでしょうか?結局1年毎にできない理由を聞かされるだけのことになるのではないでしょうか?というよりまともな企業なら極めて不確実性の高いマイルストーンを様式に従って開示することなんぞ拒否するのではないでしょうか?

そんなわけで私はNEOの将来性には極めて懐疑的です。

【リンク】
「NEOについて」ジャスダック証券取引所
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_neo1.jsp
マイルストーン開示に係るガイドラン
http://www.jasdaq.co.jp/data/milestoneguideline.pdf
「[NEO誕生]“元祖ベンチャー市場”の意地見せるJASDAQの挑戦」CNET 2007年11月08日
http://v.japan.cnet.com/column/sp/story/0,3800078138,20360545,00.htm


by yasukiyoshi | 2007-11-10 10:24 | IPO